第5回 地方自治確立対策委員会 議事概要

平成15年11月28日


1 日 時
  平成15年11月19日(月)9:00〜11:00

2 会 場
  都道府県会館3階 知事会会議室

3 出席者
 ○委 員

  茂木委員長、金澤委員、木村委員、小西委員、小早川委員、高見澤委員、田嶋委員、
 水城委員、持田委員
 ○地方六団体
  全国知事会:梶原会長(岐阜県知事)、佐藤福島県知事、平山新潟県知事、
        柿本奈良県知事、藤田広島県知事、山本福井県副知事、中川事務総長
  全国都道府県議会議長会:襲田事務総長
  全国市長会:山出会長(金沢市長)、磯村大阪市長、小川豊栄市長、鈴木事務総長
  全国市議会議長会:佐藤事務総長
  全国町村会:山本会長(添田町長)、谷合事務総長
  全国町村議会議長会:篠田事務総長

4 議 題
 ○三位一体の改革をめぐる地方団体の取組及び三位一体に関する緊急提言について

5 議事概要

○昨日、知事会総会を開き、三位一体改革に対する知事会の考え方の全体と当面16年度にどうすれば良いかの二つに分けて提言を行った。内容については事務局から説明の通りであるが、財務大臣のコメントに対しては、なし崩し的に行うというようなことであればこれには反対をしていきたい。まず全体像を決めてから段階的にこのように実現するという工程表が明確でなければいけない。中でも税源移譲が先にありきでなければいけない。我々は「税源なくして削減なし」と言っている。碁でも将棋でも手順前後すれば生きているものが死んでしまう。手順前後の大きな過ちを犯すのではないか、これに対して断固反対をしていきたいと思う。小泉総理が明確に税源の裏付けの支持をされたが、小泉総理の指導力を大いに発揮して頂きたい。我々は大いにサポートして抵抗勢力を打破していかなくてはいけないと思う。
それから交付金で良いのではないかという話もあるが、基本的には縦割りの弊害を打破し、横割りで住民のために地域ニーズに即して予算を組み、執行するということでなければいけないと思っており、それが阻害されるような交付金制度は反対であると考える。三位一体の改革は地域住民の生活を守るという大前提で住民本位で進められなくてはならない。改革によって住民生活に悪影響が出るか出ないか、そこを我々も検証して明確にし、国にそれをどうするのかという判断を迫っていくことが必要ではないか。国と地方の綱引きとかコップの中の争いと見られているが、あくまでもこの三位一体改革は住民本位だということをこれからも主張していきたい。(梶原全国知事会会長)

○私どもは平成6年に住民を基本とする新市町村主義、国と地方の役割分担の問題をはっきりと主張をしたが、地方分権一括法ができる時にも議論になったが、外交、防衛、経済政策、金融政策等々、国がやることが何かということをはっきりさせて、それ以外のものは地方に任せて頂く、そしてこの地方というのは市町村を基本とするという考え方をはっきり持つことが非常に重要であると考える。そういう中で見ると、今の議論では、地方なり中山間地域も含めて、地方をどう考えるかという視点が全然抜けていると言わざるを得ない。過疎地のモラルハザードとかいろいろと言われているが、過疎地は山や農地も含めて国土をしっかりと守っており、東京が善でそういうものは悪とは言わないまでも、そういうことで考えれば、超高層ビルとか地下三階まで地下鉄を通すなど、日本の将来は滅亡に向かっていると地方から見ると思わざるを得ないが、そういう視点が全然この議論の中で出てこないのは非常に残念に思う。
同時に、市町村の合併問題も人口、財政面からどうこうしようとする国がどこにあるのか。昭和48年ぐらいまで20年間ぐらいは、市町村の規模を8000人ぐらいにおいていろいろな仕組みづくりを行っていたが、基本的には住民を基本にするコミュニティの考え方があった。それが、まずは財政問題でということで、これも交付税特会は12、3年前の平成3年までは赤字がゼロで今は40数兆円の赤字ということには我々にも非常に責任はあるが、それで財政的にこうだから合併しろとか、どう考えても財政面の理由で合併をやらなくてはならないという議論が何故出てくるのかと思わざるを得ない。そういう部分が欠落した東京の机上での議論というのは受け入れ難いという思いを持っているので、一言申し上げておく。(佐藤福島県知事)

