この「議事録概要」は自治日報紙(平成11年6月25日号)に掲載されたものを転載したものです。
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【総括質疑】(5月26日衆議院行政改革特別委員会)
山口俊一氏(自民) 省庁改革、地方分権の早期成立にかける総理の決意を。
小渕首相 今回の改革は、国の役割のスリム化、重点化と行政の機動性、透明性の向上を図り、戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、自由かつ公正な社会形勢を目指そうとするもの。速やかに審議の上成立させていただきたい。
山口氏 地方分権は単に権限を移譲して終わるものではない。住民自治に基本がある。全国的にあらゆる課題で住民投票が行われ地方議会と住民が対立する。今の制度は、住民の意向を十分くみ取る形になっていないのではないか。もう少し交通整理を国でしないと、対立がもっと深まると危惧している。
野田自治相 分権推進委勧告でも、住民投票制度について「慎重に検討を進める必要がある」とされたが、あまり時間をかけすぎてもどんどん事態が進展することを考えると、もう少し今後論点を絞り込んでいけるように勉強したい。特に、住民投票になじむ事項、なじまない事項等について交通整理をより重点的にしていきたい。
細田博之氏(自民) 国・地方あわせ六○○兆円の長期債務残高あり、財政構造改革は必要。基本的な我が国の財政再建について決意表明を。
宮沢蔵相 今年度予算の国債依存度は三七・九%という驚くべき依存率であり、経済が正常な成長軌道に乗ったときには、必ず財政改革、おそらく税制、あるいは中央と地方の関係を含むものになると思うが−をして二一世紀に向かって出発の基礎を築かねばならない。
細田氏 都知事選のとき、新聞・テレビで都民は一九○万円も税金を納めているのに六○万円しか返ってこないなどと言っている。誤解を与える情報だ。人口九・四%の都が国税収入は三一%、消費税は三五%だが、本社が東京で納めるからだ。
野田自治相 国税は本社所在地での一括納付が認められている。その結果、全国の三、四割程度が東京で納付されるので、それを都民が活動した結果を国税として納めているとみるのは、問題が多い。
細田氏 確かに東京の方が不利な面もあるかもしれないが、地方が非常に不利な面もある。日本の都市住民と地方住民がお互いに敵対関係にあるような、お金を奪い合って、お前が悪いということは不幸だ。
小渕首相 都会も地方もあわせて日本だ。日本全体が公平に発展できるよう対処したい。
西川太一郎氏(自由) 一六年間都会議員だったが、今の質疑に異論がある。都には一日三○○万人が他県から流入、その方々が事故に合えば警察が出動し、その経費は都民税で補っている。税収は上がるが、全国でたった一つ不交付団体だ。
明治維新も戦後改革も国際社会の一方的要請を受入れたものだが、今回の改革は国際社会の中で経済も社会制度も文化も含めて大改革をやらねば日本がもたないということと思うが、総理の見解を。
小渕首相 まさに二一世紀を前に、この改革を成功させなければ来世はないというくらい大きなテーマだ。中央集権的な旧来の体制から、中央と地方とが横の関係として相協力しながら国をつくりあげるという極めて大きな改革と認識している。
西川氏 法定受託事務を地方議会が条例化したいというとき、法令の明示的委任、要するに法律でそれはやっていいよと許されたものだけに認められると聞くが。
野田自治相 法令に違反しない限り自治事務・法定受託事務を問わず条例制定権の対象となる。条例制定の制約となるのは、その条例が規定する内容に関係する個別の法律の規定及び解釈によるが、法定受託事務については法令の明示的な委任を要さない条例を制定できるようになった。ただ、実際は、法定受託事務については、法律や政令で処理基準が定められている場合が多く、結果的に条例を制定しなければならない余地は小さくなることは想像される。
西川氏 関与の見直しだが、大都市の都市計画事業の認可は全く一○○%自治体に任されているわけではない。河川行政などで承認が必要だ。しかし、どこの川が決壊するとかは自治体の人が一番承知している。こういうものを建設省が抱える時代ではない。
関谷建設相 都市計画事業は、収用権限も付与されており土地権利者に大きな影響を及ぼすので、強制力の発動等に当たり公平性・中立性の確保のため、第三者による審査が必要という土地収用法と同様の考えに基づき都道府県事業には引き続き建設大臣の認可が必要だ。都市計画事業は、まだ国の縛りを保持すべき時点ではないかと思っている。河川の問題だが、河川審議会で中間報告を行う予定で、それを踏まえて一二年度を目途に関係自治体との調整を進めたい。
