第2章 第1次分権改革の完全実施を求めて
− その後の監視活動の結果報告と要請 −

T 監視活動について

   地方分権推進一括法の施行後十分に監視活動に取り組む必要があることなどから、設置期間が延長され、委員会は、この延長された期間を活用して引き続き監視活動に取り組んできた。
   その際、次の点を中心にして監視活動を行ってきた。
  @ 12年4月以降の国と地方公共団体の関係が、地方分権推進一括法に示された新たなルールに基づいて適切なものとなっているか。
  A 第5次勧告を受けて平成11年3月に策定された第2次地方分権推進計画に関して、そこに盛り込まれた施策が適切に実施されているか。
  B 委員会が2度にわたり提出した意見に関して適切な措置がなされているか。
   以下、昨年8月以降行ってきた監視活動の結果及びそれを踏まえて特に政府に要請したい事項について述べる。
 
1 機関委任事務制度の廃止に伴う国の対応措置等
 (1) 通達等の取扱い
    地方分権推進一括法の施行に伴い、国が地方公共団体に対して指揮監督を行う際の有力な手段となっていた通達等について、その取扱いの見直しがそれぞれの所管省庁において行われていた。委員会は、機関委任事務制度が廃止されたこと、関与の法定主義が明確化されたこと、などを踏まえ、従前の通達等の取扱いがどのように見直されるかについて注視してきた。そこで、通達等の取扱いについて、現実にどのような点が問題となっているかを、地方公共団体側から把握したところ、概ね以下の3点が明らかになった。
  (ア) 機関委任事務制度廃止後における従前の通達等の取扱いの基本方針が所管省庁から示されていないため、実務担当者の間で戸惑いが生じている。
  (イ) 従前の通達等に代わって、法定受託事務の処理基準が新たに発出される場合が考えられるが、具体的に明らかにならないため、地方公共団体において独自に基準を設けてよいのかがわからない。また、発出されるはずの処理基準が発出されないため、地方公共団体側の作業が滞っている。
  (ウ) 従前の通達等の中には、今後拘束力のない助言として取扱われることとされているものがあるが、それにもかかわらず、法令に基づかない国の関与を介在させる規定や法令に基づかない事務の義務付けを行う規定等がその内容に含まれている例がある。
    これらについては、(ア)に関しては、それぞれの所管省庁から取扱いの基本方針が別紙1に掲げる通知等により明示されている。また、(イ)に関しても、発出予定の処理基準の概要および発出予定時期について、平成12年10月及び同13年1月、5月の3回にわたり情報提供が行われている。(ウ)に関しては、所管省庁において既に対応が講じられたものもあるが、依然として改善がなされていない事項も残っている。
 (2) 法定受託事務の処理基準の取扱い
    委員会は、法定受託事務の処理基準についても、作成段階において所管省庁との意見交換を行い、その内容が勧告・地方分権推進計画の趣旨に沿って作成されることとなるよう努めてきた。その結果、法律又はこれに基づく政令に根拠を持たずに、地方公共団体に対して事前協議を義務付けたり、新たな事務を義務付けるなど、そのままでは勧告・地方分権推進計画の趣旨にそぐわないと考えられる場合には、所管省庁との間で調整を行い、修正された上、処理基準の発出がなされている。別紙2は調整がなされた主要な例である。
 
 (3) 法律・政令による法定受託事務の新設及び自治事務に係る特別の関与の新設
    地方分権推進一括法及びこれに関連する政令の制定・改廃が行われた以降において、法律又は政令により、法定受託事務の新設又は自治事務に係る特別の関与の新設が行われている例があることから、これらが勧告・地方分権推進計画に示されたメルクマールに則ったものとなっているかどうかの確認を行った。結果は別紙3のとおりであるが、大半はメルクマールに照らして妥当なものであったが、一部今後検討の余地もあるのではないかと考えられる事例が見られた。
 
