諸井委員長談話―地方分権推進委員会第5次勧告の提出にあたって―
 
 
1 地方分権推進委員会は、本日、小渕内閣総理大臣に第5次勧告を提出いたしました。
 
2 本年5月に、委員会のこれまでの4次にわたる勧告を最大限尊重したかたちで、地方分権推進計画が閣議決定されたことにより、地方分権は、新たな実行の段階を迎えました。委員会としては、この計画が実りある成果を挙げるよう、計画に基づく施策の実施状況の監視に力を注いでいくこととしております。
 
3 現在、政府の中央省庁等改革推進本部を中心に、中央省庁の再編を柱とする行政改革についての取組みが進行しております。第1次勧告の提出に際しても述べたとおり、行政改革の基本は、行政の守備範囲を明確にし、行政システムを簡素で効率的なものにしていくことであります。そのためには、規制緩和の推進とあわせて、国と地方公共団体の役割分担の明確化を図り、地方公共団体に事務権限を委譲することにより、住民に身近な事務は地方公共団体が自主的、主体的に実施できることとするよう地方分権を推進することが不可欠であります。
 
4 そこで、委員会としては、これまでの4次にわたる勧告によって、地方分権推進法によって示された地方分権推進のための課題のすべてについて、具体的指針をひととおりお示ししたところではありますが、政府における行政改革の取組みに呼応するかたちで、中央省庁等改革基本法を踏まえ、国と地方の役割分担を明確化し、国の役割を重点化する観点から、さらには国の行政組織のスリム化の観点も踏まえながら、事務権限の委譲などの問題について、今回新たな勧告を行うこととしたところです。
 
5 今回の勧告で取り扱うこととなった事務権限の委譲などの問題、とりわけ公共事業の見直しについては、実行可能な具体案を10月末までにという要請を受けての検討作業でした。7月中旬からの各省調整は困難を極め、文字通り10月末をめざしての時間との戦いとなりました。 
委員会としては、こうした状況のもとでできる限りの努力を重ねてまいりました。具体的な検討を政府に委ねることとなった事項も残されてはおりますが、中央省庁のスリム化の観点から直轄公共事業等の範囲の見直しと縮減に道筋をつけ、統合補助金を創設するなど、事務権限の地方への委譲等に関する当面必要不可欠な改革方策については、政府に対してお示しすることができたものと考えております。
 
6 また、直轄公共事業等の範囲の見直しに当たっての地方公共団体の意見反映手続の整備、地方道路整備臨時交付金の運用改善、国と地方の適切な役割分担に見合った計画権の配分の観点からの大都市圏整備計画や地方開発促進計画の策定手続の見直し、山村振興計画などの計画策定権限の市町村への委譲、テクノポリス法と頭脳立地法との統合など、地方分権推進の観点からもいくつかの有益な指針を提示することができたのではないかと考えております。
  
7 我が国には現在、深刻な経済不況をはじめ国内外に解決すべき諸課題が山積しております。この危機的ともいえる状況を克服するためには、政治の主導性、地方の自立、企業の市場原理の徹底が不可欠であります。
今回の勧告の内容が、中央省庁の再編に的確に反映され、行政改革が実りある成果を挙げられることを期待するとともに、地方分権と規制緩和のさらなる進展によって、地方の自立が促進され、21世紀の我が国の発展の基盤となる活力ある地域社会の構築が図られることを心から念願する次第であります。
 
8 おわりに、委員会の発足以来、3年4か月余に及ぶ調査審議、とりわけ今回の勧告のとりまとめにご協力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げるとともに、今後とも特段のご理解とご協力を賜るよう心よりお願いする次第です。