第13回地方分権時代の条例研究会の概要



1 各テーマの主な論点等について

(1)都市計画(土地利用規制)について

○ 開発許可に関しては、法令・条例そのもの、開発許可権限があるかどうかの問題とともに、その執行過程、開発審査会の運用、すなわち具体的な開発許可がどのようになされているかということも重要ではないか。開発許可の例外許可の制度の運用がかなり積み重なってきていて、それが今回の都市計画法の改正の要因の一つになったとも言われている。つまり執行の状態が、逆に法令・条例の内容に跳ね返ってくるプロセスもあるのではないか。そこで、例外許可制度の運用を中心に、法改正によって法令・条例の執行状態がどのように変わったか執行過程を踏まえた上でどのような制度を作ったらうまく動くのかも論点としておさえておくべき。

○ 開発許可、土地利用規制については要綱に基づいて行っているところも多い。要綱をすべて条例化しようという取組を行っている自治体もあるが、現実にはまだ要綱で取り組んでいるケースもあるので、この点もある程度整理すべき。

○ 要綱の条例化については、「『地方分権時代の条例に関する調査研究』の中間まとめ」で一般的なガイドラインを整理したが、依然として要綱でやっているところがあるとすれば、それがどの程度あるのか、その問題点は何か、委任条例を使える場合との整合性の問題などについて議論すべき。

○ 要綱によって、開発事業者から負担金を取るケースが全国的に多かったが、それが法改正後にどうなったか、また課税自主権との関係の中で、それをシフトすることができるのかどうかということも議論しておくべき。

○ 委任条例でどこまでの展開が可能なのか、また「上乗せ、横出し」の場合の法令上の処分についての関係などについて一定の方向を提起できたら良い。そして委任条例で限界があるとすれば、自主条例による規制の必要性、可能性へとつなげていったらどうか。

○ 都市計画マスタープラン(市町村・都道府県)がどのように条例に反映され、関わってくるのかということも論点として入れておくべき。この概念が示されれば地方自治体が条例を作る際に誤った方向に行かないようにできるのではないか。

○ 都市計画区域マスタープランは考え方の根拠・基礎にはあると思うが、都市マスがあって用途地域がくるといった規制の仕組みは、ある程度、法令にのって運用できるものではないか。むしろ、市町村において「まちづくり推進条例」などの制定の動きが活発なのは、都市計画区域マスタープラン、都市計画法上の用途地域、及びそれに伴うき束的規制に飽き足らないところから発想が出ている面もあろう。

○ 自主条例について議論する際に、具体的な規制条例だけでなく、都市計画マスタープランの条例化とか、都市計画マスタープランで足りない部分が個別で出てくるとするなら、どうしてそうなるのかということも論点になると思う。

(2)幼保一元化

○ 公設公営型と公設民営型では論点が多少異なってくると思うので、公設民営型についても論点として加えたらどうか。

○ 幼保一元化は明確な論点であるが、子どもをめぐる施策・条例はほかにもいろいろある。たとえば公設民営型の保育園等、民間保育所、私立幼稚園、無認可保育所など施設だけでもいろいろな形態があり、それが地方自治法上の公の施設との関係からどのように整理されるのかなど、子どもをめぐる施策・条例の全体についても目配りが必要ではないか。

○ 幼保一元化を含め子どもをめぐる施策の議論の際には、必ず福祉行政と教育行政の問題が絡んでくる。両者の谷間のような議論になる。

○ 施策の行政対象を区切る場合に、年代別区切りというのが出てきていて、高齢者とか子どもなどといったカテゴリーが出てきている。これは今までの行政ではなかなか扱いにくかったものだ。

○ 青少年の問題についても議論が必要ではないか。たとえば暴走族関係の条例の制定に係る議論をしていると、学校行政と警察行政の間にある大きな溝にはまって、議論が進まなくなってしまう。規制になかなか踏み込めずに、結局、地域の治安を守るとか、子どもが成長するために良好な環境を作っていくという地方自治体の事務的なところでやらざるを得なくなってしまう。

○ 子どもに係る治安ないし保護の事務は、おそらく条例に基づいて処理すべきことと思うが、今回の論点からは外れるのではないか。

○ 教育と福祉の経緯を整理することになっているが、年代別の行政課題ということで、別の切り方があるのではないかということが提言できれば良いと思うし、治安の問題も含めて、市長部局と教育委員会の関係を一般化して触れられれば良いと思う。