○三位一体の改革の中で国庫補助負担金の削減とそれに伴う税源の移譲が当面の一番大きな課題となっており、昨日、知事会で16年度に約2兆円の補助負担金の廃止、税源移譲1.8兆円を打ち出した。義務教育費については、国が廃止・縮減を考えている4兆円の中で2.8兆円を占めている。本来我々は税源移譲によってできるだけ自主性を勝ち取りたいということが主であるので、4兆円という矮小化された枠の中で義務教育費の議論をされてしまうとまずいということで、全体の書き方の中では、義務教育費については曖昧な状態の書き方になっている。
同時に、昨日の議論の中では、交付税の話も実は大分議論になった。交付税特会がパンク、破綻している実質状況の中で、交付税制度についてあまり議論しないまま、国庫補助負担金と税源移譲だけの議論が先行しているというのはやはりまずいのではないかということで、知事会としては、私も申し上げたが、早急に交付税制度のあり方についても検討するということになった。国の予算が81兆なり80兆強の中で税が半分しかなく30数兆円あるいは40兆になろうとする国債を発行しながら交付税がパンクしているという中で、三位一体の改革、あるいは地方分権を進めている時に、本当にこの穴が空いている国家財政の処理と無関係でできる訳が無い。最大の問題はそこにあると思う。
そういう意味で申し上げたいのは、国庫補助負担金の問題と税源移譲の議論は全体の中で重要な議論ではあるが、より非常に重要なのは、今の構造改革の中で、地方分権とか三位一体の改革がどういう意味を持ってどう位置付けられるかを明確にしておかないと、最終的に大きな穴が空いている国家財政との関係において処理ができなくなり、方向性が非常におかしくなる危険性があるということである。本来、構造改革が持っている意味が、資源の再配分、より効率的な社会制度を作って成長性を取り戻すということが大きな目的であるならば、パブリックセクターからプライベートセクターへの資源再配分、小さい政府を作るということが明確でなければならないし、民間部門においても、より効率性のある配分を行っていくという明確な位置付けの中で、地方分権がその中でどういう意味を持つのか、今空いている国家財政の大きな赤字と税源の移譲を含む三位一体の改革が本当に処理できるのか。
交付税制度全体が破綻している中で、先ほどの資料の中にも交付税総額の抑制という言葉が何度も出ており、そのこと自体は正しいが、現実には、経済対策を含めて既に発行し償還時に交付税で面倒をみるという県債の残高が圧倒的に半分以上を占めており、私のところでは60数%そういうものとなっており、現在発行している県債も自主的に発行しているものは僅かで、財源対策的なものとして発行しているものが圧倒的に多くなっている。今、一番市町村を含めて我々も不安を持っているのは、交付税措置で面倒みると言ってきたものが本当にみてくれるのか、そして交付税総額抑制と言われた時に、市町村段階を含めて、果たしてこの国の財政状況からいって、今言っているものが大丈夫なのか、ということで、多分みんな不安に思っている。昨日もその議論が出て、合併特例債の問題が大分議論になった。
そういう意味で、三位一体の改革について、我々は地方分権という一つの目標に向かって今運動を始めているが、国として行って頂きたいのは、明確に二つあると思う。一つは構造改革との位置付けでこれが一番大きいと思うが、もう一つは、国のあり方が手がつかないまま行っていることである。本来、国は小さい政府にするのであれば、国のやることを決めてもらって、そこから次に残る中で地方で行うもの、その地方の中で県と市町村が行うものというようにきちんとした議論をしないといけないのが、一番最初の出だしのところが今全く手がつかないまま、地方の中で分権の三位一体の議論だけが進んでいるのはどうかと思う。
補足的に二つだけ申し上げたい。この三位一体改革の中の国庫補助負担金関係で調査を行った。新潟県のケースだけでなく他の県でも行っているが、国庫補助負担金に関連するもので実際に行っている立場から見て、国の関与がある、あるいは国の関与を見直したほうが良いと思われるものが、新潟県の場合の総事業の中で18%、そのうちの国庫補助負担金が絡んでいるものについては58%、約6割が、要らない無駄だとは言わないが、国の関与があって本来の制度の趣旨からみると地方としてこう行いたいというものを阻害している。
それからもう一つは、国の地方の出先機関が地方整備局等々あるが、こういったところが行っている事業で、県とか地方に移管できるものというのもかなりある。これも、一件一件洗って分析を行った。今日は数字を正確には持ち合わせていないが、かなりのものが移管できるだろうという結果が出ているので、そういう意味において、そのことの調査の結果についてだけ付言させて頂きたいと思う。(平山新潟県知事)

○副知事になってまだ3ヶ月で、その前に産業界にいたので、大変この問題について新鮮な目で見ており、また、皆さん方と一寸多少違う目で見ているのかと思うが、3ヶ月行政を担当して、行政の不効率というのが目に余るものがある。どうしてかを私なりに分析すると、やはり、国が地方の行政を牛耳っていることによるものと思う。三分の一行政とか二分の一行政とかいろいろと言うが、県の仕事、地方の仕事が県民、市民を見ないで、霞ヶ関を見て仕事をしている。これは日本の行政の不効率、即、経済の不効率であり、これは是非早く三位一体体制を実現して解決しなければいけないと思う。
二つ目は、先ほども話があったが、国と県と市町村の役割分担が一つも明確でない。いろいろと重複した機能を持っており、国と県と同じように、県と市町村の間にも権限の移譲なり、そういうことを行わなくてはならないということがある。また、縦割り行政の弊害が、県の行政を行っていると何でこんなことを行っているのかということが、経済界からの目から見ると憤りを感じる訳である。
三つ目は、県が本当に財源を移譲されてできるのかということが一つポイントになると思う。私は福井県の県職員を見ている限り、県の職員というのは、大変優秀である。そういう面で、もっと県に与えれば、県の職員は県民を見て、実際に使えるべき財源をもっともっと有効に使えて、これが結果的に経済を活性化するのではないかという風に考えている。(山本福井県副知事)

