諸井委員長談話
−地方分権推進委員会第2次勧告の提出にあたって−
 
当委員会は、平成7年7月3日に発足して以来、ちょうど満2年を迎えました。この間、延べ364回にも及ぶ委員会、部会及び検討グループの会議を開催し、また、全国各地(10カ所)で「一日地方分権委員会」を開催するなど、精力的に調査審議を重ねて参りました。
 
昨年12月20日の第1次勧告のあと、引き続き、本年1月以降、「行政関係」、「地方行政体制等」及び「補助金・税財源」の3つの検討グループを中心に、適宜、委員会、部会との合同会議なども開催しながら、精力的に審議検討を行い、本日、第2次勧告を橋本総理大臣に提出いたしました。
 
第2次勧告においては、第1次勧告に引き続き、明治期以来のわが国の中央集権型行政システムの中核部分を形造ってきた機関委任事務制度の廃止に伴う事務区分(原則自治事務、例外法定受託事務)と国の関与について整理するとともに、国と地方公共団体の関係についての新たなルールの創設、必置規制の整理合理化、国の出先機関の見直しに取り組みました。
 
また、機関委任事務制度の廃止等と並んで、国と地方公共団体の財政関係についても、地方公共団体の自主性・自立性を高めるため、国庫補助負担金の整理合理化、存続する国庫補助負担金の運用・関与の改革、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保の3つを柱として、財政面における自己決定、自己責任の拡充に向けた改革案をとりまとめました。
 
さらに、都道府県と市町村についても、国と地方との関係と同じく対等・協力の新しい関係が築かれるよう、都道府県・市町村間の事務の配分の考え方・方策や、市町村に対する都道府県及び国の関与の考え方・ルールを整理しました。
 
次に、今次の勧告の重要な柱の一つとして地方行政体制の整備・確立をとり上げております。総合的・効率的な行政運営を実現すること、市町村の行財政能力の向上を図ること、身近でクリーンな行政を実現すること等が求められているという基本認識の下に、地方公共団体における行政改革、市町村の自主的合併や広域行政の推進、地方議会の活性化、住民参加の拡大・多様化、公正の確保と透明性の向上等について、具体的方策をとりまとめるとともに、その実現のための地方公共団体の自主的な努力を支援・促進するために国がとるべき諸措置を示しました。
 
なお、これらの諸措置を講じるにあたり、国と地方公共団体の双方において特に留意しながら取り組むことが必要な事務執行体制の簡素化・効率化に関する事項についても言及しております。
 
今次の勧告は、筋道を通し、かつ、実行可能なものにしたいという考え方に立ち、通常の審議の他に、各省庁との実務的な調査検討作業の方式として、グループ・ヒアリングを3月以降延べ108回も実施するなど、三座長をはじめ委員、専門委員などに大変なご尽力をいただきました。
 
各省庁との調整に時間をかけずに、委員会の見識で思い切った内容の勧告を早期に出すべきであるとの考え方もあり得ます。しかしながら、明治以来、130年続いた中央集権型行政システムの変革は世紀転換期の大事業であり、一朝一夕に達成できるものではないことに鑑み、まず、地方分権の具体的な実行を着実に進めるとともに、将来、政府や国民の選択により抜本的な改革も行いうるよう門戸を開き、道筋を確固たるものとしておくことが重要との認識に立ち、今次の勧告をとりまとめたものであります。その道をさらに切り拓き、歩みを進めていくためには、政府が地方分権の基本理念にそって、地方分権の推進に関する施策をさらに総合的に実施していくことが必要でありますが、これに対応して、何よりも地方公共団体の関係者自らが分権の担い手として、公正・透明で開かれた行政を展開し、国民の期待と信頼に一層応えていく必要があると考えております。
 
なお、今回の勧告では結論を得るに至らず、先送りしたものがあります。
すなわち、
○ 機関委任事務制度の廃止に伴う事務区分のうち、引き続き検討・調整を要する若干のもの (社会福祉法人、社会福祉施設、産業廃棄物、海岸等)
○ 団体(委任)事務に係る国の関与
○ 市町村の規模等に応じた権限委譲
○ 駐留軍用地特措法に基づく土地の使用・収用に関する事務 
○ 地方事務官 
○ 国と地方公共団体との間の係争処理手続(第三者機関を含む)
であります。
 
今後とも、委員会としては、広く国民各界各層からのご意見を拝聴しながら、これらのうち駐留軍用地特措法関係や地方事務官については8月初旬を、他の残された課題については9月末を、それぞれ目途として調査審議を重ね、勧告をとりまとめてまいりたいと考えています。
 
終わりに、住民自治を基礎とした活力ある創造性豊かな分権型社会の実現に向けて、関係者はもとより、国民の皆様のご理解とご支援を心よりお願いする次第です。