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地方公共団体における計画等の策定は、地域の課題や現状を踏まえ、住民と合意形成を行い、地域全体で主体的な取組を進めるために活用すべきものです。
しかし、法令等により自治体の規模や特性にかかわらず全国一律に計画等の策定やその内容、手続が定められてしまうと地域の自主性及び自立性が損なわれてしまいます。
そのため、計画の策定等を求めることは最低限にすべきだとされています。それにもかかわらず、平成12年頃から法令等によって地方公共団体に計画等の策定を求める規定が増加し続けており、特に小規模市町村にとって大きな負担となっています。
こうした状況は、本来の役割である達成されるべき行政目的そのものに係る事務への対応に注力できない事態につながる恐れがあるため、制度的な課題として横断的な見直しが求められています。

<計画策定に関する規定の推移>

〔全国知事会「第2回地方分権改革の推進に向けた研究会」(令和2年2月19日)より)〕

地方分権改革推進委員会勧告による見直し

計画等の策定及びその手続に関しては、地方分権改革推進委員会の第三次勧告(平成21年10月7日)において、義務付け・枠付けの中でも特に問題のある事項として、法律の規定内容による分類とそれぞれの分類に応じた具体的に講ずべき措置が示されました。
勧告を受けて国において見直しが進められ、「地方分権改革推進計画」(第一次見直し)、「地域主権戦略大綱」(第二次見直し)により一定の見直しがなされました。

見直しに向けた地方の取組

全国知事会 地方分権改革の推進に向けた研究会

令和元年12月に全国知事会に設置された「地方分権改革の推進に向けた研究会」において、地方分権改革推進委員会勧告による見直し以降も計画策定等を新たに義務付ける法令の規定が創設されていることや、努力義務や任意であっても国庫補助金等の交付の要件とすることで実質的な義務付けとしている事例が増加していることなど、計画策定等の課題について議論が行われました。
こうした課題を踏まえ、同研究会の報告書において、計画策定という手法の見直しや、計画の統廃合等の見直しを求めることが必要だと指摘されました。

全国知事会 地方分権改革の推進に向けた研究会(全国知事会ホームページへ)

全国知事会地方分権改革推進特別委員会 地方分権改革推進WT

上記研究会の報告書を受けて、全国知事会地方分権推進特別委員会の下に、計画策定等の規定の見直しに向けて現状や課題の調査・分析を行う、地方分権改革推進WTが令和2年12月に設置され、市町村の協力も得ながら、計画策定等に関する支障事例等がとりまとめられました。

令和3年度第1回地方分権推進特別委員会(全国知事会ホームページへ)

見直しに向けた国の取組

地方分権改革有識者会議における条項整理

第41回地方分権改革有識者会議(令和2年6月29日)において、過去の提案募集において多くの提案が出されている施設・公物管理の基準と計画策定に関して、法律の条項を整理することが決定され、第44回会議(令和3年2年24日)において計画策定に関する条項整理の結果が報告されました。

計画の策定等に関する条項の一覧(令和2年12月末時点)(内閣府ホームページへ)

提案募集方式

地方側の問題意識の高まりや、上記の条項整理の結果を受け、令和3年の提案募集方式において「計画策定等」が重点募集テーマに設定され、集中的に見直しが図られることとなりました。
提出された提案220件のうち33件が計画策定に関するものとなり、地方分権改革有識者会議提案募集専門部会等における検討の結果、記載事項や手続きの簡素化、類似の計画との一体策定が可能であることの明確化等の見直しが図られることとなりました。

令和3年の提案募集について(内閣府ホームページへ)

計画策定等に関するワーキンググループ

提案募集方式により、提案が出された個別の計画については一定の見直しが図られることとなったものの、国が地方公共団体に計画を策定させるという働きかけのあり方自体を見直すべく、地方分権改革有識者会議の下に「計画策定等に関するワーキンググループ」が設置されることとなりました。
ワーキンググループにおける議論を経て、令和4年提案募集における計画策定等の見直しの考え方や、国が遵守すべき基本原則等を示した「計画策定等における地方分権改革の推進に向けて」をとりまとめ、第48回地方分権改革有識者会議・第133回提案募集検討専門部会(令和3年2月28日)において了承されました。

計画策定等に関するワーキンググループ(内閣府ホームページへ)
第48回地方分権改革有識者会議・第133回提案募集検討専門部会(内閣府ホームページへ)

さらなる検討・見直しへ

令和4年提案募集においても令和3年に引き続き「計画策定等」が重点募集テーマに設定されました。
提案募集による個別の見直しに加えて、有識者会議でのとりまとめに基づいた各省庁における主体的な見直しや、新たな制度を制定する際のチェックなど、制度的な課題として引き続き検討・見直しが必要です。