○ どこまで論点を広げるかということがあるが、たとえば無認可保育所での幼児虐待などに対して、地方自治体としてどのような手段がとれるかという問題まで議論できれば、都道府県としても参考になると思う。ただ、「幼保一元化」について明確な考え方を示せば、いろいろなところに汎用性があるのと思うので、何のためにという目的の点で子ども施策全体に目配りをするにしても、論点としては「幼保一元化」で整理する方が分かりやすいのではないか。

○ 構造改革特区で教育委員会制度をなくすことができないか申請している市があると聞いているが、教育委員会制度をどうするか、市長部局と教育委員会との守備範囲をどうするかといったことに(市町村の)関心が高いのではないか。

○ 武蔵野市では、「0123(吉祥寺)」という、三歳までの乳幼児とその保護者を対象とした施設を平成4年度に作ったが、ここは子どもの教育、福祉の場であるとともに、保護者のコミュニティ、子育て相談、情報交換の場という2つの側面を持っている。また市長部局で取り組んでいる。幼保一元化というより完全一体化であり、幼稚園、保育園とはまったく別の概念で取り組んでいる。こうした幼稚園と保育園をまったく区別しないで取り組んでいるケースもおさえておくべき。

2 課税自主権(法定外税等)に係る条例について

(1)資料2「課税自主権(法定外税等)に関する主な論点」の項目について

○ 地方自治法の第74条の条例の制定の直接請求から地方税の賦課徴収並びに分担金などが除かれているが、この点も論点に入れるべき。

○ 法定外税といった場合、税率の決定権、超過課税との関係についてどう考えるのか。議論の方向性としては、その選択や理屈の整理もやってもらいたい。

○ 課税自主権の議論は、法定外目的税に矮小化して議論が蓄積されていることが問題で、むしろ議論されにくい超過課税や税率決定権について議論すべきではないか。議論になりにくい構造、争点化することを阻んでいる要因を探ることは政治学的な必要があると思う。そうでないと、本質ではないテクニカルな部分での議論になってしまう。

○ 地方税というのは、原則として応益だが、どういう応益性があるのかという議論展開がなされてこないと、法定外税だけで矮小化されてしまう。

○ 課税自主権については、超過課税の問題についても議論はあるが、地方分権の関係でこれから大きな課題になるものと、条例制定権の関係で議論になる部分ということで、どちらかというと法定外税を主に論点整理している。

○ 法定外税を検討していくとその限界として、横浜市場外馬券税で国地方係争処理委員会が指摘している問題や応益性の問題、負担金との仕分けという問題が出てくる。また、課税自主権を政治的に行使できないのは何故かという点については、項目1のところに入れられる。

○ 超過課税の問題になると、標準的行政サービスについては標準税率、法定税で対応するという議論があり、条例の議論より財政問題になる。

○ 法定外税で税収をあげることはまず無理で、何らかの基本的な考え方があって、例えば政策に関する条例があって、それに伴って税を作るというような議論をした方が実践的である。

○ 法定外目的税について、市でも検討したが、限界を感じている。現実問題として、現行の税制における税率の検討をしたほうがいいのではないか。テクニック的なものでは実行できない。

○ 条例制定という点に特化すれば政策目的の法定外税について明確にするという方向もあるし、財源一般の問題ということであれば少し広げた形でということもある。後者の問題については国なり地方分権改革推進会議の議論との関係があるので、提言をするならば、個別の条例制定につながるものがよいのではないか。ただ、具体的に前者で議論していても限界があるということであれば、また大枠の方で議論していく。

○ 課税客体の分類をしてみたらどうか。例えば多治見市では、公共団体に課税している。公共団体が課税客体になるかという論点が一つある。

○ 手堅くまとめるならばいいが、あまり細かい議論をするのはどうか。今、司法改革が進んで裁判所の動き方が大きく変わりつつあるということを感じる。裁判所は動かないという前提で法律ができていると思う。もともと法律解釈は、最終的には個人の価値判断で解釈が変わってくるので、裁判所がダイナミックな判決を書くようになると、こういうつもりで法律を作ったと言っても、そうはならないという雰囲気を感じているので、発想をもう少し柔軟にすることを意識してもらいたい。今までだったら権威のある立法者の意見がそのままとおり、それを前提に条例にしていけば、リスクも少なかったけれども、今後は、第2,第3の選択肢を持つことを意識して、矮小化した議論ばかりしないで欲しい。

