諸井委員長談話
 
1 地方分権推進委員会は、本日、橋本総理大臣に第4次勧告を提出いたしました。
 
今回の勧告は、
(1) まず、第1次勧告以来引き続き検討を進めてきた、従前の機関委任事務の整理を行いました。これで、従前の機関委任事務は全て整理を終え、明治以来わが国の中央集権型行政システムの中核的部分を形づくってきた機関委任事務制度を廃止するための作業が完了したことになります。
 
(2) 次に、第1次勧告で示した関与の一般ルールに従って、団体(委任)事務に係る国の関与の整理を行いました。これにより、従前の機関委任事務・団体(委任)事務を通じて、機関委任事務制度が廃止された後の国の関与のあり方についての一般ルールが確立されるものと思われます。
 
(3) 第三に、国と地方公共団体との係争処理のための第三者機関である国地方係争処理委員会の設置と国の関与をめぐる係争処理のための新たな勧告制度と訴訟制度の創設を勧告いたしました。これらの制度は、機関委任事務制度を廃止した後において、国と地方公共団体とが対等・協力を基本とする新たな関係を確立していくために不可欠のものとして、関係者の御意見も広く伺いながら、第1次勧告以来検討を深めてきたものです。今後この制度が、わが国の地方自治を発展させるための基盤となることを期待するものです。
 
(4) 最後に、地方自治の担い手である基礎的地方公共団体を強化する観点から、市町村の規模等に応じた権限委譲について検討を進め、34項目の委譲を勧告いたしました。また、これと併せて、新たに、20万人以上など一定の人口規模を有する市をその申し出に基づき指定し、権限をまとめて委譲する法制上の措置を講ずることについても勧告いたしました。今回委譲を勧告した項目は、審議時間に制約があるなかで結論を得られたものに限られていますが、今後は、これと同様の方法により、市町村の規模に応じて一層の権限委譲が進むことを願っております。
 
2 今回の勧告により、第3次勧告までの勧告と併せて、地方分権推進法により示された地方分権推進のための課題の全てについて具体的指針を一通り勧告したことになります。
第2次勧告の提出に際しても述べたとおり、これらの勧告により、地方分権を推進し、国と地方公共団体との間の新たな関係を確立するための確固たる道筋を示すことができたものと考えております。国と地方公共団体の双方が、4次にわたる勧告が示した国と地方公共団体との関係についての新たな枠組みのもとで、対等・協力の関係を築き上げる努力を続けることにより、わが国の行政のあり方は大きく変わると信じております。
 
3 とりわけ、地方公共団体の関係者の皆様には、この新たな関係の一方の担い手であることの意義をあらためて認識していただきたいと考えます。中央集権型行政システムの中核を形づくってきた機関委任事務制度の廃止と国と地方公共団体の関係に関する新たなルールの設定により、地方公共団体が国と対等・協力の関係に立つ基盤は作られました。地方公共団体の関係者や住民の皆様には、この新たな枠組みのもとで、自己決定・自己責任の原則に立って、個性豊かで多様な地域づくりのための具体的な努力を積み重ねていただきたいと思います。そのことが21世紀のわが国の発展の基盤となる活力ある地域社会を作ることにつながるものであり、また、これを実現することこそが、今地方分権の推進が求められている真の意義であり目的でもあるからです。
 
4 今後、委員会の任務は、地方分権推進計画の実施状況の監視に中心を移すこととなりますが、政府による地方分権推進計画の策定作業の間においても、これをより良いものとするため、随時に政府に協力し、必要に応じて補足的な検討を行って参りたいと考えております。
 
5 おわりに、委員会の発足以来、2年3か月におよぶ調査審議にご協力いただいた関係者の皆様に心より御礼申し上げます。