この「議事録概要」は自治日報紙(平成11年7月2日号)に掲載されたものを転載したものです。
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 【総括的一般質疑】(5月27日衆議院行政改革特別委員会)
岩永峯一氏(自民) 自主的合併ということもあるが、基本は国が改革する将来像を提示し、県の合併、市町村の合併を積極的に行ってほしい。市町村の権限が大きくなった状況の中では、(県は)州制度でいいのではないか。
野田自治相 機関委任事務制度を廃止し、事務の区分けをした結果、自治事務が県では七割り、市町村では八五%程度となる。その事務を遂行するための財政基盤、組織基盤、人材の確保を考えると、小さな規模では限界があるので、今、市町村合併を大幅に促進しなければならない。
中桐伸五氏(民主) 一九五一年の神戸勧告や九四年の地方六団体の意見書では国の役割を数十項目に限定した。国の役割を限定し、否応なしに権限移譲を進めるような態度で臨まなければ、中央集権の体質は変わらない。
野田自治相 改正自治法で、国が本来果たすべき役割に係る事務として「国家の存立にかかわる事務」「全国的に統一して定めることが望ましい国民的諸活動、地方自治に関する基本的準則」「全国的規模・視点で行わねばならない施策・事業」を規定した。
中桐氏 これからは国が関与するものを限定し、公共事業も原則地方に移すことか重要だ。
野田自治相 現在七、八割ある機関委任事務が結果として三割程度の法定受託事務に小さくなっている。特に、国の自治体に対する関与も、法律・政令に基づかなければ国は関与できないようにした。住民に身近なことは自治体が主体的に判断する形にもっていかねばならない基本原則は、今後、どのような事業であれ生かされていくものと考えている。
中桐氏 国の関与が最も多い省庁は建設省だ。都道府県の都市計画の決定(都市計画法一八条)は建設大臣と協議し同意を得るとされているが、その前提である「国の利害に重大な関係がある政令で定める都市計画」とはどういうことか。
関谷建設相 大きな河川とか道路とかは国が一括してやらねばならない。また、二つ以上の府県にわたることも、やはり建設大臣の許可など指導のもとでやっていかねば。今まで建設大臣の認可が、今度は協議し同意を得ることに改正するわけで、地方分権の趣旨に沿っていると考える。
 中桐氏 分権推進委の第二次勧告では、都市計画の調整のあり方の項目で、明確に都道府県の区域を超えた広域的視点という文言があったが、なぜ落ちているのか。
関谷建設相 都道府県が定める一定の都市計画について、認可にかえて協議・同意としたが、これは、国の利害との調整を図る観点から必要不可欠な関与であり、今回の改正案で「国の利害との調整を図る観点から」と明確に定めた。
中桐氏 「国の利害に重大な関係がある」という表現だけでは納得いかない。
関谷建設相 国の利害に関するものは、大臣がチェックすることでなければ、全国を一つの範疇に置いて社会資本を整備していくことができないのではないか。
中桐氏 第二次勧告で、都道府県の区域を超えた広域的視点を明記している。それを落とした理由は。
山本正堯・建設省都市局長 法制局で法制的に整理した段階で、国と重大な関係があるということで書かせていただいた。
 中桐氏 都市計画法二四条で、簡単に言うと、都市計画中央審議会の確認を得た上で、大臣みずから必要な場合は措置(国の利害に重大な関係がある事項に関し、計画区域の指定・決定・変更のため必要な措置を指示できる)を行うとなっている。先ほど自治大臣は、自治事務については代執行は個別法にはないと答えているが、この規定は大臣自身が直接執行できる規定になっている。この国の利害に重大な関係があるとは、どういう事項か。
山本建設省都市局長 国土の骨格を形成する高速道とかの都市計画決定は、全国的な広域的な観点から都市計画決定する必要があるが、例えば一部の県で行われない場合、国の政策の円滑な実現の観点から非常に支障が出るので、そういう場合には指示することが予想される。
中桐氏 分権計画には、国に直接執行が許される範疇は、「国民の利益を保護する緊急の必要がある場合」とされ、国の利害に重大な関係があるかないかは要件になっていない。
関谷建設相 例えば一級河川などは、ある地方で認定されないと、完成できないから、国民の生命財産の安全確保という立場から考えたとき、いわゆる国の利害に重大な影響を及ぼす、そういう事態だと思う。
