第2回 地方自治確立対策委員会 議事概要

平成15年5月26日


1 日 時
  平成15年5月23日(金)16:00〜18:00

2 会 場
  都道府県会館3階 知事会会議室

3 出席者
 ○委 員

  茂木委員長、岡崎委員、金澤委員、木村委員、小西委員、高見澤委員、水城委員、持田委員
 ○地方六団体
  全国知事会:橋本茨城県知事、中沖富山県知事、西川福井県知事、梶原岐阜県知事、
        木村和歌山県知事、石井岡山県知事、藤田広島県知事、加戸愛媛県知事、
        麻生福岡県知事、古川佐賀県知事
  全国都道府県議会議長会:襲田事務総長
  全国市長会:阿部川崎市長、田中京都府亀岡市長、鈴木事務総長
  全国市議会議長会:佐藤事務総長
  全国町村会:針ヶ谷群馬県板倉町長、谷合事務総長
  全国町村議会議長会:篠田事務総長

4 議 題
 ○三位一体の改革に関する緊急提言についての審議・とりまとめ

5 議事概要

(1)地方六団体「緊急決議」及び地方分権改革推進会議「小委員長試案」について

○六団体の決議に地方交付税の部分についての反論が書かれているが、将来地方制度をどうしていくかという中で今議論がされているので、それぞれの主張だけを戦わせることになると、いろいろなことが変な形で固定し、将来の地方制度の発展の芽まで摘んでしまう可能性があると思う。
今、都道府県が共同税を行うことは適当でないとあるが、今はそうだが、将来、州制度とかができて、ナショナル・ミニマムではなく、ローカル・オプティマムを保障するのが本当の意味での財源不足を減らしていく仕組みという理念に立てば、別の書き方があると思う。
短期的な話として、反発していくときはこういう文書にしなければならないが、地方公共団体側も将来を見据えてはもっと大きなことを考えているが、今の時点でこのような制度改革は現実的でないので、これは困るという言い方にしないと、何十年も続いてきた地方税財政の対立の問題ということに特化され、逆に国民の理解をますます得られなくなるという印象を持った。(木村和歌山県知事)

〇小委員長試案に、水平的な財政調整制度は当面は移行不可能、将来的には可能であるかのような書き方がしてあるが、そのことと水平的財政調整制度としか思えない地方共同税が提言されていることとは整合していないのではないか。(古川佐賀県知事)

〇地方自治の立場から見ると非常におかしな主張に対する反論を、どの程度のレベルで政治的、学問的に行うべきなのかを明瞭にして対応しなければならない。今回の議論は歳入論に陥っているところがある。
一番問題なのは、ある大事な事業をやろうとしても、それが国のいろいろな補助制度でできない時に、予算は単年度主義のため、地方の税源を投入せざるを得ないということになり、そうすると国家的に優劣の低いものにお金が投入されることになることから、それを防ぐ税制とか財政に地方自治体がしなければならないというのが大きな課題だと思う。
税金については共同税が書いてあるが、これはドイツのものとは似て非なるものと思う。自治体が本当に課税するということであれば、賦課徴収を自治体がするという税にしなければならない。それがなければ受益と負担という議論は机上の空論だと思うが、ここをどのように議論するのか。これは少し長期的な話になるので、その辺をどの程度まで論じるのかという感じがある。そういう議論と当面いろいろと言われているから応接する議論とをどのようにするのかということの見極めをすべきであると思う。 (西川福井県知事)