○今日は委員の皆様方は学者の先生方が多いので、そういう意味ではかなり学究的にもお詰め頂くということで、少し観点を変えて申し上げるが、三位一体の議論は制度論であると同時に財政論であり、この観点から、一つはボリュームの大きさということを改めて再認識して頂きたい。特に、どうも日本のことばかりを議論しているが、同じことは諸外国、少なくとも先進諸国で同じ悩みを持っていると思う。そういう国がどのようになっているのか。大切なことは、現実に日本の地方自治は、権限と財源を除いたら、地方団体がほとんど処理しており、その大きさというものを考え頂きたい。例えば、義務教育の話がよく議論が出るが、フランスでは義務教育の費用は全部国庫がもっている。日本では介護保険や国民健康保険といった保険まで地方団体が行っており、これは保険料を集めなければいけないが、そういうことまで行っているというボリュームを意識して頂きたい。
その上で地方団体を眺めると、背の高い人も低い人も一杯いる訳で、そういうところに財源論の問題が出ているということで、税源を移せば全て制度論としては望ましいということだが、それで済むのか。背の高い人に合うが背の低い人は水面下になってしまう話は一杯ある。その点をどういう風に考えるか、これを背が水面に出るようにするには、仕事を減らさなくてはいけないし、そうでなければ、別の仕組みがどうしても必要だということである。一つの論理だけで、税源移譲すれば自立性を持たせれば良いということではなく、やはり背の高さ低さがかなりの差があるということである。先ほど過疎の町村の話がでたが、まさにそれだと思う。そういうところでも介護保険も行えば国民健康保険も行っている。それは、要するにある程度の差を付けることは地域的に可能としても、例えば六・三・三制の六・三はどうしても行わざるを得なく、学校の先生も、私の町は70人学級にするという訳にはいかないと思う。そういう問題があるということをご認識頂きたいと思う。
それから、今回の三位一体の改革では、義務教育費国庫負担の問題が大きいが、実はこの議論の中で、義務教育費の負担を県が持つということをアプリオリに決め込んでいる。それは本当の地方自治なのか、本当なら、義務教育は市町村が持つべきものではないか。その議論を行ったらかなり根が深いということがはっきりしてくると思う。そういうことを抜きにして、公立学校の小中学校の義務教育の費用は県が持つとこれは勝手に決め込んでいるのではないか。本来の地方自治の原理からすると、小中学校の設立者は市町村だから市町村が義務教育の先生の費用を持つという、今されている議論からすれば、そこまでは少なくとも論理が進むべきではないか。私はそうすべきという提案をしているのではなく、そんな簡単な問題ではないことも理解しているが、そういう問題を腹蔵していることをお考え頂きたい。
そうすると、先ほどから話が出ている来年度をどうするかということは、実は議論のとばくちとしては重要だが、もっと中長期の構想をはっきりさせて、それに向かってステップ・バイ・ステップで持っていくという全体構想とそれまでの間の工程というものを併せ考えながら進めていくということがどうしても必要である思う。そうでない限り、例え話で恐縮だが、世の中はどうしてもハンドルを最初から左に切り過ぎると右に戻らないということもありうる。そういうことを考えると、やはり全体はこうあるべき、中長期の何年かで行うべきことはこういうことだというようなことが本論にならなければならないのではないかと感じている。(柿本奈良県知事)

○いろいろな議論が出尽くした感もあるが、今、我々がやっていることが何かと考えると、議論が進化すればする程、本来、方法論であったものが目的になっていないかという気がしている。今回の官から民へ、国から地方へという動きの中で、地方においては、都道府県から市町村へという動きを加速させなければならない。そして市町村という基礎的自治体に権限と財源を与えて、住民サービスの全てをやっていただくということを考えたときに、現在やっている市町村合併というのは非常に重要な要素をもってくる。そうしたなかで、国は国の役割、県は県の役割といっても、こうやって市町村に税財源と権限を移譲してしまった場合、県のやることは非常に少なくなるので、当然、都道府県の再編、統合ということがあって、例えば中国地方の5県がひとつの地域政府となって、そこが例えば地方整備局がやっている仕事のほとんど全てを引き受けるというように行政効率を高めていくことが、本来の目的ではないか。結果として住民が十分な行政サービスが受けられるということに着手すべきである。したがって、そういった目的から外れないで議論を進めていただきたい。(藤田広島県知事)

○今の、道州制に関するご意見について、道州制の議論は、基本的には経済政策、外交、防衛などいくつかのものについては国がやることとして、地方に分権したうえでの話である。それを道州制が先に出てくると、訳のわからない体制になるということを私は感じている。道州制はそこまでいってから議論すべき問題と考えているので、付け加えさせていただく。(佐藤福島県知事)

○国は、国家存立の基本に関わる仕事に特化して、出来るだけ県へ、また、県は市町村へ、上から順送りに仕事を下ろしてこなければならない。義務教育は市町村も大きな責任をもつことは当然であるが、だとすると、国も県も、そういう目で市町村を見なければならない。これがまず基本であり、国、県、市町村の仕事の再配分が前提でなければならない。地方支分部局をつくったが、本当に意味があったのか、私はいささか疑問に思っている。
こういうことを申し上げたうえで、市長会として、「三位一体の改革」に関して、提言をまとめたので説明する。これは10月23日、市長会の総意としてとりまとめたものである。
資料1-2の3ページについてだが、都市自治体であるので義務教育は除いている。また、生活保護費負担金、災害復旧のために要する経費に係るものなどを除いて、全ての補助金を精査した結果、廃止して税源移譲すべき補助金は、101件、総額約5兆8,552億円となっている。5ページの税源移譲額であるが、義務的な事業については全額、その他については8割として試算をした結果、4兆9,652億円、約5兆円となった。先程の5兆9,000億とこの5兆円との差が9,000億円になるが、これは地方の行政効率化期待額ということである。
この約5兆円の税源移譲の有り様については6ページであるが、所得税から個人住民税へ、10%程度の比例税率化ということ。消費税から地方消費税へ、消費税の1%分相当額を地方消費税へということである。
5ページに戻るが、我々が特に強調したいことは、「補助金の廃止・縮減にあたっての必要な措置」として書いている。財源調整・財源保障のふたつの機能は是非残して欲しい。交付税制度の機能を強化して欲しいということだが、交付税制度に関しては、後ほど豊栄市長から説明がある。
次の(2)「平準的な財政運営を可能とするための措置」については、具体例として、廃棄物処理施設整備事業、下水道終末処理施設整備事業、公立学校施設整備事業、こういう事業については臨時、巨額の財政支出が必要になるので、その平準化措置が必要ということ。
いずれにしても、この提言は総意としてまとまったものである。700の都市自治体が共通して補助金は原則廃止しましょうとしたということで、この変化は重く受け止めていくべきである。
もともと、地方分権なるものは、国の関与を廃止したいということでスタートした。国の関与が多すぎる。そのなかに無駄もあるということで、そういうところから地方分権もスタートしたと思っている。だからこそ、補助金は原則廃止であるとなったのである。補助金は原則廃止であるとなれば、食べていくためには税源にしてほしいというのは当たり前の話である。国の関与を小さくして欲しい。これが分権の流れ。この流れは国会で議決されて、分権一括法ができて、その一連の過程の中に三位一体の改革がある。この分権という大きい流れのなかで、三位一体の改革がある。そのことと財政構造改革は関連がありながら同時に分けても考えるべきである。(山出全国市長会会長)