○ 総務省が、同意はするが意見を言うということをどう捉えたらいいのか。やるべきでないというのであるなら、法律にしたがって同意しなければいいし、同意するならば意見をいう必要はない。

(2)「1 課税自主権の根拠と範囲」について

○ 課税自主権、法定外税を議論するには押さえておくべきところある。

○ あまり憲法論をやってもしようがないという気がする。

○ 歴史的に多少流れが変わってきているということ。

○ (課税権は国にあるという)中里先生の説をどう捉えるか。非常に国家主義的な考え方である。それはそれで面白いが、それに対して自治体の方たちは反発している。そういう国家観、言うなれば伝来的なものであるが、それに対抗する必要があるかどうか。

○ その論でも基本的に認めないといいながら認めるという結論がある。

○ 枠法だということを理論的に根拠化するのか、それとも一般の条例制定権と法律の関係として、自主課税権は憲法上は認められている。それを制約する法律、その制約の程度が合理的なものなのかどうかとしたほうが現状認識としてはより建設的ではないかと思う。大牟田市の下級審判決などでは、その上で制約が厳しすぎて違憲な場合はどうかということについてはほとんど考えられないが、そういうことだけではあまり面白くない。もう少し法律による制約をさらに制約する基準を考えたりして、その時にそもそも課税権は留保されているということについて、中里先生の考え方を取るのか、憲法上、地方自治の章があるのでそれを活かすようにするのか。なにぶん枠法論とか準拠法論とかはそんなに具体的な帰結まで至っているものはないので、なかなか難しく、あまり政策的なところまでつながらないので、これはまた、具体的に法定外目的税とか場合によっては課税標準などの関係を考えた後で戻ってきた方が、具体的な議論をしてから戻ってきた方が建設的ではないかと思う。

(3)「2 課税自主権の外延」について

ア 法定外目的税創設の意義

○ 政策ツールとして、例えば生活環境も含めて広い範囲で真面目に考えれば考えるほど超過課税に近づいてしまう。また、税という手段に訴えるだけの説得性に苦労する。

○ 今までは「料」(手数料・保険料など)で対応していたものが、ここへ来て「税」の概念が出てきた。「料」と「税」の違いは何か。

○ 政治学的にいうと、負担があるところに集中して受益が拡散するというタイプの政策について、特定の負担者に突出して課すのが民主主義ではやりやすいのではないかと言われるが、負担を負う勢力が圧力団体として活発に活動するので、制定も難しいし、執行もゆがむという一般的傾向があるといわれている。横浜の馬券税や東京の銀行税など特定のものをやるとむしろ成功しない。もう少し拡散して負担者が組織化できない程度に集中しておくというのが政治的には、一番成り立ちやすい。古都保存税・空き缶のデポジット税など失敗している。これは、阿部(昌樹)先生の研究もある。一見すると特定の団体を狙い撃ちすることは制定しやすそうに見えて、実はそうではないということは言えそうである。遊漁税のように釣り団体がもう少し関係すれば失敗するのだが、個別に来た人から取ると団結して抵抗できないから成功したのかもしれない。多治見市の場合は失敗しやすそうであるという予測が成り立つ。狙い撃ちの議論は、法的に議論するほど簡単ではないのかなと思う。むしろ狙い撃ちされた、しかし組織化されていないところが一番狙われやすい、法的に手当すべきものなと思う。神奈川県の臨時企業特例税は、難しそうな税だが、かなり負担者を広げた点が成功につながったのではないかと思う。

○ 多治見市の場合は、きちんとした目的があり、市内の処分場を長く使うためにごみをいかに減らすかということが基本的な狙いであった。新たな処分場を作るのは政治的に大変なので、なるべく長く持たせよう、それには税金を取って、持ち込みを減らそうとしたものである。