〇今回の分権会議の議論に対して強く反発しているのは、補助金、交付金を減らし、その見合いの税源移譲がなされていないことであるが、小委員長試案の地方税の在り方を見ると、負担と行政サービスがわかるようにしていくことを基本にしようということはもっともであるが、その結果として、国が今持っている税源を減らして、地方に持っていくのではなくて、新たな税を自主的に地方が課税するという形で実現しようという構造になっている。出発点はもっともだが、出来上がった姿は自分で取れということになっており、非常に大きな飛躍がある。
我々のかねてからの主張である、歳出ベースが地方が6、国が4にもかかわらず税源ベースでは逆になっているので、その部分の国の税源を地方に移さなくてはいけないというところを飛ばしており、そこに非常に大きな問題があると思う。また、自分で取れということを非常に強調しているが、これは将来我々も覚悟しなくてはいけないが、その場合の徴税機構をどうするのか、また、どのような費目の税が意味のある額として実際取れるのかという問題もある。今、課税自主権はあるが大きな税金にはならない。具体的にどういう取れるのか、意味のある額が可能なのかを相当しっかり検討した上で自分たちで取れと言うのでなければ、課税自主権を広げるから何か工夫して取れといっても、実際には意味のある収入にならないというのが現実である。
そういう意味で是非主張したいのは、出発点の税源移譲は今の6対4のアンバランスを解消するために国の税源を地方に移せというのが第一の主張であり、課税自主権の問題については、実際に可能な税源はどこにあるのかということを議論しなければ、とにかく何か取ってこいとか超過課税をやってみろというだけでは問題の解決にならないということであると思う。(麻生福岡県知事)

〇当面の財源配分をどうするかという問題と、これから長期的にどうするかという問題が混同され、きわめて実務的でない小委員長の案になっていると思う。短期的に国庫補助負担金を減らし地方交付税を減らし、しかも地方自治体は財源は自分で考えろというもので先送りになり、何年もかかるかわからないようなもので出来ている。
こうした課題があることから、今日、関東域内の8つの都県と政令指定都市、また全国の政令指定都市13市を代表して、内閣府、総務省、財務省等に意見書を出してきた。その内容は、当面、国庫補助負担金の廃止縮減、地方交付税の見直しに併せて、税源移譲を実現することが必要であるということ。財源保障機能をきちんとやってもらわないと地方自治体で十分に仕事ができないこと。三位一体改革をただ単に国の財政健全化の道具に使われないように、税源移譲を基本とした三位一体改革に取り組んで欲しいということなどである。
全体として感じることは、地方分権の流れが定着するかに見えて、第三次行革審から地方分権推進委員会ができ地方分権推進法に基づいて進んで来た地方分権が途中で頓挫している。国の権限を移譲する、規制を緩和して地方自治体が仕事をやりやすいようにする、国は国際的な事業に特化して、もう少し国全体の姿を良くしようということで始まったはずが、いつのまにか尻切れとんぼになり、肝心要の改革が疎かになって、ただ財源配分をどうするかという議論に終始しているのは非常に情けない話だと思う。
こういう国全体の行政改革の在り方、国が何でもコントロールし、そのために国でもお金がかかり、地方と国とのやりとりのところでお金が消えていくという構造を基本的に改めなければならない。ここの所に切り込んでいかないと長期的な視点で問題が残る。(阿部川崎市長)