中桐氏 従来は、裁判を通して代執行する形になっていた。ところが、都市計画中央審議会の確認をしたら後は措置できる。しかも、審議会は東京都の例では一件について二・四分、これが審議会の実態だ。自治事務で、都道府県あるいは都道府県を介して市町村に、形骸化している審議会を通して確認すれば変えられるというのは問題だ。代執行もどきだ。
野田自治相 基本的に自治事務にはできるだけ(代執行は)置かないことになった。なぜ、できるだけという限定が付いたかというと、同じ法律の中で上下関係はつくれないとい立法技術の問題があった。
そこで、一たん自治事務に分類されたものにも、同じ事務を国の行政機関が法令の定めるところにより自らの権限に属する事務として処理する、言うなら並行権限の行使を考えられているが、これは分権推進委勧告にも述べられており、それを踏まえ分権計画で国民の利益を保護する緊急の必要がある場合には行うことができるということになっている。例えば、医療法に基づく事務とか精神保健・精神障害者福祉に関する法律に基づく事業の停止命令、そういったことが該当するという形で、厳格な要件を付した上で
行うことができることになっている。
山本建設省都市局長 個別法に基づき、こういう指示の規定もいいと分権計画にも掲げており、それに基づき、現在の都市計画法の指示の規定をそのまま、自治事務だが、その性格、必要性は変わらないということで二四条で規定させていただいた。
中桐氏 公共事業とか統括補助金とかは、分権推進委の第五次勧告を受けてこれから取り組むと思うが、地方分権推進法は来年でリミットを迎える。この期間にどのようなスピードでやる予定か。
野中官房長官 今後の分権推進委の活動は、委員会の判断を尊重したい。
 平野博文氏(民主) 法定受託事務の定義を読むかぎり、国の直接執行事務でも問題ない、自治体になぜ実施してもらうかが明確に書かれていない。
野田自治相 法定受託事務の定義は、今回、自治事務と同じように地方団体の事務と位置づけた。しかし、内容が国が本来果たすべき役割にかかる事務でもある。そのため適正処理確保に対して、国として自治事務とは違った高い責任と関心を有する性格を明らかにした。
平野氏 やはり利便性、事務の効率を高めていくため法定受託事務にしたんだと、ここが(分権推進委勧告から)抜けている。
野田自治相 (利便性等は)国の事務とするか地方団体の事務とするかという際の基準として重要なメルクマールになる。そこで、国の事務でなく地方団体の事務となった後、国と地方の振り分けの基準をあえてここに入れなくてもいい、その作業は終わったという前提でこういう規定になっている。
平野氏 今回の改正案で、(法定受託事務が)政令でも定められるとなっている。これでは、各省庁の権限によって法定受託事務がどんどんつくられる仕組みになっているのではないか。
野田自治相 政令で法定受託事務を創設する場合も、法定受託事務の定義に該当する必要があり、閣議決定したメルクマールに従うことになるので、法定受託事務が無限定に創設されることにはならない。
平野氏 時間がたてば、政令の中で勝手に行われることもあるわけで、行われないという担保がとれているのか。
野田自治相 いきなり政令で創設するわけにはいかず、必ず根拠とする法律がある。その法律制定時に国会での審議を経た上で制定される。
平野氏 地域住民からみたとき、地方分権が進んだと感じるために何が必要か。
野中官房長官 真に地方自治たるためには、住民がみずから主権者としての認識をもっていただく、また、市町村が市町村たるような状況を作らねばならない。地方分権を全うし、地方の主権を回復するため、地方団体の合併が大胆に行われねばならないし、それが地方分権の大きな認識を住民自身に与えることになる。
平野氏 今回、地方財源は次だ、との答弁もあったが、本来表裏一体のものでなければならない。
野田自治相 一括法案は、トータルパッケージとしての地方分権を推進する全体系を網羅したものではない。本来ならそれ(役割分担の明確化等)に合わせて財源面が伴っていれば申し分ない。しかし、国と地方の間の税財源の配分については、少なくとも現在の経済状況がノーマルな姿に戻らないと、正しい配分結果が得られないと考える。
平野氏 財源問題抜きに地方の自治の確立は図れない。地方交付税は、分かりにくい算出基準で、自治の確立につながらない制度だ。行政が一生懸命効率よくやって節約すると交付金が少なくなる、だらだらやっていると交付金が増える。こうなると、働かない方がいい、ヒモつきをもらった方がいいとなる。
野田自治相 地方交付税の計算方式がややこしいというのは指摘のとおりだ。よく言えば、きめ細かく補正を積み重ねた結果でもあるが、もう少し見直せというのは一つの考えであり、我々もそのことを念頭においている。
