この「議事録概要」は自治日報紙(平成11年7月23日号)に掲載されたものです。
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【地方公聴会】(6月8日衆議院行政改革特別委員会)
【宮城県仙台市】
高鳥座長 これより会議を開く。順次、ご意見を述べていきだきたい。
佐藤仁一氏(宮城県岩出山町長) 十年間町政を担当してきたが、この間、(単独施策の)系列教科室型中学校の建設、町営バス、街路事業などを顧みると、国の画一的な統一性、公平性確保の面から地域特性を踏まえない行政執行が求められ、いかに住民の要望を実現するかで苦労した。国の行政執行、自治体に関する指導助言、許認可制度など、その壁にぶち当たったとき、国と地方のあり方について変革の必要性を痛感した十年でもある。(分権一括)法案の、地域の実情に沿った自主性、自発的な自治体経営を目指す姿は、自治体として切に要望してきたところだ。
一一年度予算だが、町民税だけでは職員を賄いきれないのが市町村の実態だ。分権推進委勧告では、財源の配分が明記されず、依然、国の財政権に依存する点が残念だ。市町村の自己責任が完結できるためにも、自治事務、法定受託事務の財源の満額確保に配慮いただきたい。市町村として合併は避けて通れない課題と考える。住民の合併に対する機運の高まりをもって進むことが重要であり、自治体の自主性、自立性涵養に意を注ぐよう要望する。
市川喜崇氏(福島大助教授) 自治事務に対する各大臣の是正要求だが、仮に違法状態が発生しても、その是正を地域で図ることが地域の自己責任であり、現行法にもない集権的統制手段を盛り込むことは理解に苦しむ。削除してほしい。議員定数も、地域住民がその意思で決めるべき問題であり、国が法律で上限を定める性質のものではない。自治事務に対する国の直接執行が個別法で可能となっているが、法改正の趣旨に反するものだ。また、市町村の関与は県を介すことから、不服は自治紛争処理委員に申し出ることになるが、同委員は自治大臣の任命になっている。しかし、県の関与には国の指示によるものが多いことを考えると、この任命方式で第三者性が確保できるか疑問だ。
都市計画法で、市町村と計画審議会が置けることになったが、「政令で定める基準に従い、条例で定める」となっており、市町村の自由な判断でできた審議会の組織・運営が政令に縛られることになる。(分権一括)法案は、よい芽と悪い芽の双方を含んでおり、悪い枝葉を切り落とし、分権の大樹を育ててほしい。
菅野恒信氏(岩手県自治労連中央執行委員長) 地方自治は、住民が自ら町を治めることであり、地方分権が地方自治の拡充を目指すものなら、住民の願いがどこにあるかが問われねばならない。県アンケートによると、「高齢化のニーズに対応するため関係機関が連携を図る」「税金を有効に使ってほしい」が住民の願いだ。そこに、分権法案はこたえるべきだが、逆行している面も少なからずある。第一は、機関委任事務が法定受託事務として残り、逆に自治事務にも国が是正の要求ができ関与が強まった。第二は、法案の狙いに、規制緩和と行政リストラ、新ガイドライン関連法案との一体化がある。第三に瀕死の状況にある地方財政について何の対策も講じられていない。これまで町を支えてきた商店街の衰退は目を覆うものがあるが、原因に大型点の出店だ。大店法が来年六月に施行されるが、自治体独自の条例・要綱に歯止めをかける条文が分権法に出ているのは憂慮にたえない。
熊谷市雄氏(自民) 地方財源の確保・税財源の配分についての要望は。
佐藤氏 現在の個人所得税の税率の一%を地方税に繰り入れると、地方と国の比率が五○対五○になる。もう一つ、現在の地方消費税のウエイトをもう少し拡大することが必要だ。
熊谷氏 宮城県が、町村合併の一つのケースとして新しい町村の組合せ構想を提示したが、どう評価するか。
佐藤氏 分権の受け皿として、我々はこれを示して住民の意識を高めていく必要があるだろう。ただ、各論に入ると、平場の都市基盤の整った市町村と、山間地や離島を含む地理的条件の不利地域の合併とは、当然、人口規模、行政需要が違っており、一律に人口規模により見定めることではない方がいいだろう。
平野博文氏(民主) この法案が通ったとき本当の分権社会が生まれるか
市川氏 法案が成立しても、第一歩にすぎない。まだ税財源の移譲が全く手つかずだ。あと、今回の改革の再点検が必要だ。法定受託事務と自治事務の区分がいいのかもう一回見直す仕組みを制度の中に織り込んでほしい。もう一つ、自治体の職員、住民の側の意識の転換も必要だ。
