検討事例

○ 「次第」の1(土地利用調整系まちづくり条例について)関係

1 条例の手続規定への違反と法令による許認可

  法令に基づく許認可(開発許可及び建築確認)に関し、条例で、許認可申請に係る事前手続を義務付けるとともに、許認可申請書に事前手続の実施状況に関する書類の添付すべきことを規定した場合(別紙「墓地埋葬法による許可についての規定例」参照)に、その書類の添付がないことや事前手続が十分履行されていないことを理由に、当該許認可申請を不許可とすることができるか。

@ 都市計画法(建築基準法)は、開発許可(建築確認)の手続に関するこの種の規定を条例に定めることを禁じていないと考えてよいか。
A 設問のような場合に、開発許可(建築確認)申請を不許可とすること(確認を行わないこと)ができるか。
B 事前手続と法令に基づく許認可との連携を図る有効な方策は、ほかにないか。


関係法律の規定

都市計画法(平成12年5月19日法律第73号による改正後の規定)

 (開発行為の許可)
第29条 都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(…指定都市、…中核市又は…特例市…の区域内にあっては、当該指定都市等の長…)の許可を受けなければならない。ただし、次の掲げる開発行為については、この限りではない。
   一〜十一 略

 (許可申請の手続)
第30条 …開発許可…を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
   一〜五 略
2 前項の申請書には、第32条第1項に規定する同意を得たことを証する書面、同条第2項に規定する協議の経過を示す書面その他国土交通省令で定める図書を添付しなければならない。

 (公共施設管理者の同意等)
第32条 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。
2 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者と協議しなければならない。
3 …公共施設の管理者又は公共施設を管理することとなる者は、公共施設の適切な管理を確保する観点から、前2項の協議を行う。

 (開発許可の基準)
第33条 都道府県知事は、…申請に係る開発行為が、次に掲げる基準(第4項の条例が定められているときは、当該条例で定める制限を含む。)に適合しており、かつ、その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、開発許可をしなければならない。
   一〜十四 略
2 前項各号に規定する基準を適用するについて必要な技術的細目は、政令で定める。
3 地方公共団体は、その地方の自然的条件の特殊性又は公共施設の整備、建築物の建築その他の土地利用の現状及び将来の見通しを勘案し、前項の政令で定める技術的細目のみにっては環境の保全、災害の防止及び利便の増進を図ることが困難であると認められ、又は当該技術的細目によらなくとも環境の保全、災害の防止及び利便の増進上支障がないと認められる場合においては、政令で定める基準に従い、条例で、当該技術的細目において定められた制限を強化し、又は緩和することができる。
4 地方公共団体は、良好な住居等の環境の形成又は保持のため必要と認める場合においては、政令で定める基準に従い、条例で、区域、目的又は予定される建築物の用途を限り、開発区域内において予定される建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を定めることができる。

建築基準法

 (建築物の建築等に関する申請及び確認)
第6条 建築主は、…建築物を建築しようとする場合…においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定…その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。…)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。

(別紙)         墓地埋葬法による許可についての規定例


墓地、埋葬等に関する法律

[法律の目的]
第1条 この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。

[墓地・納骨堂又は火葬場の経営等の許可]
第10条 墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事(※指定都市・中核市においては、当該指定都市・中核市の長)の許可を受けなければならない。
2 前項の規定により受けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更し、又は墓地、納骨堂若しくは火葬場を廃止しようとする者も、同様とする。
(注)第10条の許可の基準に関する規定は、同法になし。

○ 「次第」の2(1)(商業施設等の設置・運営に関して周辺地域の環境への配慮を求めることを目的とする条例について)関係

2−ア 協定について

 商業施設の出店・営業に伴う生活環境維持の分野で私人(住民)−事業者間の利害調整を図る条例について、協定手法の活用の可能性はどのように考えられるか。また、これを条例に定める場合の課題は何か。
@ 協定手法は、この分野になじむと考えるべきか、あるいはその選択には慎重であるべきか。
A 私人(住民)−事業者間の協定を条例に規定する場合には、行政の関与をどう考えたらよいか。

協定についての規定例

1.商業施設等の設置・運営に関して周辺地域への配慮を求めることを目的とする条例における規定例

杉並区特定商業施設の出店及び営業に伴う住宅地に係る環境の調整に関する条例

 (目的)
第1条 この条例は、特定商業施設の出店及び営業に伴う住宅地に係る環境の調整に関し、必要な事項を定めることにより、住宅地としての良好な生活環境を維持し、もって住宅都市としての特性を生かした暮らしやすいまちづくりに寄与することを目的とする。

 (区長の責務)
第3条 区長は、特定商業施設の出店及び営業に関して、住宅地としての良好な生活環境の維持のため、近隣関係住民からの調整の申出があったときは、これに努めなければならない。

 (事業主の責務)
第4条 事業主は、特定商業施設の出店及び営業に当たっては、地域のまちづくりとの調和を図り、住宅地としての生活環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないように努めなければならない。