いま一つ、地方団体が一生懸命努力しても交付税が減り税収を増やす努力をしなくなるとの指摘だが、現在、超過課税分は基準財政収入額にカウントしない、税源涵養努力の結果も、税収算入に当たり府県では八○%、市町村では七五%という形でやっている。
平野氏 一番大事なことは地方団体に課税権をもたせることだ。
小渕首相 基本的に、そういうものが必要かといわれれば、それは必要だと思う。
山本譲司氏(民主) 今後の分権推進委の役割について。
小渕首相 今後の分権推進委の活動は、委員会の判断を尊重したい。
山本氏 地方分権には財源、権限、人間の三ゲンセットの移管と言われるが、これが逆に使われている。例えば自治省だけでも二○○人以上の出向者がある。この人的配置で上下・主従関係を続けていくのか。
小渕首相 本省庁から地方団体への出向者は計一、一四六となっている。相互対等交流の促進を原則として、人事交流を必ずしも否定すべきものではないと考える。
山本氏 自治体のいろいろな行政施策への市民参加を拡大すべきと考えるが。
小渕首相 政府では、分権計画を踏まえて、引き続き、住民投票制度や直接請求制度の見直しの検討に取り組みたい。
山本氏 (議員定数は)自治体の中で定数を決められるとはいえ、地方議会からみると機械的に上限が決められてしまう。どういう考えで議会の上限を設定することに至ったのか。
野田自治相 明治以来、法定定数制度が維持されてきた歴史的経緯があり、法律で基準を定めることは適当ではないか。そうはいっても、法律で全て決めるのではなく、現行制度下で採用している実質的な議員定数を勘案した上で上限を定めて、今までの法定定数というやり方を変更した。
山本氏 地域地域にあった議会構成がある。にもかかわらず、ばさっと切ってしまうのはいかがなものか。
野田自治相 法定定数という形よりは上限で縛るという形の方がよりいいのではないか。
山本氏 野放図に定数を増やせば議会自身が有権者から判断を下されるわけだから、あまり上限という縛りをかけないようお願いする。
補助金が、自治体が霞が関にモノを言えなくし萎縮させている。第二次分分権計画の統合補助金制度の目的は。
宮沢蔵相 国が箇所付けをしない、これが基本だ。一二年度から創設しようということで、来年度の予算編成で、できるだけ多く実現することで各省庁が努力している。
山本氏 いわゆるヒモつきではないと受け取られるような将来的な補助金の姿にすべきと考えるが。
宮沢蔵相 総論として、国が一つ一つ自分の省庁の補助金をもって、それで地方に影響を及ぼすことは余り関心したことではない。そういことはやめたいが、今そこまで大きく中央・地方を動かせないから、今の間でも、各省庁で重複するものは一緒にするとかをできる限りやってみようと。同時に、地方の方でも、もうつまらないものをあれこれヒモつきでもらって迷惑だという声は聞こえているから、そういうことで分権計画の精神をあらわしてみたい。それから、新しく補助金を設けるとき、これは五年以内だと終期を設定するよう努めている。
山本氏 今、さまざまな自治体で町づくり関係の条例がどんどんできている状況をどう認識するか。一時、宅地開発指導要綱に対し、建設省が通達でありま縛りをかける要綱を作るなと。今回の地方分権で、こういった自治体独自の条例がつくりやすくなるのか。
関谷建設相 町づくり条例は現在、三七都道府県、四八七市町村で策定されている。個性ある町づくりのためいい方向でこれがつくられるなら、進めていくべきではないか。そういうものが、つくりやすくなる方向に指導していかねばならないと思う。
山本氏 昨年の都市計画審議会の報告で、上乗せ条例は問題だが、町づくり手続き条例で詳しく定めることはいいと記述されている。
山本建設省都市局長 都市計画手続のあり方、条例との関係等について都市計画中央審議会の小委員会で現在検討している。
山本氏 市町村の都市計画審議会が来年四月から法定化される。都道府県の都市計画審議会の議事録公開は。
山本建設省都市局長 公開が二二、非公開が二四で半々だ。
山本氏 中央審議会も都道府県の審議会も原則公開といいながら非公開性が強い。市町村の審議会(約二、○○○自治体が任意設置)は市民からの公募とか、会議そのものの公開もあるが、法定化することで、逆に、非公開性が高まることを危惧する。
関谷建設相 今までは、土地等の関連も多く個人的問題があって公開しなかったところが多々あったが、今はそういう時代ではなく審議会は本当にオープンにやる方向、それが地方分権の一つの向かっているとこでもあると認識している。
