第15回地方分権時代の条例研究会の議事概要



1 都市計画(土地利用計画・規制)に係る条例について

   (事務局説明)

(1)委任条例の意義とその活用について

ア 地方分権改革に伴う「委任条例」の概念の変化について=名称も含めて

○分権改革によって内容が変わったことは確実だが、それを象徴的に表すために「委任条例」という名称についても変えたらどうかと思っている。都市計画中央審議会答申ではまったく変わっていないといっているが、法定受託事務についても法令の委任をまつことなく条例制定が認められることとなった分権一括法以前に出された答申なので、根本的に違うのではないかと思う。どのような名前で呼ぶかは問題だが、象徴的なものにはなるのではないか。

○分権一括法で法定受託事務にも条例制定権を認めるという形になったので、そのような意味では当初の構想よりも分権適合的になっているわけで、都市計画中央審議会答申はそれ以前に出されたものという指摘は重要なことだと思う。
「委任条例」の名称に関しては、資料1−1の「主な意見」を見ると、法律に基づく条例というのもミスリーディングであり、それに代わるものとして「法律執行条例」や「法律具体化条例」と呼ぶ方が良いのではないかという意見もある。

○「法令に明示されている条例」と呼ぶのがふさわしいのではないか。ただし、「明示」の意味にはいろいろなものがあるだろう。たとえば、「できる」という場合もあるだろうし、確認的に書いてある場合もあるだろう。また、施行する場合にこれがなければならないという意味の場合もあるだろうし、標準を条例で書き換えられるという意味の場合もあるだろう。

○委任の中身がどのようになっているかについて注意が必要だ。白紙委任の場合と範囲を限定して委任している場合とでは意味が異なるのではないか。

○委任条例と独自条例という2区分法で発想することがおかしい。条例は条例なのだからこのような区分をすべきでないのではないか。

○「委任」という概念は国側からみた方向になってしまう。自治体から見た方向を示すためには、たとえば「法令解釈条例」などといった方が良いのではないか。違った方向性を示した方が良い。

○法令の権限を活用できるというときには、「法令連結条例」という言い方もあるのではないか。

○自治体の事務に関する法令の制約ないし定めがあるものとないもので、定めのあるものについてどのように解釈するか、というように単純化して考えた方が良いのではないか。

○いま、議論しなければならないことは、自治体として、このようなことをやりたいという発想がまず先にあって、それに取り組んでいったら、たとえば国の関与などが出てきたので、それをどのように乗り越えていくかというような、もっとアプリオリな議論ではないのか。だからといって価値感だけで邁進するような粗野なものになってはいけないが、細々とした事柄ではなく、もっとおおらかな議論をすべきではないか。確かに地方自治法や土地基本法のように制度を変えるのか変えないのかよく分からない法律があって、構造的な問題として、総務省や国土交通省との関係をどう考えるかといった問題はあるが、法改正によって世の中が変わったか変わらないかという議論をするのではなく、変わったという前提のもとに、自治体として何をやりたいのかということを出発点として、制度設計を行っていくべきではないか。そうしないと萎縮してしまうし、細かいことに目がいってしまう。その辺の意識・発想を是非変えるべきであるし、変えることはできるのではないかと思う。
そうしたときに国との見解の違いがあった場合には、国地方係争処理委員会等を活用するなどして、自治体としては、こういうつもりでこのような条例を作ったのだということを主張すれば良い。どうも予防的に条例をつくろうとする傾向があるが、このようなかたちでこれまでの行動を変えていくことが重要である。

○“おおらかに”というのをサポートしようという意図で、「中間まとめ」(平成13年11月)では「標準設定」論を示した。しかし、なお委任条例ということで限界があり、現実に苦しんでいる自治体もあるならば、委任条例という考え方自体がおかしいのではないかということを示して、もう一度玉を投げてみるのも“おおらかさ”を支援する方法ではないか。

○“おおらかさ”という意味では、自治体が大胆な発想をして取り組んだが、失敗してしまったときに、研究者がそれをたたかないということも重要だと思う。裁判で負けると、あれは検討不足だったということになるのはやむを得ないことかも知れないが、そうすると萎縮効果がでてしまう。
ある新しいことをやろうとすると、それが先例になるので、通常の政策決定過程ではあり得ないぐらい徹底的に議論をしなければならなくなる。そのコストが相当高いが、それを誰がサポートするかということが重要である。本来的には総務省の役割ではないかと思うが、逆に総務省がたたく側になる場合があるので、地方六団体が支援するということになるのだろうか。
このようにトライした自治体をいかにサポートし、さらには失敗したところをけしからんと言うのではなく、いかにサポートできたか、というのが研究者に求められていることではないか。