 (出店計画の届出)
第5条 出店者(規則で定める者を除く。以下同じ)、出店を予定する日(以下「出店予定日」という。)の8月前までに出店及び営業に関する計画を市長に届け出なければならない
2 略
3 区長は、前2項の規定による届出があったときは、届出年月日及び縦覧場所を公告するとともに、当該届出を公告の日から2月間縦覧に供するものとする。

 (説明会の開催)
第6条 出店者は、前条第1項又は第2項の規定による届出をした日から2月以内に、近隣関係住民に対して当該届出(変更に係る届出の場合は、規則で定める事項の変更に限る。)に関する説明会を開催し、届出の内容について周知するとともに、当該出店又は変更について十分に理解を得られるように努めなければならない
2 出店者は、前項の規定により行った説明会の終了後、直ちに説明会の内容を記録した規則で定める報告書を作成し、区長に報告しなければならない。

 (協議)
第11条 特定商業施設の出店及び営業に関し、生活環境について意見を有する近隣関係住民は、区長に対し書面により意見を述べることができる。
2 区長は、特定商業施設の出店及び営業に関し、必要があるときは、事業主及び関係行政機関から環境等についての意見を求め、又は事業主に対して関係資料の提出を求めることができる。
3 区長は、前2項の意見及び資料を縦覧に供するとともに、当該意見又は資料に基づき、特定商業施設の出店及び営業が住宅地としての生活環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、審議会に諮問し、その意見を求めるものとする。
4 区長は、前項の審議会の意見を聴いて、特定商業施設の出店及び営業に関し、改善の必要があると認めるときは、事業主と協議するものとする。

 (協定の締結)
第12条 事業主は、特定商業施設の出店及び営業に関し、近隣関係住民から住宅地としての生活環境を保全するための協定の締結を求められたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない
2 区長は、前項の協定の締結に関し、双方又は一方から調整の申出があったときは、これを行うことができる。

 (勧告)
第13条 区長は、事業主が、第5条の届出を怠ったとき、第6条の説明会を正当な理由がないのに開催しないとき、第11条第4項の協議を図ってもなお改善をせず、若しくは協議を拒んだとき又は第12条第1項の協定の締結を正当な理由がないのに拒んだとき若しくは協定に違反したときは、当該事業主に対し、それぞれ必要な措置を行うよう勧告することができる
2 区長は、前項の規定による勧告を行う場合は、必要に応じ審議会の意見を聴くことができる。
3 区長は、事業主が第1項の規定による勧告に従わないときは、当該事業主が必要な措置を行うまでの間、特定商業施設の出店の延期又は営業の停止を求めることができ

 (公表)
第14条 区長は、前条第1項の規定により勧告し、又は同条第3項の規定により出店の延期若しくは営業の停止を求めた場合において、特に必要があるときは、その内容を 公表することができる

2.その他のまちづくり条例における規定例

(1)西宮市開発事業等におけるまちづくりに関する条例

 (開発事業における届出及び協議)
第12条 開発事業を行う事業主は、規則で定めるところにより、都市計画法第30条の規定による許可の申請、確認申請又は建築基準法第18条第2項に規定する計画の通知に先立って、事業概要及び事業計画(開発事業が中高層建築物の建築に該当するときは、建築計画を含む。次項において同じ。)を市長に届け出て、市長と協議しなければならない
2・3 略

 (協定)
第14条 市長と事業主は、第12条第1項又は第2項の規定による協議が整った場合は、その合意内容に基づく協定を締結するものとする
2 前項の協定は、確認申請その他関係法令に基づく許認可等の申請をする前に締結するよう努めなければならない。
3 第1項の規定により締結された協定は、当該協定の締結の日から起算して3年を経過する日までに、確認申請その他関係法令に基づく許認可等の申請をしないときは、その効力を失う。

 (協定に基づく地位の承継)
第15条 前条第1項の規定により協定を締結した事業主から当該開発事業の権原を取得した者は、市長の承認を受けて、当該事業主が有していた当該開発事業に基づく地位を承継することができる。

(2)金沢市における市民参画によるまちづくりの推進に関する条例

 (まちづくり計画の策定)
第10条 住民等は、自ら住み良いまちづくりを推進するため、当該地区における建築物の規模、土地利用等に係るまちづくりに関する計画(以下「まちづくり計画」という。)を策定することができる
2 まちづくり計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。
  (1) 〜 (4) 略
3 住民等は、まちづくり計画を策定するに当たっては、本市のまちづくりに関する計画と調和するよう努めなければならない。これを変更する場合も、同様とする。

 (まちづくり協定)
第11条 住民等は、前条の規定によりまちづくり計画を策定したときは、市長とまちづくりに関する協定(以下「まちづくり協定」という。)を締結することができる
2 市長は、まちづくり協定を締結しようとするときは、審議会の意見を聴くことができる。
3 まちづくり協定の内容は、本市がまちづくりに関して定めた基準等を緩和するものであってはならない。
4 市長は、まちづくり協定を締結したときは、その旨及びその内容を公告しなければならない。
5 略