〇地方分権改革推進会議案の三位一体論は、読んでみると財務省の役人が書いたようなペーパーとなっている。
国の財政再建はやらなくてはいけないが、国の財政金融経済政策の失敗を一方的に地方につけを回すということでは本当の意味の国の財政再建にはならない。財政再建は一つは行政コストの縮減という課題があり、これは国も地方も共通の課題である。岐阜県では、建設事業の事業費の圧縮を計画レベルから設計レベルまでチェックし、5年間で20%カットして累積額1千億円となっているが、それに相当するような努力を国がやっているのかどうか。行政コストの削減は、国、地方を通じて共通してやらなくてはならない。自治体ももちろん真剣に取り組んでいくべきであり、絶対に無駄は許されない。同時に国がどれだけ真剣に行政コストの縮減に取り組んでいるのか甚だ疑問だと思う。そしてギリギリにコスト縮減を行っている自治体にとって、さらに財源をカットされることは、コスト縮減の域を越えて、住民に対する行政サービスをカットするということに至らざるを得ないと思う。
岐阜県の場合、この試案で影響の受ける地方交付税をいろいろな前提でシュミレーションすると、県では421億円、市町村では824億円の影響を受ける。これを行政コストの縮減だけで耐えられるかどうか、結局住民サービスをカットするということにならざるを得ないのではないか。そうであれば、国の方で作る政策というのは、国民にこれだけの行政サービス水準をカットするから辛抱してくれというメッセージがなければいけない。自治体における行政コストの縮減の問題と住民レベルにおける住民サービスのカットを混同されているのではないかと思う。一部国の人は自治体がえらい無駄をやっているというような誤解もあるが、大半は一生懸命努力している。その上に財源をカットするということは住民サービスをカットすることであり、国の政策として、そういうことを想定し前提とするなら、勇気を持って国の政策として直接国民にアピールすべきではないか。ただ自治体を泣かしておけばいいというものではないと思う。
長期的な問題として国、県、市町村の重複行政が膨大な無駄を生んでおり、この改革こそ国家の財政再建の重要な本当の意味の構造改革ではないか。今は、全体の行政が3階建てになっていて、3階に国の役人が、2階に都道府県が、1階に市町村が住んでいる。1階の部屋の掃除をやるのに、3階の役人が1階まで降りてきて、掃除の金を出すが掃除のやり方はこういう風にやらなければならないというようなところまで介入している。そこに膨大なロスを生んでおり、1階の掃除は1階の人に任せれば良いし、掃除のお金も自らの財源でやれば良いのに、その財源を吸い上げて1階の掃除の金まで3階の役人が握っている。こんな馬鹿なことをやっているから、無駄が生じている。
長期的な課題と当面の課題をよく分けなければならず、木を見て森を見ないというようなことにならないようにしなければいけない。当面この財務省の役人が作ったペーパーに対して反論するということは必要であるが、やはり全体をどうするか、長期的にどうするか、それらを十分踏まえて議論していかなくてはいけない。そういう意味で地方六団体で常々思うことは、事がある度に集まってやるのではなく、経常的に、調査研究をするという体制にしなければいけない。そういう体制が地方六団体の中で非常に弱体であると思う。今回、こういう委員会ができたことは大きな進歩だと思う。その場その場でバタバタしなければならない場面もあるが、長期的、継続的に勉強をこれからしていくべきではないかと思う。(梶原岐阜県知事)

〇三位一体の水口試案に対して物を申すときに、地方団体が単なる抵抗勢力として反対している訳ではないということを説得力を持ってはっきりわかるようにしていかなくてはならないと思う。緊急決議にある財源保障機能を堅持することが、地方交付税を総額として確保するという意味ではなく、財源保障機能は理屈上外せないものであるということをはっきりアピールしなければ、単なる抵抗勢力ということで葬られてしまう可能性がある。
税源移譲という話も、現場では交付税が堅持され地方税が増えるから歳入が純増するという感覚で受け止める方が多いのではないかと思うが、そんな悠長な話ではない。例えば、消費税は今5%だが国民にお願いすればあと5%引き上げる余地があるという時に、これを国税、地方税としてどちらが説得力をもって増税がお願いできるかという潜在的な税源に対する取り合い、いい意味での競争だということが実は税源移譲の意味と言えば、財務省のスタンスも随分変わってくると思う。全くの財政赤字で国地方合わせた歳入歳出が賄わないときに、今の金額の税源移譲なのか、潜在的な税源税収の税源移譲なのか、少しそこをずらしていかないといけないと思う。
分権会議の方は、筋悪の議論だということをある意味ではわかってやっているところがあると思う。財源保障機能がいかに重要かということがわかっていながら、こんな提言の仕方でもしなければ地方財政計画の縮減はダメではないかとおそらく思っていると思うが、筋悪の攻めでは現場はもたない、筋悪の攻めではなく筋のとおった改革の議論をしましょうと我々が言い返すことで、地方団体は啓蒙的でかつ単なる抵抗勢力ではなくなるのではないかと思う。