イ 委任条例における独自基準の設定等について

○特区制度があるが、これは規制緩和や経済活性化の目的に限定されたものとはいえ、地方自治法の改正に係る事項なども門前払いにしないで、事実上受け付けている。
条例を改正する場合に、標準設定論では何しろ先に作ってしまいなさいということになるが、特区制度で、一般的なものはともかく、個別的な事項については、うちの地域ではこれが必要だとなれば、一応、受け付けるという仕組みができているので、これも使えるようにならないかと思う。
現行の特区制度は、規制緩和が目的なので、法令の規制を緩和した上で、自治体の条例で規制を強化するという内容の事項はのりにくいと思うが、発想自体としてはあり得るのではないか。国が一般的に規制を示すとしても、ある自治体でどうしても規制を強化しなければならないものがある場合に、一般的な法令の解釈では駄目だし、法律改正を求めるとしてもある程度ニーズがあつまらないとやらないし、しかもその範囲で決めることになるので、それ以外にやれる仕組みができないか。
現行の特区制度を規制緩和や経済再生という目的のものだけではなく、あるいは規制を強化することによる経済再生ということでも良いと思うが、そのようなことにも使えるのではないかと思うし、もっと一般的な制度に拡大するということも考えられるのではないか。
そうしないと、法令の規律密度の緩和といっても、国では事例が集まらないと緩和しないと言っておいて、一方で事例を作らせないようにしているので、結局、緩和しないということになる。特区制度の活用は、法令の規律密度を緩和させるための一つの手段になるのではないか。それにもっと総務省も協力するようにしたらどうか。

○特区制度的なものの活用は、法律の既存の規定を適用除外というかたちで自治体独自の規定を認めていくこと、自治体独自の権限ということで適用除外としていくことであり、立法論的なものとして研究していくべき課題ではないかと思う。
一方、解釈論として、明文の適用除外条項がなくてもやれるはずだというのが「標準設定論」である。これは法律の規制の仕方によって、まったくブランクになっているようなものについては、委任という言葉を使わないことにすれば、法令による自治事務への制約である、あるいは、条例という枠を使えといっているだけにすぎないのであって、あとは自由だという考え方は十分にあり得ると思う。

○何をやりたいのかというところから始めていくということが、自治体の発想として必要なことだと思う。
委任条例については、そこで何をつくることができるのか、委任条例と自主条例の範囲が合体した条例をつくろうと考えたときに、どのようにすれば良いのか、ということについて自治体の法務担当者としては頭を悩ましているところなので、一定の整理ができれば良いと思う。
たとえば、横浜市で地下室マンションの規制条例((仮称)「斜面地における地下室建築物の建築及び開発の基準に関する条例」)を検討しているが、@平均地盤面を意図的に操作してはいけないという規制、A敷地境界からマンション壁までの距離や敷地の一定割合への緑化に関する規制、Bマンション全体の階数規制をやろうとしている。このうち、Bのマンション全体の階数の規制は、建物の構造上の問題なので建築基準法に基づく委任条例の中でできるが、前者2つは委任条例としてできないから自主条例ではないか、あるいは一本の条例にするためには、委任条例として書く部分についての罰則はこう変えた方が良いのではないか、というような複雑な議論になっている。このようなことを明解に整理できるように示してあげることが必要ではないか。

○建物を建てるときに、地盤面をどこから捉えるかということについては、法律では具体的に決めていないので、自主条例で解釈基準を設定するということはあり得るだろう。地上とか地下とかの解釈を条例で確定させようということであろう。