 (まちづくり協定の遵守等)
第12条 事業者は、前条の規定により締結されたまちづくり協定に係る区域(以下「協定区域」という。)内において、開発事業を行おうとするときは、当該まちづくり協定の内容を十分に理解し、これを遵守しなければならない
2 事業者は、協定区域内において、開発事業を行おうとするときは、開発事業に着手する日の30日前までに、規則で定める事項を市長に届け出なければならない。ただし、当該開発事業が法第58条の2第1項各号に掲げる行為に該当する場合又は協定区域内に係る第14条第1項の規定による開発事業の実施に係る計画書の提出があった場合は、この限りでない。
3 事業者は、前項の規定により届け出た事項に変更があったときは、直ちにその旨を市長に届け出なければならない。
4 市長は、前2項の届出に係る開発事業の内容がまちづくり協定に適合しないと認めるときは、当該届出をした者と協議のうえ、必要な措置を講ずるための助言又は指導 を行うものとする
5 市長は、前項の規定により助言又は指導を行う場合は、必要に応じて、審議会又は協定区域内の住民等の意見を聴くことができる。

 (地区計画等への要請等)
第13条 協定区域内の住民等は、まちづくり協定の締結に係るまちづくり計画を地区計画等として都市計画に定めるよう市長に要請することができる。
2 市長は、前項の要請があった場合において、当該まちづくり計画が地区計画等に適合すると認めるときは、法第19条第1項の規定による都市計画の決定に係る手続を行うものとする。

2−イ 都道府県条例と市町村条例との関係

@ 都道府県条例と市区町村条例が同じ目的で同じ対象を規制する場合、それぞれの効力をどう考えるか。
A 各条例の制定において適当な調整方法があるか(出店者の二重負担の回避等)。


関係法律の規定

地方自治法

 (地方公共団体の法人格とその事務)
第2条 略
A 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
B 市町村は、基礎的な地方公共団体として、第5項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理するものとする。ただし、第5項に規定する事務のうち、その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものについては、当該市町村の規模及び能力に応じて、これを処理することができる。
C 略
D 都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第2項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。
E 都道府県及び市町村は、その事務を処理するに当たっては、相互に競合しないようにしなければならない。
F〜P 略

※ 地方分権一括法により削除された従前の第14条第3項・第4項の規定
B 都道府県は、市町村の行政事務に関し、法令に特別の定があるものを除く外、条例で必要な規定を設けることができる。
C 行政事務に関する市町村の条例が前項の規定による都道府県の条例に違反するときは、当該市町村の条例は、これを無効とする。


市町村条例との関係に関する規定例

神奈川県生活環境の保全等に関する条例

 (目的)
第1条 この条例は、神奈川県環境基本条例(平成8年神奈川県条例第12号)の本旨を達成するため、工場及び事業場の設置についての規制、事業活動及び日常生活における環境の保全のための措置その他環境保全上の支障を防止するために必要な事項を定めることにより、現在及び将来の県民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的とする。

 (定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 公害 神奈川県環境基本条例第2条第3号に規定する公害をいう。
(2)〜(8) 略

第6章 特定行為の制限等
 第5節 飲食店等における夜間騒音の制限

 (大型小売店における夜間小売業に係る届出)
第56条の2 小売業を営むための店舗の用に供される床面積(以下「店舗面積」という。)の合計が500平方メートルを超える一の店舗(以下「大型小売店」という。)において、夜間における小売業(以下「夜間小売業」という。)を営もうとする者は、当該夜間小売業を開始する日の30日前までに、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。ただし、大規模小売店舗立地法(平成10年法律第91号)第2条第2項に規定する大規模小売店舗において、夜間小売業を営もうとするときは、この限りでない。
(1)〜(7) 略
2〜4 略

 (大型小売店における夜間小売業に係る指導等)
第56条の3 知事は、前条第1項又は第2項の届出をした者に対し、夜間における騒音による公害の防止について、必要な指導及び助言を行うことができる。

 (夜間小売店に係る外部騒音の防止)
第56条の5 大型小売店において夜間小売業を営む者は、夜間におけるその大型小売店に係る外部騒音(当該大型小売店の営業が誘因となって発生する当該大型小売店の外部における人声、自動車の発着音、自動車の扉の開閉音等を言う。以下この条において同じ。)による公害が生ずることのないように努めなければならない。
2 知事は、大型小売店において夜間小売業を営む者が、夜間小売業を営んでいることにより、その大型小売店に係る外部騒音により公害が生じていると認めるときは、当該夜間小売業を営む者に対し、その営業時間の変更その他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
3 知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないで夜間営業を営んでいるときは、当該夜間小売業を営む者に対し、その営業時間の変更その他必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (市町村との関係)
第116条 この条例の規定は、市町村が地域の自然的社会的条件に応じて、環境保全上の支障を防止するため、この条例で定める事項以外の事項に関し、条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない
2 市町村が第2章、第3章又は第5章から第9章までに定める事項に関して環境保全上の支障を防止するために制定する条例の内容が、この条例の趣旨に即したものであり、かつ、この条例と同等以上の効果が期待できるものと知事が認めて公示したときは、当該市町村の区域には、適用しない

 (罰則)
第120条 …第56条の5第3項…の規定による命令に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。