○地方は何もやっていないといわれるが、実態は、地方は給与カットや職員数の実質減をしている。実態をもっとよく知ってもらわないと、地方は行革を行わず、金だけ寄こせというような格好になっている。
地方分権改革推進会議の委員11人中5人が、財政制度等審議会の専門委員などでそういう立場から攻められたのではとんでもない話なので、このような委員会を作って、逆の発信をしていかなくてはいけない。そのためには、長期的なこともしていかなくてはいけないし、現実論もやっていかなくてはならない。
一般の人は、地方には無駄が多い、税源はもっとある、努力が足りないというイメージができているので、もっと、国民にわかってもらうような努力をしていくことが必要である。(橋本茨城県知事)

○国で税金を取って、国の機関を通じて、コントロールし地方自治体にお金を流すことに無駄がある。それを、直接、地方自治体にお金が入って、自由に使えるようにすれば、相当の歳出カットができる。地方自治体で多くの仕事をして、住民に近いところで行政をするのがこれからの国の姿であり、すでに確立された考えである。それに伴い、権限や財源を移譲していくのが地方分権の流れである。
新しく増やす税金を配分するという理論ではなく、地方分権の本来の姿を取り戻すために、国で取っている財源を、地方で直接取れるようにすることが必要である。(阿部川崎市長)

○地方分権推進委員会と地方分権改革推進会議の両方に意見を述べる機会があった。その経験から、明らかに、今の地方分権改革推進会議の議論は迷走している。
地方消費税を廃止し、地方共同税に統合する意味がわからない。財政分野では、課税ベースが偏在しているものは国税に、地域的偏在度の少ないものは地方にするというのは大原則である。偏在度が最も高いのは法人利潤で、その次が雇用所得、最終消費はもっともフラットな課税ベースである。したがって、現在、地方消費税がある。それを廃止して、地方共同税に統合して、財政調整の財源とするのは全く整合性のない提案である。
次に、都道府県税としては、地方消費税をどのようにしていくかということが必ず大きな争点になると思う。その時に、地方消費税は国税の付加税的なものであって、地方自治体のコントロールできる部分が少ないので都道府県の基幹税には不適切であるという考えではなく、地方消費税であっても、諸外国で行われているように課税自主権が発揮できるよう都道府県の基幹税として成長させていくべきである。
カナダでは、各州が独自に付加価値税を徴収し、連邦政府に逆交付している。大西洋沿岸諸州では、連邦と州が課税ベースを共有しているが、各州が独自に割引制度を持って、事実上、税率決定権を持っている。ブラジルでは州の独立税として多段階の付加価値税を40年間課税しており、州税の90%に達している。そういう観点から考えても、地方消費税を廃止して、地方共同税に統合するのは全く理解できない提案である。

○地方分権は、地方に権限と財源を拡充していくというのが基本である。現在、地方分権改革推進会議でまとめられようとしている案は、どちらかというと国家財政の危機をどうやって回避するかという議論になっており、その中に税源移譲の話があるので、基本に戻すべきである。しかし、国と地方がトータルとして金がない状況にある。事業によっては、国において補てんされるべきものもあるし、調整財源として地方交付税もあるので、そのすべてが自主財源になればよいとは考えていないが、例えば過去10年間における補助金や交付税の総額を算出して、国と地方ぞれぞれにおいての必要額と税源移譲した後のそれぞれの額を比較して、国は国として残ったものでどうしていくか議論し、また地方は地方として削るべきところは削るという議論をしないといけない。最初から足らない税源をどうするかということをやっているので、国家財政危機回避のためだけの議論になってしまっている。今の地方に与えられている権限と税源、財源の配分を通してシュミレーションし検討しないといけない。(田中京都府亀岡市長)(配付資料:別紙(PDF)

○小委員長試案について、一般的に税源移譲先送りといわれているが、提案者側はそういう認識をしていない。税源移譲について、提案者は「地方の自主財源として移譲」と主張するが、税源移譲とは書いていない。他の選択肢もある。さらに、この表現は、昨年6月のいわゆる「骨太2002」に書いてある文章とほとんど同じである。税源移譲について何も決まっていなかったころと同じ内容で、税源移譲について書いてあるとは到底言えるものではない。また、後半の方では、単なる国から地方への税源移譲ではなく、課税自主権を発揮して徴税努力しろということである。
したがって、緊急決議を出すだけでなく、地方分権改革推進会議において地方6団体からもこの点をしっかり指摘すべきである。
税源を寄こせということだけでなく、補助金や交付税の問題について、地方自治体も改革を考えている、血を流すことを考えているというくらいの迫力を持って税源移譲について言わないといけない。