2 第2次地方分権推進計画の措置状況
 (1) 直轄事業・直轄公物の縮減の状況
    国の直轄事業及び直轄公物の範囲については、全国的な見地から必要とされる基礎的又は広域的事業に限定することとし、これらの範囲については客観的な基準などにより明確化するとともに、当該基準に基づき、中央省庁等のスリム化の観点からも、その範囲の見直しが求められていた。
    個別事業に関して、一級水系の指定の基準、河川及び道路の直轄管理区間の基準、港湾の直轄事業の実施基準の具体化、治山の直轄事業の基準の明確化及び採択基準の引き上げ、並びに砂防及び海岸の直轄事業の採択基準の引き上げを行うこと、また、一級水系や河川及び道路の直轄管理区間の点検と見直し、砂防、海岸、港湾、農業農村整備及び治山の直轄事業の点検と見直しを行うこと、さらに、一級水系から二級水系への変更や道路の指定区間の指定及び廃止、砂防及び治山の直轄事業範囲・直轄箇所の指定及び引継ぎにあたって関係地方公共団体からの意見を聴取することの明確化などが求められていた。
    併せて、直轄公物の管理に際しての市町村等の参画の拡大のための措置を講ずることとされていた。
    また、直轄事業及び直轄公物の範囲の基準の基本的事項等については法令に明示する措置を講ずることとされていた。
    このうち、基準の見直し等に関しては、一級水系の指定、河川及び道路の直轄管理区間に関して、関係審議会の答申を経て、基準が示されるなどしているが、それらの基準の基本的事項等を法令に明示する点については、現在作業が行われているものの明示されるには至っていない。
    また、河川及び道路の直轄管理区間等の点検と見直しについては、現在見直し作業中であり、どの程度縮減するかは明らかにされていない。
    関係地方公共団体からの意見聴取手続については、その方針が明示されてはいるものの、道路及び砂防に関しては、法令化などによる制度的な明確化のための対応までは行われていない。
    市町村等の参画の拡大については、河川については法律上の措置がなされたが、道路については国からの通知によりその方策が地方公共団体に示されているものの、法令化などによる制度的な明確化のための対応までは行われていない。
 
 (2) 統合補助金の制度内容及び運用状況
    統合補助金については、箇所付けしないことを基本として制度が構築され、運用がなされることが求められていた。
    所管省庁からのヒアリング及び事務局による実態調査を踏まえると、制度の面においては、第2次地方分権推進計画に沿った内容となっており、また運用の面においても、事業計画に従った補助金交付申請は申請どおり交付決定されており、交付決定後の事業箇所・内容等の変更も事業計画に適合している限り申請どおり認められている。また、変更手続が不要となる「軽微な変更の範囲」が拡大され、箇所間の流用が容易になっている。
    別途地方六団体地方分権推進本部が調査したところによると、地方公共団体側からは、対象事業の一層の拡大、「軽微な変更」の更なる拡大、国側窓口の一本化の推進などが求められているとのことであった。
    統合補助金は、平成12年度が初年度であるので、制度内容・運用状況ともに今後改めて評価がなされるものと考えるが、第2次地方分権推進計画の趣旨を踏まえ、地方公共団体の要望に応えつつ、実施されていくべきものと考える。
 
 (3) 地方道路整備臨時交付金の運用改善
    国が箇所付けをしないことを基本とし、交付決定後の個別箇所間の流用は、整備計画の範囲内であれば申請どおり認めること、変更手続が極力不要となるよう、「軽微な変更」の範囲を拡大することが求められていた。
    交付決定後の個別箇所間の流用は、整備計画の範囲内であれば申請どおり認められており、また、新たに要素事業の工事費の3割を越える変更であっても、交付金の額に変更を生じなければ、一部を除いて「軽微な変更」とされ、「軽微な変更」の範囲も拡大されている。
 
 (4) 各種開発・整備計画の見直しの状況
     国土総合開発計画等の見直しについては、国土審議会において検討しその結果を踏まえて結論を得るとされ、全国総合開発計画の対象となる事項の重点化、全国総合開発計画は地方公共団体が主体的に地域づくりを進める上での指針とすることの法制上の明示、計画策定過程における地方公共団体からの意見聴取の仕組みの法制化、国土総合開発法及び国土利用計画法の在り方についての総合的見直し、が求められている。
     これらについては、昨年11月にほぼ対応した国土審議会政策部会・土地政策審議会計画部会審議総括報告が出され、担当省庁は引き続き国土審議会において検討を進め、結論を得て法制化の作業を行っていくとのことである。
     大都市圏整備計画等の見直しについては、関係都府県が計画に盛り込む内容の案を作成すること、及び計画作成に係る地方公共団体の事務の合理化、が求められている。
     このうち事務の合理化については平成11年から取り組まれており、また地方公共団体による計画に盛り込む内容の案の作成については、既に近畿圏基本整備計画について関係府県が作成した計画に盛り込む内容の案に基づき策定され、今年策定される首都圏整備計画についても関係都県が計画に盛り込む内容の案を作成することとされている。
     条件不利地域振興計画の見直しについては、地方公共団体の自主的・主体的な取組みを促進するための方策の検討、計画作成を市町村が行う方向での検討、本省と地方支分部局での手続の重複の回避、複数省庁にまたがる場合の事務手続の簡素化、今後原則として法期限を設けること、が求められている。
     このうち、過疎地域活性化特別措置法については第2次地方分権推進計画以降に終期が到来し、その後新たに制定された過疎地域自立促進特別措置法においては、市町村が計画策定することとされ、その他の項目についても必要な見直し等が進められている。
    モデル型地域振興計画の見直しについては、新産業都市建設促進法・工業整備特別地域整備促進法の平成12年度末の廃止を含めた抜本的見直し、本省と地方支分部局での手続重複の回避、複数省庁にまたがる場合の事務手続の簡素化、が求められている。
    このうち、新産業都市建設促進法・工業整備特別地域整備促進法については国土審議会の答申が「12年度末に廃止すべき」と結論付け、既に廃止されている。
 