○独自基準の設定については、できるという解釈とできないという解釈の両方があり得る。国はできないという見解だが、自治体が条例を作ってしまえば、国としてはそれをひっくり返す手段を持っていない。そこは、自治体がいかに確信するか、いかに先進的な取組をやっているか、地域の住民のニーズを汲み上げている条例を作ってやっているかをむしろきちんと発信していくという発想が必要ではないか。
戦略としては、先ほど特区制度の活用という話があったが、特区制度は既存の仕組みを変えていく上で非常に良い知恵であると思う。既存の制度があるものについて新たに異なるものをつくるとか、標準法であるから網がかかっていても大丈夫であるとかいうことは少し苦しいかもしれない。それよりも既存のものは既存のものとして尊重しながら適用除外というかたちで行っていくことは、既得権者も含めて皆が納得できる仕組みの中で、実際には大きな風穴が空いてしまっているということで、実質をとっていることとなる。世の中が変わっていくときは、そのような形でかわっていくこととなるのだろう。このように、大きな視野で、特区的な発想で進めていくということが戦略として必要ではないか。
国レベルでも、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)に見られるように、行政財産に私権を設定することを認めてしまうようなことまでどんどん行われている。そのようなことが常に併存しているので、大丈夫ではないか。地下室マンション規制条例などはコンセンサスが得られやすいのではないか。

○土地利用規制・調整については、自治体の側から先進的な施策を始めていたと思う。条例を考える場合には、国からは争ってこないかもしれないが、事業者がこれは違法だとして裁判になった場合に、果たして勝てるのか、という問題があるので、このような点についてきちんと整理しておかなければならない。

○横浜市の地下室マンション規制条例案の立案過程では、事務局側では当初ここまでは考えていなくて、研究会の提言で出てきたものを市長が取り上げて事務方に指示したと聞いている。横浜市の場合はともかく、一般論としては、トップダウンによる意思決定の場合には、指示を受けた事務方が十分に知恵がでないままに条例を作ってしまって、結局、訴えられたときに、裁判で負けてしまうということが懸念される。それが次の取組の時に大きなブレーキとして働いてしまうこともある。所管課の職員をいかにサポートするかということが大切である。<p> ○独自に付け加える部分は自主条例ということで、委任と自主の2つのものが入るということも一つの考え方であるが、「中間まとめ」で整理した標準設定の考え方でいくとすれば、法令上の基準設定に条例でプラスαを付け加えることも可能であるということを方向として出すことも、自治体の取組をサポートすることになるのではないか。国からは訴えられないが、事業者から当該要件を都市計画法あるいは建築基準法の許可要件にプラスするのは違法ではないかと訴えられた場合に、どう防御するかということが一番のキーポイントではないかと思う。そこは、標準設定論の考え方(資料1・P6〜7参照)でおしてみるということもあるのではないか。

○現実には、法令の枠を出ないように、条例で定めるとされている範囲内で最低限の決めを行っているのが実情であり、それ以上の先駆的な対応ができないのが実態である。12月議会に日影の基準に係る条例をかける予定であるが、より厳しいものに決めようという姿勢は持っているものの、法令で提示されたものの中からどれを選択しようかという判断に止まっている。

○現在、土地利用調整条例を検討中であるが、ここでは、今日、議論のあったようなことを取り混ぜた自主的な条例という表現を使っている。斜面地でのマンション建設、中心市街地や大規模工場の移転跡地の空洞化など市の抱える土地利用上の様々な課題にどのように対応するかが問題になっているが、裁判になったときに負けてしまうということもあるので、事業者にとって過度に負担にならないようにすることが大事であり、その点に注意しながら検討を進めている。

○条例をつくる立場からすると、法律に基づく許可や監督処分を条例で利用できるのかどうかという視点もかなり重要である。

○条例を一元化したとして、法令に定めのある仕組みを使うのであれば、法令の基準に寄らなければならないという発想を維持するかどうか。
たとえば、開発許可基準にある公園の設置について、法令の基準では開発区域面積の3%以上とすることとなっていて、それを条例で6%以上にまで規制を強化できるとなっているものを、条例でさらに8%以上にした場合、しかも8%以下だから開発許可は出せませんとした場合に、これが適法がどうか、というのが一番クリティカルな問題だと思う。一つの見解は、それは都市計画法上の仕組みとしては使えない、だから独自のまちづくり条例の中で独自の実効性確保の仕組みを設けてやりなさいということだが、それだと2重行政になってしまう。そこで、「中間まとめ」で、一般論としては標準設定だから使いうるという整理をしたが、そのような方向でよいだろうか。

○標準設定論は個別法令の解釈になるので、個別法令の解釈がそれ以上認めていないということで限定された場合は、標準設定論でも乗り越えられないのではないか。しかし、法令である範囲内までを明示しているものについて、さらに標準設定だといっていくことは難しいかも知れないが、可能だとは思う。6%という基準は大多数の自治体のニーズを前提に設定されたもので、このように多くの自治体がそれで良いというところで法令の基準をつくるので、アンケートをみても、とりあえずそれを超える必要性は感じないという意見が多いが、それを超えるニーズが全くないかというとその立証はできないので、そのような意味では標準設定論は常に生き残りうると思う。

