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高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例 (平成13年3月27日高知県条例第4号)

目次
 前文
 第1章 総則(第1条―第10条)
 第2章 生態系及び景観の保全等
  第1節 重点地域(第11条―第16条)
  第2節 清流の保全(第17条―第20条)
  第3節 野生動植物の保全(第21条)
  第4節 適正な産業活動(第22条)
  第5節 きれいな空気の保全(第23条・第24条)
  第6節 生活文化財産の保全(第25条)
  第7節 環境配慮指針(第26条)
 第3章 流域の振興(第27条)
 第4章 調査、研究及び環境学習等(第28条・第29条)
 第5章 事業評価(第30条―第32条)
 第6章 高知県四万十川流域保全振興委員会(第33条―第37条)
 第7章 国及び他の地方公共団体との協力等(第38条・第39条)
 第8章 雑則(第40条―第47条)
附則

「日本最後の清流」といわれる四万十川は、今なお美しい流れを保ち、自然のままの姿を多くとどめている。また、その流域は、日本の原風景ともいえる風情を残しながら、流域の人々に多くの恵みを与えるとともに、地域固有の生活、文化及び歴史が四万十川と密接にかかわり、流域の人々の暮らしや心の中にしっかりと根付きながら脈々と伝えられている。これらは、いずれも高知県の貴重な資源である。
しかしながら、この流域でも、生活様式の変化や全国からの来訪者の増加等により、更には社会資本の整備を進めていくうえで、人の活動と自然との間で様々な課題が生じてきている。同時に流域の人々の暮らしの中ではぐくまれてきた地域固有の生活、文化及び歴史も流域を取り巻く環境の変化の中で、今後失われることが懸念される。
四万十川と流域の良好な環境の恵みを受けることは私たちに与えられた権利であり、同時に、それを守ることは私たちに課せられた義務である。私たちは、この認識のもとに、本来、自然が持つ機能を十分に生かしながら、生態系や景観を重視した四万十川の保全を図っていくべきであり、そのことによって、流域の人々の生活の豊かさの確保と流域を訪れる人々が感じる魅力の向上に努めなければならない。
私たちは、清流四万十川を県民・国民共有の財産として後世に引き継いでいくため、住民、県民、国民、流域市町村、愛媛県、国等のすべての関係者と手を携え、全力を挙げて、四万十川の保全と流域の振興を図り、人と自然が共生する循環型の地域社会を創ることを決意し、この条例を制定する。

   第1章 総則
(目的)

第1条 この条例は、四万十川の保全及び流域の振興について、基本理念を定め、並びに県、流域市町村、事業者、県民及び旅行者等の役割を明らかにするとともに、四万十川の保全及び流域の振興に関する方策を定め、流域において、多様な生態系及び景観の保全を基礎とした生活、文化及び歴史の豊かさの確保並びに持続的な発展を目指した振興を図り、もって四万十川を県民・国民共有の財産として、後世に引き継ぐことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例(次項を除く。)において「四万十川」とは、河川法(昭和39年法律第167号)第4条第1項の規定により指定された渡川水系のうちの高知県の区域内の河川、同法第100条第1項の規定により流域市町村の長が指定した準用河川その他規則で定めるものをいう。
2 この条例において「本川」とは、河川法第4条第1項の規定により指定された渡川水系のうちの四万十川及び規則で定めるものをいう。 
3 この条例において「主要支川」とは、四万十川のうち本川以外の河川で規則で定めるものをいう。
4 この条例において「流域市町村」とは、中村市、窪川町、檮原町、大野見村、東津野村、大正町、十和村及び西土佐村をいう。
5 この条例において「流域市町村」とは、中村市、窪川町、檮原町、大野見村、東津野村、大正町、十和村及び西土佐村をいう。 
6 この条例において「住民」とは、流域市町村の区域内に住所を有する者をいう。

(基本原則)

第3条 県、流域市町村、事業者及び県民並びに流域外から流域を訪れる者(県民を除く。以下「旅行者等」という。)は、流域内においては、次に掲げる事項に配慮しなければならない。
一 生態系及び景観の保全上の支障が予防されること。
二 すべての生き物の生態が相互につながり、生活、産業その他の人の活動も自然の循環の中で営まれていることが認識され、尊重されること。
三 人の活動が自然に負荷を与えていることを考慮し、人と自然の共生が図られること。
四 四万十川の保全及び流域の振興に関し、地域固有の特性を生かした取組が促進されること。
五  四万十川の保全及び流域の振興に関し、合理的な意思決定及び効果的な行動の促進を図るため、住民その他関係者に必要な情報が提供され、積極的な参加が促進されること。 