3 意見(平成12年8月8日)の措置状況
 (1) 国庫補助負担金の整理合理化と当面の地方税源の充実確保策
   @ 国庫補助負担金の区分の明確化と整理合理化 
     意見において示された区分に従って、この区分を適切な方法で明記すること、区分に応じた地方財政法等の規定等の整理が求められていた。
     また、区分に応じた国庫補助負担金の整理合理化を平成13年度予算から進めること、制度的に検討すべきものを除いた国庫補助金を対象とする国庫補助金削減計画の策定、また策定にあたって、制度的に検討すべき国庫補助金の範囲を必要最小限度のものとすべきこと、が求められていた。
     このうち、区分に応じた地方財政法等の規定等の整理については、既に平成13年通常国会において改正がなされているものの、区分を適切な方法により明記することについては、未だなされていない。
    また、平成13年度当初予算における国庫負担金は162,179億円で対前年比3.8%の増、国庫補助金は41,290億円で同0.2%の増となっている。
     削減計画に関しては、従来制度的に検討すべき補助金に分類されていたものの一部がその他補助金に移し替えられ、また、平成13年度当初予算におけるその他補助金は対前年比17.7%の減となっているが、求められている国庫補助金削減計画は未だ策定されてはいない。
 
  A 維持管理費に係る国直轄事業負担金の見直し
     段階的縮減を含めた見直し及び負担金の内容と見直しの状況についての積極的公開が求められていた。
     段階的縮減を含めた見直しについては、国家公務員の退職手当が雇用保険法の失業給付に満たない場合にその差額分を特別の退職手当として給付する失業者退職手当等の財源に係る経費に関して、平成13年度より地方公共団体の負担の対象から外す等の取組みが行われたところである。また、負担金の内容の公開については、地方公共団体との協議会等を通じて改善に向けての一定の取組みはなされているが、例えば、地方公共団体に対する積算通知の仕組みの構築といった取組みが十分に行われているとは見受けられない。
 
  B 国庫補助負担金の運用等についての改革措置
     従来から行われている超過負担の解消のための共同実態調査に加えて、各省庁自らがそれぞれ所管する国庫補助負担金について早急に具体的な措置を講じる仕組みを構築することが求められていたが、この点についての取組みが行われているようには見受けられない。
 
  C 法人事業税への外形標準課税の導入
     地方税として望ましい方向の改革であり、早期に導入を図ること、導入は地方税法を改正して全ての都道府県において共通して実施することが求められていた。昨年11月には中小法人や雇用への影響にも配慮した実現可能な具体案として自治省案が示されたものの、未だ全国共通の外形標準課税の導入に至っていない。
 
 (2) 法令による条例・規則への委任のあり方
    地方自治法第14条第2項の趣旨に照らし、地方公共団体が法令の委任を受けて、義務を課し又は権利を制限する内容を定めることとなる場合について、国の立法のあり方として、地方公共団体が「条例」という法形式で当該事項を定めることを前提とすべきとし、平成13年通常国会に所要の改正法案を提出することが求められていた。このため、平成13年3月に改正法案が提出されている。
    なお、政府の取りまとめにおいて「別途検討するものとする」とされていた都道府県公安委員会の規則等への委任については、意見は「個別の法令により権利義務規制を行うための基本的な規範の定立を地方公共団体の法規に委任する場合には、規則等ではなく条例に委任することを原則とするとの考え方を十分に尊重すべきである。」としていた。
 