  ○指定都市という立場での考えを言う。三位一体の議論というのは基本的には地方分権というものを如何に確立していくのかという問題である。当然、国庫補助負担金のやめるべきものはやめた方がよいが、問題は税財源というものをしっかりと地方に戻していただきたいということが基本にある。あえて我々の立場を主張させていただけば、大阪市の場合は夜間人口は260万人だが、毎日、通勤、通学、ショッピングなどで130万から140万人の昼間流入人口がある。この人達のための交通の利便性、上下水道のニーズ、捨てていくゴミの手当、いろんな意味で都市インフラというものを築いていかなければいけない。実は大阪市は人口400万人のための都市インフラを目指してまちづくりをしてきたのである。この街の1年間の地域総所得の流れを見ると、だいたい4割が大阪市以外に流出する。大阪市内で稼いだお金を、それぞれの住んでいる場所で税金として払っている。だから、大阪市が経済的に衰退していくかどうかということは、相当広範囲にわたる地域に対して影響を与える。大阪市としては住民に対する行政サービス以外に経済の活性化のため、思い切った事業を続けていかなければならないという宿命がある。ところが現実の財政事情を説明すると、大阪市内から国税等と名前のつくものが、補助金とか交付金で戻ってくる分も一切差引をしても、率にして70数%を持って行かれる。私は昔から「せめてなりたや3割自治に」といってきた。金額にすると1年間で3兆円を超える。これが全国に国を通じて配分されて、その結果どうなったかというと、預貯金の本支店勘定、利益の本支店勘定で、ほとんどが東京に環流する。東京で遊休資金がうなっている。だけど、大阪市から税金という名で吸い上げられたお金は戻らない。そういう状況で、今、日本の経済というのは東京以外の大都市が、力があるにもかかわらず、衰退している。だから私は大都市特例税制ということを考えて、もう少し大都市が積極的な経済政策、社会政策をうっていけるようにした方が、日本経済の活性化のために意味がある。
先程、義務教育費国庫負担金の話がでたが、昔は、義務教育費や警察費は市が負担をしていた。ところがシャウプ税制以降に、大阪市が持っていた税財源を府に渡した。その時の見返りとして、例えば大阪市警察としてやっていたものを府に戻し、義務教育を府に渡して、それぞれを負担して貰うという形で、つまり財源付きで移管を行った。それを今になって大阪市にまた義務教育費を負担せよというのはもってのほかである。二重取りになる。だからと言って、私たちは府県に渡した税財源から返して欲しいという言い方はしていない。しかし、広い意味で税制改革を通じて財源保障はして貰いたい。こういう種類の議論が、我々の立場で言いたいことが沢山ある。しかし、そういうことは置いておいて、今日の議論としては、地方分権を進めていくためにも三位一体論で税源の手当はしていただきたい。
ただ、日本の国には縦割り行政はあるが、都市政策を行うのは国ではなく、府県でもなく、基礎的自治体が行っている。我々としては都市政策というものをもっと積極的に推進するような地方分権をお願いしたい。それが日本の経済のためになる。ただし、東京だけは違う。東京は国が必死になって首都創造というのをやっている。むしろ東京都が脇役になるくらい都市政策を国が行っている。しかし、大阪市の場合は税金は吸い上げて、後の残りで適当に行えというようなやり方であり、あとは縦割り行政のモザイクを如何にうまく組み立てて、まちづくりをするかというようなことを繰り返し行ってきた。これからはもっと規制緩和、あるいは自主財源ということで都市政策を積極的に我々が進めていけるようにさせていただきたい。(磯村大阪市長)

○全国市長会は700の市が加盟しており、大きいところは3百数十万人から、小さなところは数万という市もある。そういう意味では町村の立場も理解できる市もあり、非常に幅広いところである。私のところは人口5万人であり、どちらかというと小さな市に属するが、その立場で発言したい。
私のところで先般、新潟県のふるさとづくり大会というのを開催した。これはどちらかというと小さな市町村の方々で、地域活性化、コミュニティに取り組んでいる代表の方々(約500名)で、その際、私は小さな市町村の中でも知恵もいろいろな工夫もできると思った。一番問題であるのは、小さな市町村で、補助金で縛られて知恵も工夫も出せないということである。小さな市町村がどちらかといえば、補助金がなくなるのを怖がっているのではないかという意見もあるが、決してそうではない。小さな市町村こそ補助金政策を止めていただいて、一般財源を大きくしていただくことによって、知恵も工夫も出てくるだろうと思っている。また、地域経済の活性化は私どもで出来ると思っている。今回の補助金の廃止、税財源の移譲、一般財源化、これは小さなほうも非常に重要なんだということを認識して欲しい。
先ほど、全国市長会会長から、全般的に補助金の廃止・縮減あるいは税財源の移譲についての全国市長会の意見を説明いたしましたが、私の方からは地方交付税制度についてだけ説明する。
そこで、私どものプロジェクトチームがまとめた『地方交付税制度に関する提言』について、説明する。
今回の市長会の提言については、大都市自治体中心の話ではない。小さな市についても十分配慮したうえで、地方交付税の役割も含めて提言がされている。
問題となるのはモラルハザード論についてであるが、特に財政制度等審議会のなかでもそういう発言をされる方がいる。しかし、この提言の4ページから5ページにもあるように、地方交付税総額の基礎となる地方財政計画は国が決定しており、地方の歳出見積もりは、国が標準的あるいは最低限と考える基準に基づくもので、地方の方に余裕があって放漫なかたちで交付税を使う余地はいささかもない。
もうひとつは、地方単独事業の投資が、地方財政計画と決算額の間に乖離があり、地方単独事業をやらないではないかという意見がある。
しかし、地方単独事業は必要であるが、既に非常に大きな借金があり、なかなか手が出ないという問題がある。また、投資的経費と経常的経費双方において、地方財政計画額と決算額との間に乖離があることからそれぞれのサービス水準を決定し、投資的経費から経常的経費へシフトをしていく必要がある。
また、課税自主権の問題であるが、4ページでもふれているが、課税自主権の対象となる税目についても問題があると思う。二重に負担を課すようなことも出来ないし、また、対象になるような税目もなかなか発見できないのであるから、地方財政計画の歳入にまで組み込むのは行き過ぎではないかと思っている。
地方交付税制度については、財源調整、財源保障すべてにおいて制度として重要であり、今後とも税財源の移譲等があっても必要な制度である。しかし、今の時点で見直しすべき点もあり、国の施策を実現するために地方交付税を用いるという、逆のモラルハザードという使われ方をしているが、これについては抑制していく必要がある。また、地方交付税の算定方法は年を追うごとに難しくなってきており、その簡素化・合理化を図ることは必要である。(小川豊栄市長)