西川氏 法、政令により法定主義的に条例権の制約につながらないよう立法を確保してほしい。
野田自治相 機関委任事務制度の包括的指揮監督が廃止され、地方自治法で法定主義の原則を定めた。今後、関与は法律・政令で規定しなければならず、書面主義などの手続ルールが適用される。それから、国の関与に不満がある場合、係争処理制度を新たに設けることにしたわけで、国の関与を慎重に行わせる効果も期待できるし、関与の適正を制度的に保障した。
西川氏 職業安定事務が国の直接執行事務となるが、地域特性をもつことが不可欠だ。
甘利労相 一括法案に雇用対策法を追加項目に入れ、地方も雇用対策を協力してほしい、国と地方の連携を蜜にしてもらいたい、との二つを規定した。
西川氏 東京都二三区は特例市に認めるのか。また、二○万人きっかりでなくても加えるのか。
野田自治相 特例市制度の事務移譲は一五法律だが、特別区は既に四二法律の事務が移譲されている。
西川氏 第二次分権推進計画では公共事業のあり方見直しを取り上げているが、具体的内容は関係審議会で検討となっている。公共事業をどう見直すのか。
小渕首相 直轄事業、直轄公物の範囲見直しは、基本的方針は計画に明示されており、これを踏まえ関係審議会で具体的内容を検討している。
太田総務庁長官 補助事業の見直しは、早いものは来年度予算要求から出てくると思う。
西川氏 権限移譲したら、地方の独立した経営ができる財源を保障してほしい。その一環で、起債を許可から協議の対象とするが、経過期間が全国一律一七年までというのは少し画一的だ。
野田自治相 財政構造改革を前提に一八年度から協議制度に移行することにしたが、個別団体にかなりの差があり全部一視同仁に扱うのはいかがかとの観点もあるので、移行過程の段階で、何らかの形で事実上協議制度に近い運用ができる方策を考えてみたい。概ね、起債制限比率、経常収支比率とかを参考にしながら早急に検討したい。
岩國哲人氏(民主) 藤前干潟は自治体に対し国が関与し決着した。逆に、国が公共事業をやっているとき、近隣の自治体が迷惑を受けるのでやめてほしいといった場合、自治体が逆に国の行為に関与できるのか。
野田自治相 国の意思決定に地方がどう物言いいをつけることができるかは、意見書の提出などいろいろなツールがある。ただ、国の関与という概念で認識できるかは議論のあるところ。
岩國氏 (自治法改正案の)是正の指示の中に、aは各大臣が県に指示できる、bは県が市町村に同じように指示できる。これは、例え国と地方が対等でも必要という事情は分かる。しかし、cで各大臣は県の執行機関に対し市町村に対して指示しなさいという関与ができる。これは行き過ぎだ。市町村に不始末があるときは県知事がちゃっとやることになっている。知事が信用できないからか。c条項は削除すべきだ。
野田自治相 市町村が行う法定受託事務について、直接国が指示するより県を通じて指示するという形式をとった。いきなり県を飛び越して国が市町村に直接指示するより、それを通じた方が地方自治の精神にのっとったものになるのではないか。包括的指揮監督権に基づき関与が行われてきたが、従来よりはるかに前進した。
岩國氏 地方議会の議員定数に関する法は一五年一月一日まで施行を先送りしているが、きちんとした法的保証を与えるため一二年一月一日に繰上施行すべきだ。
野田自治相 法律では上限を言っており、関係自治体が多い。自治権侵害の議論もある。その中で、できるだけ理解を求めながら進めなければならない。
伊藤忠治氏(民主) 地方事務官制度廃止は分権に逆行する。社会保険事務所は県に五、六カ所だが、年金関係は市町村が携わっている。この仕事を全部中央へ吸い上げようというわけだ。今の地方事務官は都道府県の職員になりたいと言っている。となれば、サービスはダウンするわ携わっている方も希望に沿っていない。事務の基礎データも市町村の提供で成り立っており、これもカットすることになる。分権促進なの
に、中央に仕事も身分も移管するのか。
宮下厚相 今回の地方分権は、国と地方の役割に応じて事務分担することが責任の所在を明確にすることであり、地方分権の本旨に資するものと考えている。住民サービスだが、国民年金は法定受託事務として報告等をお願いすることにとどまることで、住民サービスが阻害されることはない。労組の希望も承知しているが、職員に迷惑のかかる話ではないと判断している。
伊藤氏 年金相談は、役場へいってもやってくれず、社会保険事務所まで足を運ばねばならない。しかも、地方事務官は県庁外へ出ねばならず、新しい事務所を確保せねばならない。
宮下厚相 国民年金は法定受託事務としてその報告等だけをお願いする。県庁内に課があるが医務局や検疫所などを合同して一つの単位の地方機関とセットでやる。