 (3) 個別法に関する諸点
    廃棄物の処理及び清掃に関する法律については、抜本的な制度改正を行い、廃棄物処理行政における国、都道府県及び市町村のそれぞれの責任分担の明確化を行うことが求められており、また漁港法については、国は漁港等の整備に係る基本方針と長期の目標及び事業量を定め、個別の漁港の整備計画については漁港管理者である地方公共団体が主体的に定めることとするよう制度を抜本的に見直すことが、さらに道路運送法については、交通空白地帯における地方公共団体によるバスの運行の法制度上の位置付けを明確にすべきことが求められていた。
   漁港法については、意見の趣旨を踏まえた改正が今国会において審議されており、また道路運送法については、道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律の施行(平成14年2月1日)に向け、包括許可制度を法制上明確に位置付けるための省令改正を行うこととなっているが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律についてはその後特段の措置がなされていない。
 
4 市町村合併の推進についての意見(平成12年11月27日)の措置状況
   委員会の意見では、自主的合併の促進を基本としつつ、合併支援体制の整備、住民発議制度の拡充と住民投票制度の導入、合併推進についての指針への追加、財政上の措置、旧市町村等に関する対策、情報公開を通じた気運の醸成を求めていた。
   これに対する政府の取組みとしては、合併支援体制として、総務大臣を本部長とする市町村合併支援本部を内閣に設置している。
   住民発議制度の拡充と住民投票制度の導入については、改正法案を国会に提出している。
   指針については、新たな指針において、都道府県が全庁的な支援体制を整備し、合併重点支援地域を指定することを要請するとともに、合併協議会設置勧告の基準を明示している。
   財政上の措置としては、合併後の新たなまちづくりや公共料金の格差調整等についての包括的な特別交付税措置、合併移行経費に対する特別交付税措置を創設し、都道府県体制整備費補助金を創設している。さらに、合併後に地方税の不均一課税ができる期間の合併年度及びこれに続く5年度への延長、同期間における課税免除の特例の創設、合併後の事業所税の課税団体の指定の延期(最長5年間)、について改正法案を提出している。
   旧市町村等対策としては、新たな指針において、合併後の支所・出張所、地域審議会及び郵便局の活用、「わがまちづくり支援事業」の活用、合併に伴う市町村議会議員の選挙区の特例規定の活用を明示している。また、「地方公共団体の特定の業務の郵政官署における取扱いに関する法律案」が国会に提出されている。
   気運の醸成については、新たな指針において、合併に関する住民への積極的な情報提供を行うよう明示されている。また、「21世紀の市町村合併を考える国民協議会」が民間主導で設立されている。
 
5 その他
 (地方公共団体に対する補助的な事務処理の依頼)
   地方公共団体が調査を行ったところによると、国が各種の実態調査などを行うにあたって、地方公共団体が補助的な事務処理を行うよう、通知、依頼文書等を通じて地方公共団体に依頼しているケースが、相当数あることが判明している。その形態としては、国が全国調査を行うにあたって、調査表の作成及び提出を地方公共団体に依頼するもの、あるいは、市町村への調査表の送付及びその後の取りまとめを都道府県に対して依頼するものなどがあり、またその根拠付けに関しては、地方自治法第245条の4の資料の提出要求を根拠として行うもの、国が地方公共団体と委託契約を締結した上で行うものなど、さまざまである。
 このほか、計画上は廃止の扱いになっていたにもかかわらず、所管省庁において、当該事務について「協力連携事務」という独自の事務区分を設けるかのように、市町村の自主的・自発的な協力を前提に引き続き市町村に協力を求める動きがあったため、委員会の指摘に従って、調整を行った事例もあった。
   地方公共団体に対する補助的な事務処理の依頼については、機関委任事務制度が廃止されたにもかかわらず、従前どおり国が地方公共団体をその手足として活用しているということも考えられるので、地方分権推進一括法の施行により国と地方公共団体が対等・協力の関係となったことに照らして妥当なものなのかどうか、引き続き調査・検討が行われるべきであると考える。
 