○町村会として一番思うことは、地方分権が順調に進捗しているならば、今、町村が直面している市町村合併にこれだけ苦労するはずはないと思う。町村では地方分権とは一体何なのかという議論さえしたくなるような状況である。合併をしなければ交付税を減額、削減するとか、行政としての1人前の扱いをしないなどと考えざるを得ないような環境になっていると思う。分権一括法ができて既に3年以上が経つが当初の地方分権から一歩も前進していないのが実態である。三位一体の財政改革と地方分権は表裏一体のものである。どちらを先にやるかということではなく、三位一体の財政改革をするならばそれに伴って地方分権も進めることが必要ではないか。そういう地方分権時代が来るという希望をもって町村は今日まで努力をしてきたが、それも無惨に打ち砕かれ、今、目の前にあるのは合併だけである。やや言い過ぎかも知れないが、三位一体の財政改革に対する希望も持てない感じさえする。もう一つは、県や市町村など地方自治体は発足時から地域間格差がある。この地域間格差があるということを抜きにして三位一体の財政改革を議論することは難しい。皆一様にやれというわけにはいかない。例えば義務教育費を地方に移してしまうということは理論的には可能かも知れないが、地域間格差がある。先ほどどなたかが市町村がやるべきではないかと発言をされていた。町村会は、大正10年に発足したが、その当時、義務教育費は市町村が負担していた。それに対し国の援助を求めたがなかなか取り上げてもらえないので、各町村が一体となって要望していくということで全国町村会が発足した。学校教育を市町村に任せると地域間格差があるため、子どもに与える利益が不平等になってしまう。このような地域間格差をどう解消するかということは最大の問題であると思うが、この解消は難しいと思う。地域間格差のあることを忘れないということは、行政を進めていく者の基本ではないか。もう一つ、三位一体の財政改革で所得税を減税し、その分を住民税に転嫁するということがいわれている。実際にはどうなるかはわからないが、1年で1兆3千億円、3年間続けると国がいっている。町村は利益はなくマイナスしかない。町村には所得税を払っていない人が多くいる。少子・高齢化の現象は町村ほど顕著である。所得税を払っている人たちと同じ税率で町村民税でいただくということになると、税が上がることになって負担を不可能にしてしまう。このように税源移譲されても町村では必ずしもプラスにはならないと私は思う。したがって、この三位一体の財政改革や税源移譲についても、町村の立場を理解した上で判断してもらいたい。すべて地域間格差がつくり出す現象である。6万人程度の村もあれば、5万人程度の町もある。6千人程度の市もある。横浜市の330万人と6千人の市を同じように運営しようとしてできるものではないし、やったとしても格差は大きいので同じことはできない。このようなことは町村にもある。地域間格差を重点に置いて考えてもらいたい。悪口を言うわけではないが、国は地方分権をやる気があるのか。私はないように思える。町村における農林業を一番よく知っているのは町村長である。しかし一括法ができて4年近く経過しているが、依然として基本的な権限は国が持ったままである。こういうものは分権一括法ができたときに町村に分権していればまた違った意味での町村のあり方になり、町村の意欲も高まったに違いないと思う。地方分権をやるのかやらないのかだんだん疑問に思えてきた。かけ声だけで何とかなるというのは安易なことである。地方分権改革推進会議の悪口を言うわけではないが、地方分権は前に進めないで地方交付税の財源保障機能廃止などといっている。本来の仕事をすればよいのに、このように経済のことばかりいっている。経済だけでうまくいくならば経済学者の皆さんが日本の国を支配すればいいということになる。やり方そのものについても疑問を持っている。分権を順調に進めることによって、市町村合併も三位一体の財政改革もうまくいき、新しい時代を創ることができるのではないか。地方交付税について、財源の保障と調整の機能はどんなことがあっても守ってもらいたい。小さなところだからどうでもいいという考え方ではなく、一人ひとりの人々に利益を与えていくことが行政の本質である。小さいところでも大きいところでも法的な利益を受けるのは平等でなくてはならない。そのためには地方交付税の存在が非常に大きく貢献をしているということを考えていただき努力願いたい。(山本全国町村会会長)

○義務教育国庫負担制度については、大阪市長や町村会長のおっしゃるとおり大正時代からの歴史の中で今の制度ができあがっている。私が申し上げたかったのは、大切なことは地方分権を議論する時に何でも市町村に移譲すればいいということではなく、尺度を一つにしてしまうと危ないということの1つの例として義務教育の話を出したということなので、ご理解頂きたい。(柿本奈良県知事)