(将来像)

第4条 県、流域市町村、事業者、県民及び旅行者等は、次に掲げる四万十川又は流域の将来像が実現されるように努めなければならない。
一 四万十川の水量が豊かで、かつ、清流が保たれていること。
二 四万十川に天然の水生動植物が豊富に生息し、又は生育していること。
三 四万十川の河岸に天然林が連なり、良好な景観が維持されていること。
四 流域内において、人工林が適正に管理され、天然林とともに多様な森林が形成されていること。
五 季節ごとの優れた景観を有していること。
六 住民の安全かつ快適な生活が保たれていること。
七 四万十川がこどもの遊びの場として活用されていること。
八 四万十川を生かした産業が活性化し、持続的に発展していること。       
九 流域内又は流域外との地域間交流が活発に行われているとともに、その活動が、住民の生活又は流域の生態系に負荷を生じさせていないこと。
十 情報通信網が整備され、その活用が図られていること。

(県の役割)

第5条 県は、第3条各号に掲げる事項(以下「基本原則」という。)にのっとり、四万十川の保全及び流域の振興に関する基本的かつ総合的方策を策定し、並びにこれを実施するとともに、流域市町村が実施する四万十川の保全及び流域の振興に関する方策を支援し、並びに当該方策の総合調整を図るものとする。 

(流域市町村の役割)

第6条 流域市町村は、基本原則にのっとり、当該市町村の区域の特性に応じた四万十川の保全及び流域の振興に関する方策を策定するように努めるとともに、並びにこれを実施するように努めるものとする。 

(事業者の役割)

第7条 事業者は、基本原則にのっとり、流域内において行う事業活動に関し、四万十川の保全及び流域の振興に自ら努めるとともに、県又は流域市町村が実施する四万十川の保全及び流域の振興に関する方策に協力するものとする。 

(県民の役割)

第8条 県民は、基本原則にのっとり、四万十川の保全及び流域の振興に自ら努めるとともに、県又は流域市町村が実施する四万十川の保全及び流域の振興に関する方策に協力するものとする。 

(旅行者等の役割)

第9条 旅行者等は、基本原則にのっとり、流域内において、四万十川の保全に自ら努めるとともに、県又は流域市町村が実施する四万十川の保全及び流域の振興に関する方策に協力するものとする。 

(四万十川の日)

第10条 県は、四万十川の保全についての理解と認識が深まるとともに、四万十川の保全及び流域の振興に関する取組への参加意欲が高まるよう四万十川の日を設ける。 
2 四万十川の日は、7月25日とする。 
3 県は、流域市町村等と連携して、四万十川の保全活動、全国への情報発信その他の四万十川の日の趣旨にふさわしい事業を実施するものとする。 

   第二章 生態系及び景観の保全等
    第一節 重点地域
(重点地域)

第11条 知事は、流域内において、本川若しくは主要支川と一体的な生態系及び景観を形成し、又は原生的な自然を維持している地域について、当該地域の自然的社会的特性に応じて、生態系及び景観の保全上必要な方策を重点的に講ずることにより、四万十川の保全及び流域の振興を図るものとする。 
2 知事は、流域内において、本川又は主要支川の上流から下流まで並びに水域及び陸域の野生動植物の生息・生育環境の連続性を確保することにより生態系及び景観を保全することが特に重要である地区を清流・水辺・生き物回廊地区(以下「回廊地区」という。)として指定することができる。 
3 前項に掲げるもののほか、知事は、必要と認めるときは本川又は主要支川に直接流入する主要支川以外の河川及びその周辺の地区を回廊地区として指定することができる。 
4 知事は、流域内において、本川又は主要支川に影響を及ぼすおそれのある開発行為を防止し、一体的な生態系及び景観を保全するとともに、これらと調和した森林その他の資源の活用を促進することが重要である地区を景観保全・森林等資源活用地区(以下「保全・活用地区」という。)として指定することができる。 
5 知事は、流域内において、河川が優れた水質を維持しているとともに、野生動植物の多様性が確保され、かつ、特に良好な景観が維持され、人と自然が共生している地区を人と自然の共生モデル地区(以下「共生モデル地区」という。)として指定することができる。 
6 知事は、流域内において、優れた原生林又はこれに準ずる森林を形成している地区であって、保全する必要のあるものを原生林保全地区として指定することができる。
7 回廊地区、保全・活用地区、共生モデル地区及び原生林保全地区は、それぞれ重複しないものとする。