佐藤茂樹氏(公明) 公共事業の役割分担を議論した第五次勧告に当たり、内閣が指導性を発揮した形跡がほとんどない。
野中官房長官 あの五次勧告を見て、むしろ地方団体が混乱した。例えば、国道五八号線以下は全部都道府県の所管にするとか、県内を一つの河川とするのは全部地方に移る、とかいう具体的なものが出てきた。各省庁が反乱を起こしたのではなく、地方の声が戸惑い・不安となってあらわれた。そういう中で、統合補助金を含めて当初の案とは異なった結果だが、あのまま行ったら地方はむしろ分権への勢いを失ってしまったというショッキングな状況であった。したがって、これは地方分権への一里塚であり、これから幾つもの山を越えて地方分権を確立していかねばならい。
佐藤氏 分権推進委の西尾座長が「建設省から交渉役として認められなかった、と憤慨。座長辞任の意思は固い」との報道まである。建設相はどういう見解で交渉したのか。
関谷建設相 国道五八号線以外はすべて地方道にするとあったが、そんなことが地方から求められているのか。一級河川も、国として扱っていかねばならないのではなか。西尾座長がそういうことを言われたとき、余り現実を認識していないいわゆる優秀なお方であるなと正直に述べたし、推進委員会でも建設省の役人は正直に述べさせていただいた。
太田総務庁長官 これ(第五次勧告原案)は一部の限られた大都市の首長さんだけが大歓迎で、一般の市町村長・知事は、ほとんど反対だった。お金がかからないわけだから国の直轄でやってくれと要望し、やっと実現したことだから、そう考えるのはやむを得ない。
佐藤氏 直轄事業の見直しの基準づくりが関係審議会任せというのは疑問だ。
関谷建設相 現在、河川審議会と道路審議会で検討を進めており、七月にも答申を得て、速やかに指定基準の策定に取り組む。
佐藤氏 今までの地方分権推進改革が第一ランウドとすれば、第二ラウンドはどうすすめるのか。
野田自治相 これで一○○%、地方分権推進のためのシナリオが出来上がったかというと、まだ残っている。フォローアップも含めて、来年七月までの間に検討し対応したい。
佐藤氏 建築基準法は原則全部自治事務にするが、国の利害に大きく関係する建築物の建築許可を自治体が出さない場合は、最終的に建設大臣が自治体にかわって建築許可を出せる直接執行制度が建築基準法一七条に新たに設けられている。分権に逆行する。
関谷建設相 現行では、建築主事等が違法な処分をした場合、建設大臣が代執行する制度だが、今回の改正案では、この要件に加え国の利害に重大な関係がある建築物に限定して、さらに政令で定める審議会の確認を得る手続を経た上で直接執行できる制度を設けている。ごくまれなるケースだろう。
佐藤氏 具体的な要件とは。こういう例外措置は、ほかにも一括法であるのか。
関谷建設相 その建物が建築されなかった場合、国家の存立にかかわる施策や全国的視点からの施策の実現が困難となり、結果として国の利害に大きな影響を与えるものということだ。例えば、劇場とかデパート等の建築物に構造上の欠陥があり、崩壊の危険性がある場合などはそれに当たるのではないか。また、重要な防衛施設とか原子力発電所などが当たる可能性がある。
野田自治相 都市計画法、国土利用計画法、児童福祉法、医療法、精神保健・精神障害者福祉法などがある。例えば、医療法では、病院等の施設の使用制限命令で「国民の健康を守るため緊急の必要がある」との規定がある。本当に緊急な場合、放置できないという意味で直接執行することができる道を例外として開いた。
東中光雄氏(共産) 米軍用地特措法では、従来の自治体が行ってきた代理署名や公告縦覧などの収用手続の事務をすべて国に吸い上げた。その上、新規の土地強制使用について緊急裁決、首相の代理裁決制度までつくった。これは大変な大改悪だ。
野中官房長官 極めて高度な公益的な要請を満たすもので、私有財産権の尊重に欠けることがないよう補償額の決定のための詳細な手続を定めており、憲法に反するものではないと考える。国が手続上困難なものを地方お渡しておったが、今回、国が行う責任を明確にしたと理解している。
深田肇氏(社民) 主権者の意識や意思をどう政治に反映させるかが伴っていかないと、行革をやった、分権法をつくった、これで皆オーケーということではいけない。
小渕首相 住民投票制度や直接請求制度の見直しの検討なども今後取り組んでいき、この法律が意図することについて、住民が十分その権利を主張し、自治が、地域が発展できるよういろいろの仕組みは考えていかねばならない。