 
U 監視活動に基づく要請
 
1 機関委任事務制度の廃止に伴う国の対応措置等について
 (1) 通達等の取扱いについて
    拘束力のない助言として取り扱うこととされているにもかかわらず、法令に基づかない国の関与を介在させる規定や法令に基づかない事務の義務付けを行う規定等が含まれている事例(別紙4参照)に関し、未だ所管省庁において改善がなされていないものについては、地方分権推進一括法の趣旨を踏まえて、削除等所要の措置を講じる必要がある。また、今回は地方公共団体から指摘がなかったものの、同様の問題を有するものが他にもあると考えられるので、随時所管省庁において適切な措置を講じていく必要がある。
    さらに、今後新たに発出されることとなる助言や処理基準においても同様の問題が生ずる可能性があるので、法令に基づかない国の関与や事務の義務付け等が行われないよう引き続き監視を行っていくための仕組みを構築する必要がある。
 
(2) 法定受託事務の処理基準の取扱いについて
    関係省庁が法定受託事務の処理基準を発出する旨を明示していたにもかかわらず、地方分権推進一括法施行から既に1年以上が経過して未だ発出されていないものも見られる。発出するとされていた処理基準が発出されないことは、地方公共団体の事務処理に支障を来たすこととなるので、該当する省庁においては早急に処理基準を発出すべきである。
 
(3) 法律・政令による法定受託事務の新設及び自治事務に係る特別の関与の新設について
    委員会は、機関委任事務制度の廃止に当たり、地方公共団体の事務を新たに自治事務と法定受託事務に区分したが、その際原則自治事務とすることとし、法定受託事務については、その定義とメルクマールを定めた上で、これらの基準に合致するものについてのみ法定受託事務と整理してきた。また、自治事務に係る特別の関与についても、国がこのような関与を行うことができる場合は例外的なものに限定すべきであるとの考えに基づき、その類型を示した。
    これらのメルクマールは政府が閣議決定した地方分権推進計画に掲載されているが、法令上の位置付けが行われていないこともあり、ともすると法定受託事務の新設や自治事務に係る特別の関与を極力抑制していこうとした本来の趣旨が貫徹されない恐れもなしとしない。したがって、今後とも適切な監視が行われていく必要がある。
 
2 第2次地方分権推進計画の措置状況について
(1) 直轄事業・直轄公物の縮減について
  @ 河川及び道路
    一級水系並びに河川及び道路の直轄管理区間の点検と見直しについては、「平成12年度中を目途に関係地方公共団体との調整を進める」とした第2次地方分権推進計画の趣旨を尊重し、関係地方公共団体との調整を急ぐとともに、当該基準の基本的事項等については、早急に法令に明示する措置を講ずるべきである。
    また、道路については、指定、廃止に際しての関係地方公共団体からの意見聴取手続について、第2次地方分権推進計画上は明示的に法令化するとはされていないが、制度的なものにするため、法令化について検討するとともに、直轄公物の管理に際しての地元市町村の参画の拡大についても、河川と同様に法令に明示することについても検討すべきである。
 
  A 砂防
    直轄事業範囲の指定及び地方公共団体への引継ぎに際しての関係地方公共団体からの意見聴取手続について、第2次地方分権推進計画上は明示的に法令化するとはされていないが、制度的なものにするため、法令化についても検討すべきである。
    なお、直轄事業・直轄公物の縮減に伴う地方への委譲については、受け手となる地方公共団体から、適切な財源措置の必要性について強い要望が表明されてきた。この点については、地方分権推進計画において「国から地方公共団体への事務・権限の委譲が行われた場合には、地方公共団体が事務を自主的・自立的に執行できるよう、地方財政計画の策定等を通じて所要財源を明確にし、地方税・地方交付税等の必要な地方一般財源を確保する」こととされており、さらに第2次地方分権推進計画においても「直轄事業及び直轄公物の見直しに伴い、地方公共団体が担う事務事業が増大する場合、地方財政計画の策定等を通じて所要財源を明確にし、これに必要な地方税・地方交付税等の地方一般財源を確保する」こととされていたものであり、適切な財源措置が講ぜられるべきことは当然である。
 
(2) 各種開発・整備計画の見直しについて
  @ 国土総合開発計画等及び大都市圏整備計画・地方開発促進計画
    第2次地方分権推進計画に対応した国土審議会政策部会・土地政策審議会計画部会審議総括報告(昨年11月)の趣旨を十分に踏まえ、引き続き国土審議会において検討を進め、結論を得て法制化を図るべきである。
    大都市圏整備計画及び地方開発促進計画についても、上記報告の趣旨を踏まえ、関係都府県が計画に盛り込む内容の案を作成し、国がこの案に基づいて必要な追加及び修正を行い、決定する仕組みとすべきである。
 