(指定等)

第12条 知事は、回廊地区、保全・活用地区、共生モデル地区及び原生林保全地区(以下「重点地域」という。)を指定しようとするときは、あらかじめ、国の地方支分部局(規則で定めるものに限る。)の長及び指定しようとしている地区が属する市町村の長(第9項において「国の地方支分部局長等」という。)の意見を聴くものとする。 
2 知事は、重点地域を指定しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から起算して1月間縦覧に供するものとする。 
3 知事は、前項の規定による公告を行うときは、あらかじめ、説明会の開催その他の指定の趣旨及び内容の周知に関し必要な措置を講ずるものとする。 
4 第2項の規定による公告があったときは、当該重点地域に係る住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して2週間を経過する日までの間に、縦覧に供された案について知事に意見書を提出することができる。 
5 知事は、重点地域の指定に関し、広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会の開催その他の措置を講ずるものとする。 
6 知事は、重点地域を指定しようとするときは、あらかじめ、高知県四万十川流域保全振興委員会の意見を聴くものとする。この場合において、第1項の意見があったとき、第4項の規定による意見書の提出があったとき、又は前項の規定による公聴会の開催その他の措置を行ったときは、その内容の要旨を同委員会に報告するものとする。
7 知事は、重点地域を指定するときは、その旨及びその区域を告示するものとする。
8 重点地域の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
9 知事は、重点地域を指定したときは、その旨を国の地方支分部局長等に通知するものとする。
10 前各項の規定は重点地域の拡張(回廊地区、保全・活用地区、共生モデル地区及び原生林保全地区のそれぞれの地区間において指定の変更を行う場合を含む。)について、第1項、第6項前段及び第7項から前項までの規定はその地域の縮小(回廊地区、保全・活用地区、共生モデル地区及び原生林保全地区のそれぞれの地区問において指定の変更を行う場合を除く。)及び解除について、それぞれ準用する。

(回廊地区内における行為の制限等)

第13条 回廊地区内においては、次に掲げる行為は、知事の許可を受けなければ、してはならない。
一 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
二 土地を開墾し、その他土地の形状を変更すること。
三 建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。以下同じ。)その他規則で定める工作物の新築、増築、改築、移転又は撤去(以下「建築等」という。)をすること。
四 天然林を伐採すること(保安林(森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項及び第25条の2第2項に規定するものをいう。以下同じ。)における施業上のものを除く。)
五 針葉樹(すぎ及びひのきに限る。)を植樹すること(保安林における施業上のものを除く。)。
六 看板、広告板その他これらに類する物で、規則で定めるものを設置すること。 
2 前項の規定による許可の基準は、次に掲げるとおりとする。
一 当該行為をする土地の現に有する災害の防止の機能からみて、当該行為により当該土地の周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがないこと。
二 当該行為をする土地の現に有する水害の防止の機能からみて、当該行為により当該機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがないこと。
三 当該行為をする土地の現に有する水源のかん養の機能からみて、当該行為により当該機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ばすおそれがないこと。
四 当該行為をする土地の現に有する生態系及び景観の保全の機能からみて、当該行為により当該土地及びその周辺の地域における生態系及び景観を著しく悪化させるおそれがないこと。
3 知事は、第1項の規定により許可をしようとするとき(規則で定める場合に限る。)は、あらかじめ、当該行為が行われようとする土地が属する市町村の長の意見を聴くものとする。 
4 第1項の許可には、住民の生活の安全性及び利便性を確保し、並びに生態系及び景観を保全するため、必要な限度において、条件を付することができる。 
5 第1項の規定は、市街地その他の規則で定める地域においては、適用しない。 
6 第1項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって規則で定めるもの
二 住民が行う自己の居住の用に供する住宅の建築等(附帯して行う土地の形状変更及び工作物の建築等で規則で定めるものを除く。)及び住民が農業、林業又は漁業を営むために行う行為で規則で定めるもの
三 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
四 学術研究、環境学習その他公益上の事由により知事が特に必要と認める行為
五 公有水面埋立法(大正10年法律第57号)、港湾法(昭和25年法律第218号)及び河川法の規定による免許、許可、承認等の対象となる行為
7 住民は、前項第2号の行為を行うに当たっては、生態系及び景観の保全に配慮するように努めるものとする。
8 国、県、流域市町村又は地方公共団体の組合(流域市町村が加入しているものに限る。以下同じ。)が行う行為については、第1項の規定による許可を受けることを要しない。この場合において、知事は、国、流域市町村及び地方公共団体の組合が生態系及び景観の保全に関し配慮した事項を把握するように努めるものとする。
9 第1項の規定は、回廊地区が指定され、又はその地区が拡張された際既に着手している行為については、適用しない。
10 知事は、回廊地区内において、自然植生の回復を図るため、人工林(すぎ又はひのきを植林したものに限る。以下同じ。)の間伐の適正な実施その他の措置が講ぜられるように努めるとともに、必要に応じて、国、県、流域市町村又は規則で定める公共的団体による土地の買取りを促進するために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
11 知事は、回廊地区内に存する工作物のうち、生態系及び景観の保全の観点から当該工 作物の改修又は当該工作物の周辺地域の整備を行うことが認められるときは、その改修 又は整備に必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(保全・活用地区内における行為の制限等)