○第1点、現在、国と地方があたかも「おまえの方こそ歳出削減をしていないではないか。」という意見になっているのは無駄な議論で、両方とも歳出削減の努力はしている中で残念であるが、地方分権改革推進会議の小委員長試案については、3つほど言いたい。
まず、地方交付税の地方財政対策による追加分について、財政調整交付金として削減していくとあるが、それが義務的経費のためのものであるという視点を欠いているということ。
次は一番基本的な問題で、自治体はどういった行政サービスを住民に対して維持していかなければならないか、そのためにどのくらいの支出保障を財政調整のなかでしなければならないのかという視点が欠けていること。財政調整を一人あたりの収入でやる方法は可能だが、それだけでは、人口によって支出額が比例的に出ていくわけではなく、必要額が確保できないところがでてきて、そこのところをどのように担保していくのかという視点がないのが残念。
次に、税源移譲については、潜在的な税源移譲の問題点も十分認識しているが、今の三位一体の議論のなかでは、国庫補助金を十分精査して、要らないところはカットして、地方に必要な部分は地方にまわすという時に、財政調整を明確に書くのであれば、税源移譲も明確に書くべきということ。
第2点、地方も国も行財政改革をするとともに増税が必要であることは否定することができないということ。地方も超過課税、例えば個人住民税の超過課税についてはやっていかなくてはならないのは当然だと思うが、超過課税には限界があり、国全体の増税をやっていかなくてはならない。
第3点は、今後の地方交付税のあり方について財源保障をなくすというのは住民サービスの点からも、他の国の例をみてもあり得ない。資料1のP2、地方六団体の緊急決議では、財源保障を廃止・縮小することは…、とあるが、財源保障の廃止と縮小を並列で論じてよいのかという疑問はある。財政調整の部分を減らして地方税の部分を増やしていくという将来の方向からすれば、地方は自らの手足を縛ってしまうのではないか。

○先ほどまで地方制度調査会に出ていて、資料3にある「地方税財政のあり方についての意見」が採択されたので報告する。
ここでは税源移譲ということが明確に言われており、三位一体でやらなければならないということが明確に言われている。同じ政府から諮問されているのだから地方分権改革推進会議も地方制度調査会と同じ考えでやらなくてはいけない。地方は国から法令等で、いろいろと義務づけられているが、そうしたなかで財源保障は削減するというのでは、地方に出来ることは地方に任せようという総理大臣の発言が虚ろに聞こえてくる。このままでは、地方に出来ないことを地方にやれということになってしまう。
地方制度調査会はこのように意見を出したわけであり、我々は抵抗勢力でも何でもない。地方分権一括法案の時の附則とか附帯決議にも明確に書いてある方向(地方税財源の充実確保)に沿って、我々の意思を政府に伝えていかなくてはいけない。(石井岡山県知事)