○そのような基準を一律に定める合理性は元々無く、裁量基準であるので、6%でも7%でも8%でも、その周辺であれば問題はないのではないか。標準法という議論以前の問題ではないか。

○土地利用計画・規制に係る権限を市町村に一元化すべきという意見があるが、国の大きな権限を行使しなければならない場合もあるので、自治体に権限を全部ばらしてしまって良いかというとそうではないと思う。その辺りは、複眼的に、自治体としてもそのようなことを意識しながらやっていくことが必要になってくるのではないか。

○全体を通して考えてみると、委任条例と自主条例とをアプリオリに分けて考えるべきでなく、法令による条例制定権の制約、あるいはそれに関する法令の定めであると考えた上で、それ以外のものを付け加えられる余地があるという解釈論が成立するということだと思う。

(2)法令、条例、要綱の役割分担、関係のあり方について

ア 自主条例の実効性の確保手段等について

○いわゆる自主条例については実効性の確保について議論があるところであり、「中間まとめ」でも一定の整理をした。その後、宝塚市の条例の最高裁判決が出たが、これを踏まえてどのように実効性を確保すべきか。また、自主条例における罰則規定や行政代執行の問題だけでなく、建築確認に係る指定確認検査機関制度の導入に伴う問題や、自主条例を建築確認対象法令に位置付けるべきという意見についてどのように考えるか。

○行政代執行については、昭和26年の行政実例があり、代執行法2条でいう条例には地方自治法第14条1項、2項に規定している条例も含まれるということになっている。つまり、条例であれば代執行できるという解釈があるのではないか。全く自主的な条例に基づき、代執行を行った例もあるが、このような考え方ではいけないのか。

○行政代執行法2条でいう条例には自主条例も含まれており、実際にも実例がいろいろあることはご指摘のとおりであり、解釈論としては問題ない。ただし、この解釈には少し技巧的な理屈を使っているところがあるので、立法論としてはむしろ正面から自主条例も対象になると規定した方がよいのではないかということである。法律を非常に形式的に読むと、委任条例でなければ駄目ではないかという見解が出てくるが、これは通説が乗り越えているところだと思う。(資料1−1・P18参照)

○自治体の実例があり、サポートする学説はあるが、立法者はまったく異なる見解を持っているので、通説が乗り越えたとは言えないのではないか。技巧的とはどのようなことか。

○行政代執行法2条に「法律の委任に基づく命令、条例及び規則」とあるが、これを形式的に読むと、分権改革前のいわゆる「委任条例」でなければ代執行はできないということになる。ただし、通説は、自主条例も地方自治法14条に基づくものであり、代執行法2条にいう「法律の委任に基づく条例」に含まれるので可能といっている。しかし、自主条例は地方自治法14条に基づかなくとも制定でき、分権改革以前の「委任条例」とは異なるので、少し技巧的すぎるのではないかということだ。

○確かに技巧的な部分はあると思うので、はっきり書いてあれば自信を持ってできるということだと思う。

○行政代執行法2条の「委任に基づく」という部分を分権一括法のときにあわせて変えるべきではなかったか。

○行政代執行法は所管官庁がなく、あえて言うならば国家賠償法とともに内閣法制局ということになると思うが、従って改正はたいへん難しいのではないかと思う。

○行政代執行が自主条例でもできるということだが、実際にそれほど多くやられていないとすれば、それはコストがかかるために使いにくくなっているということがあるのではないか。そうであるならば、それをサポートする仕組み、コストを下げる方策を考えることが必要ではないか。自治体ではどのような体制、コストを引き受ける人為的、金銭的仕組みを用意しているのか。

○特にそのような仕組みはない。規制法を所管している部署で、業者委託なども行いながら対応している。
確かに代執行の一番のネックはコストであり、それが回収できないことが多いので、そのことによって実施を躊躇することが多い。先ほど紹介した例は、かなり特殊なもので、水源地域の水が危ないということでどうしてもやらなければならないという強い要請があったために実施したが、そのコストを回収するためにかなり努力が必要なようだ。

○建築規制などの場合に、代執行をやるとしたら建物を壊すということになると思うが、実際に建ててしまったものを壊すのは相当大変だろう。そうすると許可を得なくとも、建ててしまえば良いということになってしまうので、代執行をやりやすくする仕組みが必要ではないか。