第14条 保全・活用地区内においては、次に掲げる行為は、知事の許可を受けなければ、してはならない。
一 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
二 土地を開墾し、その他土地の形状を変更すること。
三 建築物その他規則で定める工作物の建築等をすること。
四 看板、広告板その他これらに類する物で、規則で定めるものを設置すること。 
2 前条第2項から第9項までの規定は、前項の許可の対象となる行為について準用する。この場合において、同条第9項中「回廊地区」とあるのは、「保全・活用地区」と読み替えるものとする。
3 知事は、保全・活用地区内において、人工林の除伐及び間伐の適正な実施、混交林(針葉樹と広葉樹が混在して生育する森林をいう。以下同じ。)の整備その他の措置が講ぜられるように努めるものとする。

(共生モデル地区内における協定の縮結等)

第15条 知事は、共生モデル地区内の土地の所有者(管理者又は占有者で権原を有する者 を含む。)又はこれらの者が参加する団体の代表者との間において、共生モデル地区の保全に関する協定(以下この条において「協定」という。)を締結することができる。 
2 協定には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 協定の対象となる土地の区域(以下この条において「協定区域」という。)
二 協定区域の管理の方法汲び目標に関する事項
三 協定の有効期間
四 前3号に掲げるもののほか、協定の実施に開し必要な事項
3 知事は、協定を締結しようとするときは、あらかじめ、当該協定区域が属する市町村の長及び高知県四万十川流域保全振興委員会の意見を聴くものとする。当該協定を変更し、又は廃止しようとするときも同様とする。 
4 知事は、共生モデル地区内において、人工林の除伐及び間伐の適正な実施、混交林の整備その他の措置が図られるように努めるものとする。 

(原生林保全地区内における行為の制限等)

第16条 原生林保全地区内においては、次に掲げる行為は、知事の許可を受けなければ、してはならない。
一 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
二 土地を開墾し、その他土地の形状を変更すること。
三 建築物その他規則で定める工作物の建築等をすること。
四 立木を伐採すること(保安林における施業上のものを除く。)
五 針葉樹(すぎ及びひのきに限る。)を植樹すること(保安林における施業上のものを除く。)
六 看板、広告坂その他これらに類する物で、規則で定めるものを設置すること。 
2 前項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって規則で定めるもの
二 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
三 学術研究、環境学習その他公益上の事由により知事が特に必要と認める行為 
3 第13条第2項から第4項まで、第8項及び第9項の規定は、第1項の許可の対象となる行為について準用する。この場合において、同条第9項中「回廊地区」とあるのは、「厚生林保全地区」と読み替えるものとする。 
4 知事は、原生林保全地区内において、必要に応じて、国、県、流域市町村又は規則で定める公共団体による土地の買取りを促進するために必要な措置を諌ずるように努めるものとする。 

    第二節 清流の保全
(清流基準)

第17条 知事は、四万十川の清流を保全するため、清流基準を定めるものとする。 
2 清流基準は、環境基本法(平成5年法律第91号)第16条第1項の規定により定められた四万十川に係る環境基準のほか、次に掲げるものとする。
一 清流度(河川の水質に関し水平方向に見通した透明性を表す数値で、規則で定める方法により測定するものをいう。)
二 窒素に係る指標
三 燐に係る指標
四 水生生物に係る指標 
3  前項各号に掲げる清流基準は、環境基本法第16条第2項に規定する類型(類型が設けられていない水域については、これに相当する類型)及び知事が必要と認める地点ごとに規則で定める。
4 知事は、第2項各号に掲げる清流基準について、常に適切な科学的判断を加え、必要があると認めるときは、改定するものとする。 
5 知事は、この条例に定める方策であって四万十川の保全に関係するものを総合的かつ有効適切に講ずることにより、清流基準が確保されるように努めるものとする。