○地方分権改革推進会議の小委員長試案について、全国町村会としては内容があまりにも国の財政事情優先で地方分権改革の方向に反しているので、抜本的な見直し修正を行うよう、直ちに意見書を提出した。ここでは、三位一体の改革に向けて、町村の立場から発言したい。
私どもも、国と地方の税源配分のあり方の見直しは重要な課題であると認識しており、「片山試案」に沿って検討し、地方税の拡充強化を図るべきと考える。しかし、農山村の大半を抱える町村は、人口、従業者数とも少なく税源移譲の効果が十分に及ばないことが懸念される。
そこで、地方交付税の役割は、町村にとっては、より重要なものになると考える。小委員長試案に述べられている地方共同税の仕組みそのものもよく理解しがたいが、とても地方交付税の持つ財政調整機能、財源保障機能を代替えし得るものとは思われない。
そもそも、国が法令によって事務事業の執行を義務づけ、しかもその内容、水準までも定めながら、その財源は保障しないというような無責任なことは許されない。
三位一体の改革で地方交付税も見直し対象ということになろうが、結論だけ言えば、町村の実態というものをよく認識していただき、私どもの意見を十分聴いた上で、見直しをしていただきたいというのが率直な思いである。
少し場違い的な発言になるかもしれないが、私ども町村長の最大の悩みは、非常に厳しい財政状況と市町村合併問題である。合併問題に対して、どう判断するかは大きな悩みである。
私どもの県の事例であるが、合併しないことを決断したある村長が、合併推進派のリコール運動により失職したという事例もある。したがって合併しないのも大変だし、合併する場合も、どこと合併するかで悩みが尽きない。そんななかで、群馬県の町村会(58町村)は、本年2月18日に定期総会を開催し、国会議員も定数を半減しなさいという決議を採択した。というのは合併に伴う痛みというのは大変なものであり、また大変な決断が必要であり、これにより本当にわが国がよくなるのであれば、国会議員も我々の痛みを理解して欲しいということである。
私どもが仕事をしようとすると、まず県との調整が大変であり、その上に国があるのでさらに大変である。市町村合併により僅かな職員を削減できることより、こうした国の全体の仕組みを考えていくことの方が大事であると考える。(針ヶ谷群馬県板倉町長)

○現在の税源を国から地方へ移すということではなくて、将来の税源を移すということを考えた方がよいのではという議論はもっともなようにも聞こえるが、ここで譲ったのでは本来の分権にならない。なぜなら地方分権推進委員会が出来て自治事務など権限面では形は綺麗になったが、実態は中央省庁が再編され巨大化し、その出先も再編されたが、出先の権限は強化された。例えば、従来は単なる実施機関であったが国土交通省の地方整備局も企画部門ができて地方にどんどん入ってくるようになり、かつては地方の事務と国の中間にあったハローワークの事務などは完全に国がやることになったし、国保の監督事務なども全部国がやることになった。このように実際には中央の地方への浸透度は高くなっている。なぜこういうことになるかというと、結局、国は60%の税源を持っているから出来るのである。
岐阜県知事が言われた二重行政の問題は非常に深刻な問題である。現在、国がどんどん浸透してきているので、国と我々の二重行政はより激しくなっている。これを根本的に直そうとして、国全体としてより合理的な行政体制を作るためには、税源を移すほかはない。金をもっていればどんどん浸透してくる。国全体の合理化なり、より整合性のとれた国の運営の仕組みとするとやはり6:4を変えなければいけない。それをそのままにして、将来の税源でどうにかしようというのは、ますます我々の行政の効率化が損なわれる。国の行革は進んでいないが、地方は人事委員会の勧告のほかに3%カットするとか、5%カットするとか給与のカットをやっている。6:4を変えなければ分権にはならない。将来の税源ではなく、このことを是非理解してほしい。(麻生福岡県知事)