佐藤氏 まずもって一歩を踏み出す。その間に、地方自治体も人材育成を含め分権社会を確立するトレーニング期間とし、法案成立が必要だ。
若松謙維氏(公明) 町村は、権限移譲・業務の増加に対応できるか
佐藤氏 私は耐え得ると考える。そのためには、人材育成を図る内部改革をしなければならない。もう一つ、住民自治意識の活動の支援、NPO等に対する支援を強める、この二つの面をもって、受け得るとの決意を持っている。
若松氏 一括法案に合併推進施策があるが、それだけで十分か。
佐藤氏 合併は、地方分権に耐えうる体質改善から必要だとの基本的考えを持っているが、現実にどのようなプロセスで進めるかには不安を持っている。人口二○万で地方中核都市にはこういう権限を移しますよという物差しにはめれらた合併となると抵抗を感じる。ただ単に市町村が合併すればいいという議論でない。
市川氏 適正規模は、基本的に住民が決めるべき問題だ。何か一律にこの規模でなければ適正な行政をできないということではない。もちろん、県が合併モデルを示すのは構わないが、あくまで例示として示されるべきだ。
若松氏 人件費も地元の収入で賄えない、自治体の外からの財源で町運営が成り立っていることをどう認識するか。
佐藤氏 要は国からの委任事務が多いというとだ。そのため職員を抱えねばならない。
若松氏 税源確保について。
市川氏 所得税の比例部分を移せば一番いい。
佐藤氏 まずもって個人住民税の比例税としての比率を見直ししてほしい。また税は本社の自治体に入り、(過疎地の)工場には個人所得しか入らない。この税の再配分も今後の検討をお願いしたい。
三沢淳氏(自由) 国や県の関与が薄まって市町村の責任が増していくことについて。また、町長はユニークで先進的な施策を実行したが、国や県からいろいろ言われたのではないか。
佐藤氏 住民が自治意識を高めることになり、職員も議員や首長も住民の期待にこたえるべく気概を持って職責にたずさわれる。全国に先駆けて第三子以降に子育て支援金制度を創設、また、中学校は系列教科教室型と呼んで各教科の職員室が六つに分けたが、不登校生徒がゼロとなった。そのようなものをやる中で、国や県には大変な抵抗があり、県・国に足を運んで一ついつクリアした。子育て支援機能と幼保一元化により(住民から)好評を得ている。
松本善明氏(共産) 自治事務への是正の要求について。
佐藤氏 今回の法案で新たなパートナーシップが形成できるだろう。(是正要求の)明文化により(国の関与が)強まることは考えにくい。そのようなことがあれば、世論に訴え、改善を地方六団体を通じてやっていきたい。
松本氏 公共事業を根本的に見直すことが地方財源を拡充する点で重要ではないか。
佐藤氏 過疎地域ては社会資本を投下する事業は今まだ残っている。
市川氏 公共事業が是か非かの議論はできない。重要なのは、その評価システムをどう取り入れるかだ。本来地域で判断すべき公共事業を、補助金がついて国が判断する。この部分を改革することで問題は是正できるのではないか。
菅野氏 船が来ないのに何百億で港湾整備することが(本に)書かれている。その中には地元負担もあり、公共事業のため地元が大きな負担を担っている。
松本氏 市町村合併について。
佐藤氏 基本的には住民の自主性による合併だ。
松本氏 地方自治の拡充で条例を制定することが重要だが。
佐藤氏 条例をつくっても国の政令・省令があればそれに負けてしまう。これを是正するのが今回の分権法の大きな役割に今後なるだろうと期待している。
市川氏 今回の改革のポイントは法定受託事務も条例制定権の対象となったこと。これをどう生かしていけるかが今後の自治体の課題だ。
深田肇氏(社民) ここだけは削除せよというところを聞かせてほしい。
市川氏 自治事務に対する改善要求に関して自治体が改善義務を負うことだ。現行法は総理大臣の要請でやるので発動されなかったが、今回は各大臣となって、おそらく頻繁に発動されるであろう。
佐藤氏 地方分権を確立する段階では削除が望ましいだろうが、一歩としてスタートする、今回の法案の早期成立を望む。
十年間の経験で国ともめた点にJR駅を建てるときの財政支出がある。(系列教科室型中)学校もそうだが、市町村としてどのようなビジョンによりそれが必要視されお願いしているか、とことん話し合う必要がある。単に明文化されたからどうのということではない一面もある。
深田氏 議員定数が話題になっているが。
佐藤氏 住民の声に二つある。定数を削減してはどうかという論と、一人でも多くの市民の声が議会に反映されるようにと。やはり、適正な議会構成は住民ニーズの中で出てくる。