○地方団体の皆さんからの意見を踏まえ、委員会における緊急提言案の審議に入る。前回の委員会で、小早川委員長代理、金澤委員、木村委員、小西委員、田嶋委員、水城委員、持田委員の7名の委員にワーキング・グループをお願いして提言案のご検討をお願いした。7名の委員は、3回の会議をもち検討を重ね、本日、緊急提言の案を用意した。ワーキンググループの委員を代表して小早川委員長代理から説明をお願いする。(茂木委員長)

○9月22日に開催された第4回地方自治確立対策委員会において、委員会として平成16年度予算編成に向けての緊急提言を発するべく、その起草作業を7人の委員をメンバーとするワーキンググループに委ねられた。その後3回にわたり委員による会議をもち、ワーキングの委員間で議論を深め、意見集約を行い、その上で本委員会の委員すべてにご了解をいただき、最終的には茂木委員長にご相談し、本日、「三位一体の改革に関する緊急提言(案)」を本委員会に提出するに至った。
前文についてであるが、地方側の提言にあるように、分権型社会で地方が自己決定・自己責任の行政を担い分権型の財政システムを確立するため国庫補助負担金を原則廃止すべきとしている。一方、実際に国庫補助負担金の廃止、税源移譲、交付税の見直しを進めるにあたっては、それぞれの自治体がおかれている状況が異なることから、行政水準の確保、財政力格差の調整など種々の課題を指摘し、これを解決すべきとしている。しかしながら、三位一体の改革は我が国の地方自治の確立に向けた重要な前進、「国と地方の財政関係のあるべき全体像」に向けた第一歩という基本的認識を示し、地方団体総体にとっての後押しとなることを期待し提言案を作成したものである。以下、項目別に簡単に考え方を述べる。
1の「国庫補助負担金の原則的廃止」に関しては、(1)で補助金の介在による現行の事前関与型システムについてその考え方を変え、財政面は地方の一般財源に委ねる。必要に応じ事後的な国の関与によって調整する仕組みにする必要があると思う。(2)で義務教育、就学前の教育、保育、公共事業の分野ごとに、国と地方の役割分担、財政システムなど具体的に制度設計を議論すべきとしている。(3)で国では、16年度は改革初年度に相応しく兆円規模の改革を行うよう加速して取り組んでほしい。(4)で行財政改革に対する国民・住民の期待に応えるよう、三位一体改革を進める中で、地方も施策の選択や行政の効率化・コスト削減を一層徹底していくことを期待したい。
2の「税源移譲の早期実現」に関しては、(1)で分権型社会に相応しく、国と地方の役割分担に応じて早急に税源移譲を行うべきであると考える。国の財政難が強調されているが、第一次分権改革で地方自治体の処理する事務はすべて「地方自治体の事務」とされたことを踏まえ、地方歳出と地方税収の乖離を縮小する税源移譲の目的から早急に移譲すべきである。(2)で地方分権の理念からは、負担分任の性格を持つ個人住民税への移譲が重要であり、また、地方消費税は地方分権を進める上で都道府県の基幹税として成長させていくべきと考える。
3の「地方交付税の財源調整機能及び財源保障機能の重要性」に関してであるが、(1)、(2)で我が国の国土構造の下で、国庫補助負担金の廃止、税源移譲の結果として、自治体間の財政力格差の拡大は避けられない状況にあると考える。そういう面から、課税客体の乏しい自治体において国民・住民のニーズに応えて適切な行政水準を維持していくうえでは、交付税の財源調整機能と財源保障機能は一層重要になるものと考える。先進国としての福祉水準を実現する交付税の機能、それに必要な交付税総額の確保が必要である。(3)、(4)で交付税制度の見直しや交付税総額の決定のあり方について今日的な検討が必要である。(5)で地方としても、交付税制度を基本としつつ新たな財政力格差の問題に対応した財源調整制度の制度設計について早急に検討をしていくことが必要と思う。
最後に4の「地方行財政改革と地方行政体制の整備」であるが、まずは、政治の強力なリーダーシップの下、国が真の地方分権の推進につながる三位一体の改革を責任を持って完遂すべきということが第一にある。これにより国・地方を通じた行財政改革につながる。地方も責任をもって市町村合併への取組みなど今後の地方自治の基盤整備に努力いただきたいということで、この提言を締めている。
以上簡単であるが、今回の提言の考え方・内容を述べさせていただいた。この提言が名実ともに地方六団体の後押しとなって、真の地方分権の推進につながる三位一体の改革が進められることを強く期待するものである。(小早川委員長代理)

○来月20日頃の財務省原案に向けて実質的には1月もなくかなりの短期決戦になる。一部では、3年間で4兆円の初年度としては数千億円程度でお茶を濁すという動きも見られたが、昨日の経済財政諮問会議の集中審議では、民間議員から1兆円という意見があり、総理も1兆円を目指そうということで、少しは前進したスタートになったと思う。その背景には、今日の資料にもある経済財政諮問会議の民間議員からの意見の中にはっきりと示されている。骨太方針2003以降の大きな変化は、地方自治体の意識自体が大きく変化して、自立に向けた取組も活発化しているという点である。率直に言って外形標準課税のときは比較にならないほど地方自治体など各方面から熱心な提言が出てきている。これらは三位一体の改革の行方に大きな影響を与えていると思う。これから大詰めに向かうが、放っておくと中央省庁間の次官折衝が中心になってしまう。しかし、主役は地方自治体であり、梶原会長を先頭に全力を挙げていただきたい。我々は応援団であり、先ほど町村会や中小都市の立場もよくわかる。財源保障機能・調整機能はきちんと守らなくてはいけないことについては提言でも触れている。ただし、先ほど新潟県知事からの指摘もあったように国家財政は税収がやっと半分で来年度は半分を切るのではないかという異常な状況である。歳出は増え、税収は減るというような状況で税源移譲を求めるのは、非常に時期が悪い。しかし、やらなくてはいけないことであるが、同時に、交付税問題については保障機能は守るが、税収が増えていた頃に国も地方も大きな政府になってしまったので、財源保障の水準については見直すべきである。地方も血を流して見直す覚悟がないと税源よこせだけではなかなか通らない。我々も少し厳しいとは思うが、その両面をやっていかなくてはいけないという趣旨がこの提言の中に含まれている。