○そこについては、これまでは行政指導なり他の法令とのリンクで抑えていたが、だんだん手が縛られてきていて、特に宝塚市の条例に係る最高裁判決で、さらにぎゅっと縛られてしまったので、どう考えるかが課題になっている。
神戸大の阿部教授が指摘されているが、兵庫県三木市の条例の場合には、条例上の文言の書き方が建築中の場合でなければ代執行できないというようなことになっており、建ってしまったら規制の対象にならないようなかたちになっていたので、そうではないような書き方をすべきという注意点もある。

○岡山市で行政代執行を行ったときに、大きな違法建築物を壊すのがどれだけ大変だったかについての詳細な記録があるので参考になると思う。(岡山市行政代執行研究会編『行政代執行の実務』(2002年))

○「指定確認検査機関との協力・連携を確立し」(資料1・P13)という部分については、少しきれいごとすぎるのではないか。デベロッパーが主体になって早く建築確認を出してもらおうとしている指定確認検査機関と連携・協力するというのは、片思いになってしまうのではないかと思う。
自主条例を建築確認対象法令にしていくということ(資料1・P13)は、立法論として指摘することになるかと思うが、法令に規定のある条例の解釈が緩やかになれば、建築確認対象法令に含まれるということも少しは幅があり得るのではないか。

○資料1では、指定確認検査機関と事業者とが別という前提のもとに書かれているが、同じ場合がある。事業者が指定確認検査機関となる動きが出てきているし、すでになっているところがあるので、その辺も踏まえて書くことが必要である。

○民間機関が顧客に対して厳しいことを言うということは構造上あり得ないことであり、これは、建築確認を事実上なくしたと見るべきではないか。業者は、早く、安く、確認をおろしてくれる機関に頼むという仕組みであり、なかなか確認をおろさないような機関には頼まないだろう。あとは特定行政庁がきちんとやるかどうかということではないか。

○そもそもこの制度をつくるときに、自治体側が問題を認識し、指摘するルートが十分なかったということが問題だ。

○指定確認検査機関が法令をまもらなければ国土交通大臣等が監督できるので、自主条例を建築確認対象法令に位置付けることが必要になってくるのではないか。

○土地利用調整条例に係る紛争については、ほとんどの場合が適法な建物をめぐる紛争である。違法な建物に対する紛争に対しては解決手法がいろいろあり、法令を適用して解決できるが、適法な建物に関して、どのように条例化して、適正なまちづくりを推進していくか、という位置付けである。

○現行法令で適法な建物を条例をつくることによって、条例違反にするということを建築確認に入れ込めれば非常に強くなるが、何でもかんでも入れ込めるわけではないだろう。どの辺までだったら建築確認対象法令に入れ込めるのかの解釈が課題であろう。

○今後の法律や条例の作り方として、行政指導や命令をかけても相手が言うことをきかないということを前提として作っていかなければならない時代になってきている。実際に発動するかしないかは別として、仕組みとしては、実効性確保まで入れた、やれることは全部入れて完結したものとして作ることが必要である。その上で、次に執行体制をどのようにするか、ということが実務的な問題としてあると思う。
自主条例を建築確認対象法令に位置付けるという点については、全体として行政の役割は何かということを考えた上で、まちづくりの分野がそこまで行う必要があるものかどうかを踏まえて考えることが必要である。成田頼明先生が指摘されているように、行政の中でも優先順位というものがあり、安全とか災害とか生存に関わる分野で、まずきちんとした仕組みを作ることが大切で、こうした仕組みは普遍的にすべての行政分野に当てはまることなので、分野ごとにきちんとした仕組みを作っていくことが必要ではないか。

○安全に関しては警察という執行部隊があるが、ほかの分野では執行体制がないので、どのようにやったらやりやすくなるかを考えないといけないのではないか。

イ 都市計画マスタープランと条例について

○都市計画マスタープランを条例で位置付けている例が出てきているが、一方で、内容的には必ずしも条例にリンクできるものでもないのではないかという意見もある。さらには市町村マスタープランと都道府県マスタープランとの関係の中で、整合性の確保や調整が課題だという意見や、既に市町村から案を出してもらうかたちで実施しているという意見もあったが、この辺をどのように考えたらよいか。