  A 条件不利地域振興計画及びモデル型地域振興計画
    条件不利地域振興計画については、各法律の終期において、引き続き第2次地方分権推進計画を踏まえ、当該立法の意義・必要性の再検討を行うべきである。特に山村振興法については、旧市町村の区域を単位とする山村振興計画について、計画の作成は市町村が行い、この計画に対する同意を要する協議は都道府県が行う方向で検討することとすべきである。
    同様にモデル型地域振興計画についても、施策の開始後一定の期間を経過した後に当該施策の在り方を再検討すべきである。
 
3 意見(平成12年8月8日)の措置状況について
(1) 国庫補助負担金の整理合理化と当面の地方税源の充実確保策について
  @ 国庫補助負担金の区分の明確化と整理合理化
    国庫補助負担金の区分について、一部未調整とされていたものについては、委員会の意見において国庫補助金として判断しており、これに従って整理を終えるとともに、区分の結果について、速やかに適切な方法により明記すべきである。
    また、区分に応じた国庫補助負担金の整理合理化を早急に進めるとともに、制度的に検討すべきものとされた補助金を除いた国庫補助金を対象として、一定期間、各年度の国庫補助金の削減率を定める国庫補助金削減計画を策定し、同計画を早期に実施すべきである。制度的に検討すべき国庫補助金の範囲については、引き続き必要最小限度のものとするよう努めるべきである。
 
  A 維持管理費に係る国直轄事業負担金の見直し
    維持管理費に係る国直轄事業負担金について、2度にわたる地方分権推進計画及び委員会意見において、再三にわたって、同種の地方公共団体の行う事業に対する国の負担との均衡、建設事業費と維持管理費の均衡、維持管理の形態、地域の受益と広域的効果等を総合的に勘案し、段階的縮減を含めた見直しを行うとしている点を十分に踏まえ、早急に見直しを行うべきである。
    また、負担金に関する透明性を高めるため、負担金の内容、特にその積算内訳について積極的に公開していくべきである。
 
  B 国庫補助負担金の運用等についての改革措置
    超過負担の解消に向けて、補助金等適正化中央連絡会議などを活用して情報交換を行い、各省庁自らが、それぞれ所管する国庫補助負担金の運用等の実態を把握し、早急に具体的な改革措置を講じることのできるような実効性ある仕組みの構築を行うべきである。
 
(2) 法令による条例・規則への委任のあり方について
    法律改正に続き、委員会意見において示した基本的な考え方に基づく所要の政令改正を速やかに行うべきである。また、政府の取りまとめにおいて別途検討するものとするとされていた都道府県公安委員会の規則等への委任についても、個別の法令により権利義務規制を行うための基本的な規範の定立を地方公共団体の法規に委任する場合には、規則等ではなく条例に委任することを原則とするとの考え方を十分に尊重し、今後の検討を進めるべきである。
 
(3) 個別法に関する諸点について
    廃棄物の処理及び清掃に関する法律については、処理施設の不足や不法投棄の多発など廃棄物処理が喫緊の行政課題となっている現状を直視し、廃棄物処理行政の抜本的な見直しを行い、国、都道府県、市町村のそれぞれの責任分担の明確化を図るべきであるとした委員会意見を踏まえ、早期の対応が必要である。
 
 
V 今後の監視活動のあり方
 
   以上指摘したとおり、現時点において十分に措置がなされていない事項があるので、これらの点については、今後政府による取組みを促していくための仕組みが必要である。
  また、地方分権推進計画上、平成13年度以降に措置されることが予定されていた事項(暫定法定受託事務の取扱い等)については、然るべき時期に政府による取組みを促していくことが必要である。
   さらに、今後法律、政令、更には処理基準等が制定、あるいは改正される場合には、新たな法定受託事務や国の地方公共団体に対する関与等が設けられるケースが多々想定される。その場合には、累次の委員会の勧告や地方分権推進計画で示されている考え方が適切に尊重される必要があり、法定受託事務が創設される場合にそれがメルクマールに則っているかどうかなど、監視していくための体制が必要である。
   従前の通達等の取扱いについても、今回地方公共団体側からの意見をもとに、所管省庁に対して改善を求めてきたが、今後も地方公共団体自身が適切な監視活動を行い、それをもとに問題点が提起される場合には、同様の働きかけを行っていくための体制が必要になる。
 
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