○ワーキングに関わった者として議論のポイントについて説明する。今日の地方団体の皆さんからの意見にもあるように財政力の強い自治体と弱い自治体との対立が反映されてくる。それぞれを反映させた地方団体ごとの提言が出てきている。地方分権を進めるような三位一体改革にしていくためには、対立を乗り越えて地方自治体が団結して国に提言していかなくてはいけない。我々は地方自治体そのものではないので全体を見渡す立場から最大公約数的なところや問題点が担保されれば財政力の弱いところも先に進めるのではということに配慮してとりまとめた。したがって、各団体が作る提言のようなパンチはないかもしれないが、みんなで進めるという穏健なものになっている側面もある。特にそういう点で各団体の事務局からのヒアリングも行った。ポイントの一つは、水城委員も言われたとおり、3で地方交付税の財源調整機能と財源保障機能の重要性をはっきり書いたということである。それから、地方交付税が仮に基本的な機能を維持したということであっても、税源移譲が消費税や所得税の一部を中心に移譲された場合、各自治体ごとに見ればアンバランスが拡大する可能性があるということで、3(5)で地方側の提言に沿った形で国庫補助負担金の廃止や税源移譲が進められた場合、財政力格差が拡大するという認識はしっかり持たなくてはいけない。財政力格差の拡大についてどのように調整を行うのかについては、地方自治体間で利害が対立する側面がある。その問題も地方として地方自らが調整を行う制度を提言していかないと突かれてしまう。具体的な制度は出していないが、新たな制度設計、例えばイメージとして逆交付税みたいなものを、東京都のひとり勝ちにならないように、地方として新たな制度設計の提案という形で出されるのかということがポイントになってくる。もう1つ2(1)財政構造改革や国民負担の問題と三位一体改革の問題をどのように関連付けるか、若しくは、峻別するかということについても発言があった。「税源移譲の障害として、国が地方よりも財政的に窮迫していることが過度に強調されている。」という部分は、国が財政危機だから十分な税源移譲ができないというのはおかしいということであり、もともと税源移譲の目的は地方歳出と地方税収の乖離を縮小することにあるので、こうした点を踏まえるならば、早急に三位一体の改革の基軸である税源移譲を推進すべきである。この考え方は、地方分権のための三位一体改革、その基軸である税源移譲、こういう財政構造改革や国民負担の問題とは切り離して、三位一体改革というものをまず遂行して行かなくてはいけないということが書かれている。しかし、三位一体改革の切り取られた文脈の中での話であり、三位一体が置かれている状況やその条件になっている国の財政問題などについては、国と地方を通じた財政構造改革や国民負担のあり方について知らん顔はできないし、この問題はしっかりと同時に考えていかなければならない。しかしそのことによって三位一体改革ができないという話にしてしまってはいけない。そういう意味では峻別しなくてはいけない。という書き方になっている。

○「緊急提言」については、バランスのとれた内容となっており、意義あるものだと思う。地方自治体が具体的な数字を挙げて国庫補助負担金の廃止・縮減を提言した例は知る限りではなく、また、いまの時点で補助金の食い逃げをさせないために三位一体で改革で進めるべきであるという提言を行うことは大変重要なことである。
その上で、今後の課題として2点ほど意見を申し上げたい。
一つは、目指すべき分権の理念を明らかにして、長期的な目標と短期的な戦略を結びつけることがたいへん重要であるということである。これからの地方分権論は、中央集権か地方分権かという単純な二分論ではなく、@画一的なサービスをめざす「行政的分権」なのか、A地域間の競争を目指す「競争的分権」なのか、B住民の福祉とアカウンタビリティを目指す「協調的分権」なのか、どのような分権の姿を目標としていくのかを議論する必要がある。
「行政的分権」論を目指すということであれば、現在の日本や、ノルウェー、イタリアのようなシステムでいくということになる。また「競争的分権」論では、アメリカの大都市圏や、1980年代のイギリスのサッチャー政権下でのシステムのようなものを目指すことになるし、「協調的分権」論では、ヨーロッパ自治憲章や、カナダのようなシステムを目指すことになる。このように長期的な目標を明確にしたうえで、それを予算編成にどのように反映させていくかという議論が必要である。
2つ目は、地方分権の議論は国民からはたいへんわかりにくく、国と地方の権限争いという見方が大半であるが、地方六団体としては、我々が目指す分権によって国民の幸福がいかに増すかということをアピールすることが重要である。
日本の社会が現在直面している課題が何であり、その課題の解決のために最も適している分権の姿は何であるかという議論を組み立てていくことが重要である。私は、「地域統合への対応」が日本の社会が直面している課題であると考えている。日本では、ヨーロッパにおけるEU(欧州連合)のような「地域統合」はないものの、事実上、アジアの各地域と労働力供給における競争関係に入っており、それが日本の地方の疲弊を招く要因の一つとなっている。今後、アジアにおいてもFTA(自由貿易協定)が結ばれるようになると、日本の地方自治体は、直接アジア各国・地域との競争に巻き込まれてくることとなろう。また、画一性と多様性のバランスをどうするかという点がある。高度経済成長期には画一性だけでよかったが、今後は1.5車線が良いとか、30人学級が良いとかなどの多様な要求が出てくるので、画一性のうえに多様性をのせたようなバランスのとれた社会をつくっていく必要がある。さらに、日本の社会は受益と負担がかい離しているが、これを身近なレベルで一致させる必要がある。ヨーロッパではこの問題はEU統合の過程で各国に分権化を迫った。例えばイタリアがそのよい例である。日本ではそのような外圧はないが、今のまま放置しておけば明らかに債務は発散する。日本でも受益と負担を身近なレベルで一致させる必要がある。これらを考える時に、ゴールの姿として「行政的分権論」が良いのか、「競争的分権論」が良いのか、「協調的分権論」が良いのかをきちんと議論して明確にしておく必要があると思う。この緊急提言はバランスのとれたよい提案であり是非採択すべきである。