○ 名古屋市自体がごみの排出抑制に政策的に踏み切っているのであれば、名古屋市は負担者ではなく、共同の遂行主体ということになる。

○ 創設の意義については、政策論や現実的な議論として、成功する条件などを話した方が後の議論につなげやすい。

○ 資料2−5の5ページの「特定の限定された者に対する課税の正当化」では、法定外目的税に限定されないことではないか。「特別な合理的な根拠が示されなくてはならない」のはなぜか。

○ 神奈川県の臨時特例企業税は、外形標準課税をやってもらいたいということが先にあって、それができないので緊急の措置としてやっている。本来この仕組みで考えるべきではなかったのかもしれないというところを、法律の仕組みの隙間を自治体として一生懸命考えて隙間を埋めている。

○ 知恵を絞って解決する1つの手段として使っている。本来的にいえばもっと根元的な解決というものがありうるだろう。それは法定外目的税で各自治体がやろうとしていること全体にそういう要素があると思う。

○ 研究会もやっているが、税でやることについてはいろいろ問題点があり消極的である。いろいろな都市の新税を見ているとうまくいかない部分が見えてくる。例えば太宰府市では駐車場税を導入したが、駐車場業者からの大反対を受け、結果的に施行はしているのですけれども、駐車場業者の協力が受けられなくて、けんかしている状態である。なぜ税でやらなくてはいけないのかというところがあり、使用料・手数料ではやれないのかということもある。

○ 手間暇をかけた割には税収が上がらないというのが本音だと思う。新しい税を打ち出そうとしたときにパブリックコメントをかけたときに全部反対が来てしまうという予想がある。課税客体が市域外でも、税に対する住民の認識を考えると、条例で新しい税をというのはかなりハードルが高いように思う。

○ 論点として、手数料・負担金・分担金などの使い分けについて整理できれば成果になるのではないか。これをもう少し整理して次回、本格的に議論したい。

イ 法定外税の現在の総務大臣の同意について

○ 法定外税の総務大臣同意についてどう捉えるかということについても整理して議論したい。現実の係争としては横浜市の場外馬券税があり、係争処理委員会のルートに乗るということについては、意見は一致していると思うが、その後、国の不同意について裁判で争うことができるかどうか、課税された側がどう争うかということについては意見が分かれている。効力要件ではないという議論があるが、手続要件という説は、不同意について自治体は争わなくても良く、そのまま課税できるということか。

○ 争えることが大事である。この意見は、公定解釈が出る前の初期段階のものであるが、言いたいことは、同意つき協議に対する立法者への批判である。同意を公権力の行使とすることが、文理に反している。地方自治法上は同意と協議を別のものとしているが、それを組み合わせて同意つき協議というものがおかしい。国地方係争処理委員会の対応は、役割を果たしていないという印象を受ける。延々と協議をすることはあり得ず、最低限どっちかにしてもらわなければいけない。

○ 横浜市側から裁判で争うことはできるのではないか。

○ 自治法251条の5の1号で「勧告に不服があるとき」はできることになっているので、裁判はできる。確かに、用語の問題はおかしいと思う。一方的な許可でないという趣旨から、「同意」にしたが、公権力の行使だというのは矛盾していると思う。結果として、不同意について自治体が裁判所で争えればいいということであれば、不同意に対する係争処理委員会の勧告に不服があれば、裁判所で争えるということのほうがクリアになる。

○ 勧告に基づいて、総務大臣の側は不同意を取り消し、もう一度協議するとしたが、横浜市はもう一度協議しろと言われた委員会の勧告自体に不服があるというときに裁判で何を争うのか。

○ そのような勧告自体があり得るのか。最終的に解決しないなら、紛争処理にならない。

○ 自治法の関与の類型は、助言・勧告から始まって是正の要求、同意、許可・認可・承認、指示、代執行とくるが、法的な効果というより、非常に感覚の問題である。ニュアンスの話で、なんとなく同意より、許可・認可の方がきつい感じがするという以上のものではない。

○ 課税自主権の外延の中で、「法定外税目的税の創設の意義」について一般的な議論をして、「同意を要する協議」の問題について触れた。まとめると、法定外税に特化していく意義と限界について指摘があり、法定外税を個別政策目的で活用する場合、税でなくてはならないのかという点についても指摘があったので、次回は、法定外税の残された論点、特に負担金・分担金との使い分けや、法定外税に限らない問題という意味で、特定の限定された者に対する課税などについては次回やっていきたいと思う。



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