市川氏 適正な議員数は地域住民が決めることだ。歳費を減らして議員数を増やすこともできる。地域の選択を狭めることをしてはならない。その結果、歳費が増えても、住民が判断すればそれでいい。
深田氏 住民投票について。
佐藤氏 自治体として一大的な決断を要する問題は、やはり住民投票制度は必要だ。
市川氏 住民投票がすべて有効とは言わないが、日本の現状に照らせば、もっと取り入れられていいのではないか。
菅野氏 大いにこれをきちっとしていただきたい。
 
【三重県津市】
中井座長 これより会議を開く。順次、ご意見を述べていきだきたい。
北川正恭氏(三重県知事) まず集権から分権を考えるべきだが、そうすると自治体に任せて大丈夫かとの議論がある。それを容認してたらいつまでたっても変わらない。失敗する自由も与えてみなさいと言いたい。(現在のシステムは)国、県、市町村がそれぞれ責任をとらなくてもいい、順番に責任を転嫁できやすい体制になっている。そして、三二○万人を超える地方公務員が、いかに予算をとってくるかという思考に陥ったとき、日本中が金太郎あめ、競争がない。システムがそうしているわけで、才能を殺している。職員が勇気、情熱を持って、真剣に考えて行動できるシステムにするには、権限と責任を明確にしないといけない。
国会の一括法案で機関委任事務を廃止することは特筆大書すべき大きなことだが、あわせて税財源の移譲がなければ、システムだけつくって税財源は別ではとおらない。また、県へまず移譲というにおいが強いが、市町村への権限移譲を含め、市町村のあり方も議論しなければならない。今まさに時代大転換期。二一世紀の日本がえみてくるようにし、自治体も責任を明確にし、失敗したら責任をとる形にすれば、自治体もますますやる気がでてくる。
牛山久仁彦氏(愛知大助教授) 地方は長きにわたり国の後見的監督のもとにあり、気がつくと、住民に新しいサービスを提供するときも国にお伺いたてなければできない。この結果、自治体は自分の頭で考えることをやめ、住民も地域問題に関心を持たなくなる。分権一括法案は、こうした状況を打破し、自治体の自己決定権を拡大するものでなければならない。この点、法案の問題点として、二級河川の管理や生活保護は自治事務でよいなど、もう一度、法定受託事務を見直すことが望まれる。次に、自治事務に対する是正要求は権力的関与を認めるもので、自治体や地域住民に最終的な責任は国が負うとの間違った意識を植えつける。公益法人の許可は都道府県の自治事務だが、法案では関与が強まる。今後、(都道府県の)NPOに対する税制優遇措置の検討に障害となる可能性がある。都道府県の市町村に対する関与も限定すべきだ。
分権の受け皿の市町村合併は、住民の自己決定を前提にすべきで、都道府県の指導や勧告は分権改革に逆行する。また、自治法は自治体の組織・機構について詳細な規定を設けているが、全国一律の規定は地域住民が創意工夫で地方自治の仕組みをつくる障害となっている。全文削除すれば、委員会制やシティマネージャー制など地域実情と要望に応じた多様なシステムが生まれる。
渡名喜庸安氏(愛知学泉大教授) 機関委任事務制度の廃止は評価するが、改正案では、法定受託事務の定義が国の側から見た観点だけが強調され、今後、法定受託事務がどんどん増加し、国があれこれの手段を使って自治体に執行を強制することが懸念される。二点目に、自治事務についても、国が直接執行できる並行権限の規定が盛られている。自治事務であっても国が直接執行できるという規定が建築基準法や水道法、医療法改正案などにも取り入れられている。そうなると、国・自治体間の事務区分は無意味になり、自治事務の形骸化が懸念される。都道府県・市町村の関係でも、関与の強化という基本的問題は変わっていない。
自治事務・法定受託事務の両方に条例制定権が保障されたことは評価するが、いわゆる侵害留保説と呼ばれる規定(改正案一四条第二項)が新設されている。義務を課し権利を侵害する行政だけでなく、権利、利益を与える行政についても条例で定めるべきではないか。経費の節減を目的にした議員定数削減を内容とする上限値の法定は、地方議会に地域住民の意思が公正・十分に反映れれなければならないとの憲法上の議会制民主主義を形骸化する危険性をはらんでいる。定数は条例で定めるとすれば足りる。
宮島大典氏(自民) 法案について、地方サイドとしてどう受け止めるか