○税源移譲を行うと地域間格差が生じるので、緊急提言にある「地方交付税制度を基本としつつ新たな財政力格差に対応する財源調整の制度設計を早急に検討していく必要がある。」(P5)という点を特に強調する必要があると思う。地方六団体は、地方分権推進法が制定される以前の1994年に、国の役割を16項目に限り、国と地方の役割分担をはっきり打ち出した「地方分権推進に関する意見書」を地方自治法の規定にそって政府に提出した実績がある。地域間格差に対応する財源調整の制度についても、検討委員会などを設置して、新たな制度設計を提案していくようなことをすべきではないか。そうしなければ、税源に乏しい町村などの不安は解消できないのではないか。
また、資料として1928年に行われた日本の最初の普通選挙時における政友会の選挙ポスターの写しを提出しているが、地方分権の論議が当時から行われているということを示す興味ある資料としてご覧いただきたい(なお、印刷物等として使用する場合には、法政大学の大原社研に著作権があるので許可が必要)。

○今後の分権の行く先の姿について明確な考えを持っておく必要がある。また三位一体改革と国と地方を通じた財政構造改革とは、つながっているものではあるが、基本的には分離して考える必要があろう。しかし、三位一体改革を行いつつ、いつの時点からになるかはわからないが、国と地方が一緒になって現在の財政危機を乗り越えていくことをやっていく必要があるのではないか。さらに、国の財政と地方財政はへその緒でつながっているようなもので、地方の方が財政的に楽ということではなく、地方も潜在的に国と同じ程度の財政危機にあるということを認識しておくことが必要である。

○今回の提言は、平成16年度予算編成に向けた提言なので、当面は地方交付税の枠組みについては議論にならないことを前提にしているが、近い将来には、穴の空いた地方交付税をどうするかという議論が必要になるだろう。
この場合、国税または地方税のどちらかを増税するという議論を避けて、地方交付税改革の議論をすることはできないと思うが、国税を増税するのと、地方税を増税するのとでは、地方交付税改革の方向性がまったく異なってくる。こうした議論においては、財政力の強い団体と弱い団体との間で強い利害の確執が出てくることが予想されるが、この委員会での議論の次の大きな課題になると思う。

○中長期的な国のあり方と三位一体改革とを徹底的にすり合わせないといけないと思う。国も地方も財政難というが、制度的なむだがまだ多くある。たとえば介護保険制度の導入で「ケア・マネージャー」が利用者の相談にのり、個々のプランを作るというシステムが設けられたが、十分に機能していない、無駄なシステムではないかという実態も指摘されている。自治体にとっては、介護保険の費用がどうなるのか、今後も継続していけるのか、大きな問題であると思うが、システムそのものに無駄があれば、それを変えていくべきだ。それをそのまま引きずって、結局は各自治体が苦しむということがあるのではないか。これまでに国の作った制度を地方分権の見地から洗い直すべきではないか、そういう議論が地方においてもっと起こって良いはずだと思う。
また、地方の文化行政に係る予算が財政難から削減されているが、文化行政については、もっと国が予算を保障すべきではないかと思っている。
さきほど、委員の話にあった目標とする分権の姿に関しては、「協調的分権」が望ましいのではないかと思う。

○委員会の総意として「緊急提言」を出すことでよろしいか。(茂木委員長)

             (異 議 な し)

○過疎地、中山間地域は、費用を負担して子どもの教育を担い、こうして成長した子どもは大都市に出ていって働くということで、費用を負担するのは中山間地域で利益を受けるのは大都市ということになっている。また、費用を負担して森林を保全しているが、その恩恵を受けているのは東京をはじめとする大都市である。身近なレベルでの受益と負担関係だけではなく、国土全体の視点から考える必要がある。「緊急提言」に「今後事業費補正など各種の交付税措置を見直し」とあるが、この問題を考えるにあたっては、このような視点もきちんと踏まえないと地方が立ちゆかなくなってしまう。(佐藤福島県知事)

○例えば岐阜県では職員定数の10%削減に向けて取り組んでいるが、国の方はそのような努力を行っているかどうか疑問がある。地方自治体はみな行政コストの縮減に努力しているので、国も同じように努力すべきと主張していくべきではないか。(梶原全国知事会会長)

○地方交付税について、地方単独事業費については、決算と基準財政需用額との間にかい離があるのは事実であるが、一方、福祉、文化などの分野で超過負担まがいのものが市町村に大きくかぶさってきている。そうした意味では基準財政需要額は、投資的経費から経常経費に大きくシフトすべきだと考えている。また、離島、辺地などに対する地方交付税の配分は強化すべきと思っている。
全国市長会としては、国庫補助負担金は全部廃止という主張をまとめたが、そこには国の関与を廃止したいということとともに、国への依存を絶つという決意を込めている。政府はこうした気持ちに対して「税源移譲」によって報いるべきだと強く思っている。補助金カットだけで、税源移譲がなかったという結果にならないよう努力したい。(山出全国市長会会長)

  ◎次回は1月下旬以降を目途に日程調整。


※運営内規に基づき、委員については発言者名を省略。



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