○「大和市みんなの街づくり条例」(神奈川県大和市、平成10年3月)は、市のまちづくり全体についての基本方針として市の都市計画マスタープランがあるのだから、これに基づき街づくりを推進していくというかたちで作られている。そして、市のマスタープランにそって街づくりを行うにあたって、事業者に協議を求めたり、指導や勧告ができるような仕組みになっている。全体としては、まちづくり協定などを作っていくときに、市のマスタープランをもとに、みんなで話し合っていきましょうということで手続きを定めている条例である。

○市町村マスタープラン自体は将来的なあるべき論を書いたものだが、現在、検討中の土地利用調整条例は課題解決型で作ろうとしているので、市町村マスタープランとはマッチしないのではないかと考えている。

○個別的、現実的課題との関係では少し遠いということか。

○イギリスの制度のようにマスタープランに基づいて、包括的な開発許可権がある場合、つまり裁量権が大きい場合には、マスタープランに照らしてどうかということが直結すると思う。日本のように、市町村総合計画があってそれに基づく実現手段として行政指導要綱等を位置付けるという場合には、要綱に非常に柔軟性があるので、方針をあらかじめ決めておかなければならないから、マスタープランの活用ということは考えられるだろう。しかし、法令の場合はどちらかというと○×方式であって、基準に適合するかしないかだけの判断になるので、マスタープランの活用の必要性は考えにくいのではないか。ただし、○×の基準をつくるときに、なぜそれが○なのか、×なのかという根拠として何らかの方針が必要になるので、マスタープランをもとに個別法令の○×の基準を正当化できるということはあると思う。
大きな方針に微妙なところがある場合には、マスタープランと称する市民の総意なるものをつくっておいたほうが行政指導上役に立つだろうし、あるいは裁量的な処分があり得るとしたら、裁量的処分の計画適合性基準ということで位置付けることはあると思う。いずれにしても、マスタープランの使い方はいろいろあって良いと思うし、それぞれの自治体がそれぞれ工夫することではないか。

○一つの市町村区域が一つの都市計画区域となっている場合に、都市計画区域マスタープランと市町村マスタープランの両方があるということに違和感があるという話を聞くが、なぜ、そうなのかよくわからない。同じ区域でも都道府県の視点での整備、開発及び保全の方針、もっと言えば線引きの考え方と、市町村が期待する線引きのあり方とは異なると思うので、異なるマスタープランを定めるというのはむしろ健全なことではないのか。

○区域が同じであれば、ハードの権限も含めて市町村にいっても良いのではないかということが背景にあるのではないか。

○整備、開発及び保全の方針については、都道府県の都市計画区域マスタープランがあって、市町村マスタープランがあるという構造に意味があるのではないか。たとえば県全体を見て、県の東部が少し過密になってきているので、西部の方に開発を誘導しようと考えた場合に、県の都市計画区域マスタープランに位置付けて、それによって線引き調整を行って、県全体としてのかたちをつくっていくというような役割はあると思う。

(3)市町村条例と都道府県条例の関係、調整のあり方等について

○市町村条例と都道府県条例の関係については、「中間まとめ」(平成13年11月)で一定の整理を行っている。市町村間調整の問題については、資料1で市境での墓地建設に際して問題となった事例が紹介されているが、このような場合、都道府県の役割に期待するという考え方もあるだろうが、どのように考えたらよいか。実務的には市町村間で同じ内容の条例を歩調を合わせてつくれれば良いが、現状では、一方に厳しい内容の条例があって、隣接する市町村にはない場合に、どのように整合をとるか。

○都道府県の役割・権限として第三者機関のようなものが置かれるというのなら別であるが、基本的には、資料1にあるように「市町村同士の自主的な連携と調整を主体とすべき」(P22)であると思う。都道府県の役割として橋渡し役などは考えられるかと思うが、権限をもって調整するということにはならないのではないか。

○全体に関する規制、都市計画権限を持っていないと根拠もないということだと思う。ただコーディネータ役として出てくる可能性はあるということか。

○自治体同士がそれぞれ尊重してお互いに侵さないということがあるが、だから条例化が必要なのかなと思っている。条例化には伝播的作用がある。たとえばある自治体がパチンコ店規制条例をつくったとしたら、うちの自治体でも作らないといけないということになって、どんどん伝播していく。条例については、各自治体ともお互いに気にしているので、そのような調整機能はあると思うが、そのようなことを積極的に踏み込んで言っていくかどうかは考えないといけない。

2 幼保一元に係る条例について

   (事務局説明)



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