北川氏 制度的補完性というのは、一つのシステムができると集権が集権を呼び、その体質を戦後ずっと五十年つくりあげてきた。だから、今、お上に逆らったら得なことはないという現実論が優先するのは当たり前。それを壊していただきたいと声を大にしている。お互い補完しあった制度を抜本的に見直さない限り、二一世紀の日本は暗い。
宮島氏 財政の地方分権は、どうあるべきか。
北川氏 お国が二とって我々は一いただく、そして配分するときは我々が二使っうという原則がある以上、足らざる一に対し私どもは上京し本省へ行って陳情する。「お願い」だから、情けを述べることで、理屈を述べに行くわけではない。これは差別用語だ。必要なものは必要なところで確保する税財源の独立が必要だ。
もう一点、情報公開になれば国と地方の係争処理がどんどん出てくると思う。私も出すつもりだ。なぜかというと、情報非公開の世界では権力のある側が強いが、情報革命はそれも破壊した。一番最先端の市町村に税財源や予算の執行権が移れば、これこそ最大の情報公開だ。
宮島氏 市町村合併に県としてどう取り組むか。
北川氏 介護保険とかごみ・し尿とか、様々な問題で広域連合でやっていただけないかと、我が県は、財政でインセンティブを与えている。一義的には、結婚はご本人たちの自由に任せていくべきだ。しかし、国でこの国の形、地方自治体の形、国と県、市町村の関係も本当に義論するなら、積極的に議論に参加したい。
小林守氏(民主) 法定受託事務を今後、どのようにコントロールせねばらないか。
牛山氏 法定受託事務が非常に多くなる。歴史的にも、機関委任事務が増えてきた事実がある。メルクマールで法定受託事務を振り分けているが、これでは弱いというのは言われたとおりだ。そこで、振り分けについて、あらかじめ法定しておく考えもある。
渡名喜氏 これ以上法定受託事務が増大されないよう、法定受託事務の定義づけを検討するのも有効かと思う。自治事務に求められていた地域実情に応じて特に配慮しなければならないという規定、自治体の自主性が法定受託事務にも求められていいのではないか。
小林氏 地方事務官が国の直接執行事務になったが、特に国民年金事務には市町村が大きな役割を果たしており、住民サービスが低下すると思うが。
牛山氏 住民サービスが低下する可能性がある。これは直接執行事務ではなく法定受託事務で処理し、地方事務官は地方公務員に整理する方がいいと思う。
小林氏 国民年金が大きな核になって、自治体の保険・医療・福祉行政、介護保険制度も運営される。ナショナルミニマム確保の責任は国にあるが、運営は都道府県・市町村が働かねばならないと考えるが。
北川氏 社会保険事務関係は地域住民の生活に密接にかかわっており、サービス低下を招かないか心配している。地域住民に近いところで執行事務となりうるよう制度そのものも含めて検討いただきたい。
小林氏 自治事務に対する是正要求に対する改善義務化は、関与の新たな強化ではないか。政府は、そのため国地方係争処理委員会を前置し、裁判でも争える制度を導入したと説明するが。
牛山氏 係争処理委員会の位置づけだが、その第三者性がどの程度確保されるのか明らかでない。もう一つ、係争処理委員会が東京の方に置かれるだろうが、県、市町村の係争処理で、全国の自治体がそのたび東京へ出てこなければいけない。それを地方に置くなど工夫が考えられる。
渡名喜氏 あらかじめ審査を申し出た上で訴訟を提起する審査申し出前置き主義が制度化されており、かなり時間がかかるのではないか。裁判所の判決が下されるまでは従わねばならない義務があることも問題だ。また、国地方係争処理委員会は、自治事務には違法・不当な場合も勧告するが、法定受託事務には違法と認める場合に限って勧告する。差を設ける合理的根拠があるのか。
石垣一夫氏(公明) 地方分権の制度が定着するにはどのくらいかかるのか。
北川氏 できるだけ早く、ぜひ、みんなの努力でやっていかないといけないという気持ちを表明させていただく。
牛山氏 戦後の長きにわたり、自分で考えることを取り上げられてきたが、もう一度自分たちが考えて町をつくっていこうと住民、自治体もなる。そのため、たくさんの権限と財源を移譲する、その速さにより自治体が自治の担い手として確立されるスピードも決まる。
渡名喜氏 本来の地方分権が定着するには、税財源の移譲等の課題が今後重要な課題として提起されてくる。
石垣氏 都道府県の市町村に対する関与のあり方について厳しい意見も出ているが。
北川氏 縦割り行政の中で、中央集権では、その範囲の中で県も市町村も入っているので、ものすごく限界を感じているのが実態だ。私どもも、国に要望する以上は、市町村と最大限、早く対等・協力の関係にするよう努力しなければいけないと、いま苦しんでいる最中だ。