○地方財政の問題で、国民は一体何を議論しているのかよく分からないのではないか。国民不在の議論が横行しているのではないか。この委員会では国民にわかる結論を出していただけるようにお願いしたい。それから、読んでもわからないような文章が多いので、ポイントだけをなるべくわかりやすく書いて貰いたい。この点は反対だと明確に打ち出してもらう必要がある。
2番目に申し上げたい点は、今、何が問題でこうしたことが起こったかというと、国は機関委任事務を廃止するなどして地方に仕事をさせているが、財源を与えていない。「飯を食わないで仕事をやれ」と言われているようなものである。こういう国の仕事のさせかたは間違っている。地方は住民のために一生懸命仕事をしているのだから、いい仕事をするために、飯代もきちんとよこしてもらわなければ困る。
3番目には、国や地方の行政改革の状況はどうなっているのかということ。地方は市町村合併など命がけで取り組んでいる。これは大きな行政改革である。中央政府はこうした激しい行政改革はやっていない。先ほど福岡県知事もいっていたが地方支分部局の各県段階のものは全部止めたほうがいいという考えももっている。地方はあまり行政改革をやってないようなことをいわれるが、そんなことはないということを委員の皆様からも中央にも言っていただきたい。
次に、国と地方の仕事の状況がどうなっているかということについて。国は2、地方は3、つまり4:6の割合で仕事をしている。この割合をもっと明確に国民に訴える必要がある。国は国防、外交、司法ということに専念すべきである。特に外交はもっとしっかりしてもらわないと困る。地方の仕事はというと、我々は住民の意見を聴いて住民サービスをしている。むしろ地方に積極的に仕事を任せれば、いい仕事が出来る。そして、国と地方の仕事の割合が2:3なら、それに応じた財源配分があるべきである。現在はそれが逆であり、財源措置の仕方としては適当ではない。
そこで、地方の財源が3になるような財源措置を講じてもらいたいが、これが三位一体改革にでてくる。三位一体のひとつとして国の補助金、特に奨励的補助金を全廃してもらいたい。そしてそれを地方に移譲してもらいたい。2番目には国税のうち、地方に馴染むような税源、例えば所得税、消費課税などは地方に配分してもらいたい。交付税は地方税と合わせて、地方が3になるような形の配分が必要である。このような形で三位一体の改革を進めてもらいたい。国民にわかりやすい形でこうやればこうなるというようなことを是非ここで相談していただきたい。
地方分権改革会議の案は国民を迷わすものであって、地方分権改革という名に値しない会議ではないかと思ったりする。この委員会の皆様には、是非ご尽力いただきたい。(中沖富山県知事)

○国民がわかりにくいという話があったが、国と自治体の間のコップのなかの嵐のようにとられている。今度の改革案においても、私どものシュミレーションでは教育水準を下げなければならない。国民生活がどうなるのかということを具体的に示していかないと、国民は国と自治体のただの金の取り合いだと受け取ってしまう。我々自身の努力もしなければならないが、国民に分かりやすくするために国民生活にどういう影響があるのかということをもっとアピールしなければならない。(梶原岐阜県知事)

(2)「緊急提言」について

○緊急提言案の趣旨・ポイント等の説明(金澤委員)

・政府間財政関係についての多岐にわたる課題を本格的に議論して提言をまとめることも当委員会の一つのスタンスであるが、地方分権改革推進会議の動向に鑑み、三位一体の改革において最低限踏まえるべき基本的視点を緊急に提言するもの。
・「小委員長試案」について様々な抗議があって公表されるに至った経緯があるので、当委員会が「緊急提言」を行う意義は大いにある。
・前文のポイントは、国も地方もともに財政危機の状況にあるなかで、国と地方が一体となって対応することが必要であるにも拘わらず、地方の意見を踏まえることなく、唐突に様々な改革案を提案し、その案が地方の不安をあおるようなやり方のもとでは、真の分権型社会の実現に向けて国と地方が協力して改革に取り組んでいくことはできない、ということ。
・具体的には次の5点を提言。
 @真に地方分権の推進に資する三位一体の改革案の取りまとめが必要であり、そのためには地方団体の意見を取り入れ、透明性ある議論をすべきこと。また地方六団体の「緊急決議」については、三位一体の柱となる税源移譲が先送りされている点、地方交付税改革に関して特異な改革案が唐突に出てきている点への懸念が示されていることを主に基本的に理解できるとしている。
 A地方への税源移譲による地方税財源の充実強化抜きの三位一体改革論はあり得ないこと。(提言の中で一番の大きなポイント)
 B財政構造改革、国民負担のあり方の問題も回避せずにきちんと検討すべきこと。
 C地方交付税について、地方財源を保障する仕組みは今後とも不可欠。ただ具体的な額そのものを維持すべきというものではなく、また交付税制度の具体的な問題点も明らかなので、総額の決定のあり方、算定の仕組みなど、必要な見直しは進めるべきこと。
 D行財政改革や自主的な市町村合併の取組を推進しているが、分権型社会を担う責任ある行政主体として今後も取組を進めるべきこと。