小林守氏(民主) 地方分権の三つの課題、権限・財源・人材という観点からすると、今回の法案は権限はほんのわずか、財源はほとんど触れられていない。今回の地方分権の意義はどこにあり、国や自治体がどう変わるのか。
小渕首相 一括法案は、我が国の中央集権行政システムの中核的部分を形成してきた機関委任事務制度の廃止や国の関与のあり方の見直しなど抜本改革するものであり、国・都道府県・市町村という縦の関係を変革し、対等、協力の横の関係を構築しようとするものに尽きる。これにより、自治体が地域の実情やニーズにあった個性的な多様な行政が展開できるようになり、住民にも意向が行政により反映されやすくなるメリットがある。
野田自治相 単に国と地方の関係のみならず、住民自治のあり方、意識変革をも要請する。自己責任で自律性をもってやることで地域の主権が誕生する。そのためには、今回の法案だけで完結するものではない。バックアップする財政的な側面もこれから対応していかねばならない。
小林氏 財政、財源の移譲はどう進めるか。
宮沢蔵相 国も地方税制も非常に悪い。今の経済状況が変わらないと国と地方もそういう道を続けていかねばならないが、日本の経済成長が正常なルートに返ったらできるだけ早い機会に根本的な財政改革を必要とするのは中央ばかりでなく地方もそうだ。そのときには、中央と地方の間の税源の再配分、再検討が必ず必要にならざるを得ないと思う。今どうするかは言えないが、そのときにはご指摘の問題に取り組まなければならないと今から考えている。
野田自治相 経済成長がノーマルな姿になりどの程度の税収が発生するかを念頭に置いた上で国と地方の税源配分に入らなければ、今の本当に落ち込んだ異常な状況の中で配分問題をやっても、必ず後になって見直さなければならない。この後、見直しに当たって、地方税が一番の根幹になるわけで、その際、税源に普遍性、景気変動に安定的なものでなければ困る。なおかつ地域間格差も伴うので、交付税という財源調整も必要だ。
小林氏 前回の予算委員会で非核問題を議論したが、自治大臣が外交権と自治権の問題で「自治体といえども国の施政権の範囲の中にあることは当然」、この施政権の中に地方行政権に対するものも国の行政権の範囲だとの考え方が残っているのではないか。
野田自治相 国と地方の役割分担は法律に基づき行われなければならないが、その中で国の存立にかかわる大事な問題は、あきらかに国の一番大事な責任分野の一つであり、自治自治に帰すべき範囲のものではないのではないか。港湾管理の権限を持つ知事が権限行使でどういう内容をやるかは、国の外交権に制約を及ぼさない範囲の中で行使されるものという意味で言ったもの。
小林氏 国と地方が対等・協力の関係であるなら、少なくとも自治事務に対し是正措置要求とか義務化とか代執行が残ることがあってはならない。
野田自治相 自治事務に関して、是正すべきときは自主的に是正されるべきことは当然だ。しかし、是正されず、その結果、自治体の行財政の運営が混乱・停滞したり著しい支障を生じている場合、これを放置していいのか。何からの形で国が適正、円滑な行政財政運営を維持するための実効性ある措置をお願いしたい。この是正の要求は今回新たに設けられたわけだが、自治事務に対する関与であることを考慮し、その是正、改善の具体的な措置内容まで言及することはない。そこは自治体自身の裁量に委ねる。問題があると自治体が考えたときには係争処理手続きに移行する。従来、もっと厳しい措置として包括的て指揮監督権が別途あり、これに基づき是正措置要求という条項があった。法文上の義務づけはないが、法的な義務付が伴っていると解釈されてきた。今回それを明文にしたことであり、一方いままでなかった係争処理手続を新たに入れた。
小林氏 法文の中で、できる限り強権的な関与をしてはならないとなっている。だったら、原則やらない、こういう場合だけ、例えば大災害のときに国が代執行なり直接執行で手伝うんだということなら、誰もやるなとは言わない。しかし、住民の利害、考え方の違いが対立している問題に対し、違法状態だからと介入することは地方自治権を侵害するものだ。
野田自治相 自治事務に対する代執行は毛頭考えていない。代執行はあくまで法定受託事務に関する話で、できるだけこれを抑制しなければならないということだ。その意味で、自治事務の中で代執行の対象となる事務はないし、今後もないと考える。
桝屋敬悟氏(公明・改革) 地方事務官は、身分は国だが、業務は都道府県で指揮監督を受けながら業務をやっている。今まで五二年間続いてきた。、変えようと思ったが続いてきた。それは続けたほうがいいというニーズがある、この状態のメリットがあったと思う。
宮下厚相 社会保険は国が統一してやる必要があるから、この際、名実ともに国家公務員に、明確に組織化していきたい。
甘利労相 今の状況で不都合な点がでるかどうかだが、責任の所在を明らかにすることで地方分権に資することになる。