石垣氏 市町村の統廃合問題も大きな課題となってくるが。
北川氏 県には九六市町村あるが、これほど交通事情がよくなった前提で組まれていない。したがって、市町村を九つの生活創造圏域に分け、県の単独予算を付加する努力をしている。もう一つ、交付税が合体したら半減するのでは動かない。その税財源がクリアーされないと、県知事の立場で明確に合併促進はいいにくいし、行ってもムダナなこともあるし、無用の混乱を起こす現実もある。部分的なびほう策でなく、抜本的に税財源まで踏み込まないといけない。
石垣氏 国の関与をどうすれば排除できるか。
牛山氏 自治事務に対する是正要求・改善義務、しかも各大臣にまで広げられている部分は削除してほしい。(国会審議の)自治大臣答弁で、国が最終的に関与しないといけない、自治体が間違ったことをしたらどうするとの発言があったが、どうして国は間違いがなく自治体にはあるのか。そこに自治体は信用できないという国の考えが根強くあるのではないか。その意識改革からしていかないといけない。
渡名喜氏 代執行、直接執行、是正要求といった自治体の自主的な処理を阻害する権力的関与は削除すべきだ。それから、法定受託事務も自主的な処理が認められる余地が残される関与を採用しなければ、自治事務と法定受託事務に振り分ける意味が薄くなる。
平賀高成氏(共産) 自治事務に対し各大臣にまで是正措置要求が出せる。そうすると、産廃処理場の問題で、知事が住民の意見を尊重する判断をした場合、厚生省が是正措置要求だとなると、住民の意見は尊重されなくなる。
渡名喜氏 指摘のような問題が出てくる可能性はある。国の法令の不十分さを自覚しながら地域環境を守るため、いわゆる要綱行政を自治体は苦肉策として展開してきた経緯がある。指摘のように、是正措置要求、措置義務、権利義務に関する規定は条例によらねばならない、要綱ではまかりならないということになってこないか。自治体の要綱行政に抑制的効果をもたらすのではないか危惧する。
平賀氏 米軍用地特措法改悪で、国民の財産を自由に取り上げることができることになる。
渡名喜氏 収用委員会制度を形骸化せしめないか、憲法を無視した悪しき立法例とならないか懸念している。
平賀氏 是正措置要求、特措法の問題など、分権の逆に行っていると思うが。
北川氏 分権に逆行する部分もなきにしもあらずだと思う。しかし、一番大きな問題は情報公開だ。権力的な、行政指導とか助言だとか、もうあきらめた方がいいと思う。現実、必ず自治体は反乱を起こす。そうでなければ、情報公開のもと、主権在民の思想からいって、今までの集権官治がもたないことを明言しておきたい。
平賀氏 合併は住民の意思、合意を前提にすべきだが。
牛山氏 合併自体は市町村の足腰を強くする意味で可能な地域等、住民が望む地域はした方がいいだろう。現状のように、分権だから合併しろということではなく、自分たちがこういう町をつくるのだという形で声が起こってくるような合併運動が適切だ。
濱田健一氏(社民) 現行法より逆行するものがあれば正すことが大事だが。
北川氏 国の権力的関与が増える可能性も、今までの発想だとあると思うが、情報公開法ができたとき、そんなことは不可能だ。地方分権をやると言っているにもかかわらずマイナスなことを平気でやるようなことがあれば、官僚体制は崩壊する。
濱田健一氏 地方分権法のスタートに当たり、地方自治の理念や原則をうたった基本法制定が必要と思うが。
牛山氏 組織や運営について詳細に地方自治法が定めており、地方自治にとって大きな縛りとなっいる。私も参加して地方自治基本法案を発表した。地方自治基本条例を各自治体レベルで作成し、その上で自治体が自由に組織や運営を決めることを描いたが、それが制定されれば望ましい。
濱田健一氏 これからもっと必要な点はどういうものがあるか。
北川氏 すべてをそろえて解決するか、試行錯誤を覚悟しながらともかく一歩踏み出すかということで、私どもは議論から実行へ移していただけたらとの気持ちがある。国の自治体に対する不信・不安があるという指摘はそのとおりだ。国に要望する以上、私どもも受け皿をしっかりつくる、もう努力せざるを得ない時代背景がある。
牛山氏 関与を認めると、ある意味で、自治体を安心させる、最後はやはり国が責任をとってくれるとなると、地方自治の今後の進展は遅れるので、慎重に審議いただきたい。
渡名喜氏 この法定受託事務は自治事務の方がいい、この関与は非権力的関与の方がいいと、具体的な審議が重要だ。今国会の成立より、徹底審議が求められる。