○1990年代からの地方分権改革の流れは、地方自治体の自己決定権の強化が基本にあり、そのための一番大きな課題が国と地方の間の事務配分と税源配分の基礎的な不均衡、ギャップの是正である。その一番最後に残ったのが税源移譲であり、これをきちんとやらなければ地方の自己決定権の強化にはつながらない。これを飛ばして、さらに先の改革が提案されることは手順としておかしいのではないか。
三位一体の改革にあたっては、事務配分と税源配分の基礎的なギャップを是正するという基本に立ち返って議論すべき。これが実現した際には、新たな時代状況の中での国と地方の関係はどうあるべきかという議論が必要だが、それは次のステップ。

○国税と地方税の対GDP負担額をみると、国税については、1990年で約17%であったものが、現在は14%程度にまで落ちている。一方、地方税については8%だったものが2000年には9%になっており、地方は国民負担を減らさないよう努力してきた。国税だけが減っているという状況を見ると、モラルハザードで地方が攻撃されるのは理不尽なこと。

○地方にお金がないこと、その中でたいへん努力していることを国民はよく知らない。あらゆる機会を通して(地方分権によって)国民に生活がこう変わるということを訴え、納税者である国民にわかりやすい議論をすべき。

○三位一体の改革の議論は、税財政問題の枠組みの中だけで捉えるべきものではない。日本経済は国内的にはデフレ問題、国外では発展途上国の追い上げ等激しい国際競争に直面している。今後は、創意工夫により新しい分野を開拓していくことが必要であり、一律の国の基準による中央集権的な財政運営ではなく、税源移譲により、それぞれの地域が自由な発想によって個性豊かな発展をしていくことが必要。このことが日本経済のデフレ脱却にもつながるし、国際競争力の強化にもつながる。
(三位一体の改革は)新しい国づくりという大きな夢のある議論。地方自治体から税源移譲によってこのようなことができるようになるという話もお聞きしながら、前向きな提言をまとめたい。

○「緊急提言」では、地方行財政改革に言及しているが、広島県では、知事部局の職員数を約6,200人(10年前)から5,500人程度に削減し、人件費も約3,600億円から約3,300億円台にまで削減した。合併で職員が余る市町村には退職不補充などで削減をお願いしているし、すぐには削減できない市町村には県の事務を移譲して、職員の有効活用を図っている。国も行財政改革に取組むことが必要。
住民が何を望んでいるかを一番良くわかっているのは市町村であり、市町村が自由に一定規模以上の予算を使って、住民のニーズを満たす事務事業を進めることができるようにすることが真の地方分権の確立につながること。また国・地方の政府部門の職員を減らすことによって、コストダウンし、その分投資的経費が確保できるし、赤字公債の発行も抑えることができる。
財源や権限がどこに付与されるべきか、何をすることが国民にとって一番良いことなのか。地方分権改革の議論は、そういう大きなベクトルに向かっていくべき。
現在の地方分権改革推進会議の議論はこのベクトルを完全に外しているので、6月初旬にまとめる同会議の「意見」をにらんで提言をすることは良い。その後は大きなベクトルに戻って議論すべき。(藤田広島県知事)

○(三位一体の改革は)地方への大きな痛みを伴うが、地方が痛みに耐えるならば国も一緒に痛みに耐えるということが根本にあるべき。しかし、「小委員長試案」は地方への完全なつけ回しにすぎない。これまではあまりにも法律をどんどん作って、事務を増やしすぎて、そのつけが全部地方に回ってきた。国も地方もスリム化することが重要。(加戸愛媛県知事)


◎緊急提言(案)の了承
緊急提言(案)が了承され、直ちに地方分権改革推進会議委員、経済財政諮問会議議員、首相官邸等に届けることとされた。


  ◎次回は7月上旬頃を目途に日程調整。


※運営内規に基づき、委員については発言者名を省略。

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