(保水力の向上)

第18条 県は、国、流域市町村、農林水産業従事者その他の事業者と協力し、流域内の森林及び農地の保水力を向上させ、四万十川の豊かな水量の確保を図るため、次の措置を講ずるように努めるものとする。
一 除伐及び間伐の実施、混交林の拡大等森林の適正管理の促進
二 保安林の指定の促進
三 耕作放棄地の発生の防止等農地の適正管理の促進

(自然の浄化機能の向上)

第19条 知事は、流域における自然の浄化機能を向上させるため、適切な措置を講ずるように努めるとともに、事業者に対して指導及び助言をするように努めるものとする。 
 

(濁りの防止)

第20条 知事は四万十川に著しい濁りを発生させ、若しくは流出させ、又は四万十川において濁りを長期化させるおそれのある行為を行う事業者に対して、濁りの発生、流出又は長期化を防止するために必要な措置を講ずるよう指導及び助言をするように努めるものとする。 

    第三節 野生動植物の保全

第21条 流域内においては、規則で定める野生動植物を故意に捕獲し、殺傷し、採取し、又は損傷してはならない。ただし、学術研究、環境学習、当該野生動植物の繁殖その他公益上の事由により知事が特に必要と認めて許可した場合は、この限りでない。 
2 前項本文の規定は、非常災害のために必要な応急措置として行う行為については、適用しない。 
3 第1項ただし書の許可には、当該野生動植物の保全のため、必要な限度において、条件を付することができる。 
4 第13条第8項の規定は、第1項ただし書の許可の対象となる行為について準用する。

    第四節 適正な産業活動
(産業廃棄物の減量及び資源の循環的利用)

第22条 事業者は、流域内における事業活動に伴って生ずる産業廃棄物の減量に努めるとともに、資源の循環的な利用が行われるように努めなければならない。 

    第五節 きれいな空気の保全
(自動車等の駐停車時の原動機の停止)

第23条 自動車等(道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車及び同条第3項に規定する原動機付自転車をいう。以下この条において同じ。)を運転する者は、流域内において自動車等を駐車し、又は停車するときは、きれいな空気の保全を図るため当該自動車等の原動機を停止しなければならない。ただし、規則で定める場合は、この限りでない。

(エコカーの利用促進)

第24条 県は、流域内において自動車を使用する場合は、排出ガスを発生しない自動車又は排出ガスの発生が少ない自動車(以下この条において「エコカー」という。)の利用に努めるものとする。 
2 事業者、県民又は旅行者等で流域内において自動車を使用するものは、エコカーを利用するように努めるものとする。 
3 知事は、国及び流域市町村に対して、流域内でのエコカーの利用を促進するよう要請するものとする。

    第六節 生活文化財産の保全

第25条 知事は、流域における生活文化を後世に継承するため、四万十川に設置されている沈下橋、四万十川で行われていた又は行われている伝統漁法、流域内の棚田その他知事が必要と認めるものを生活文化財産として指定することができる。 
2 知事は、生活文化財産を指定しようとするときは、あらかじめ、当該生活文化財産が存する区域が属する市町村の長及び高知県四万十川流域保全振興委員会の意見を聴くものとする。 
3 知事は、第1項の規定により指定した生活文化財産の保全のために必要な措置を講ずるように努めるものとする。 
4 知事は、必要に応じ、第1項の規定により指定した生活文化財産の指定を変更し、又は解除することができる。 
5 第2項の規定は、生活文化財産の指定を変更し、又は解除しようとする場合について準用する。 

    第七節 環境配慮指針

第26条 知事は、流域内において県が実施し、又は助成する事業について、計画、実施及び管理の各段階ごとに生態系及び景観の保全への配慮が適切に行われるよう環境配慮指針を定めるものとする。 
2 環境配慮指針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 対象となる事業(以下この条において「対象事業」という。)
二 すべての対象事業に適用する配慮事項及び対象事業の種類ごとに適用する配慮事項
三 回廊地区、保全・活用地区、共生モデル地区若しくは原生林保全地区又はこれら以外の地域ごとに適用する配慮事項
四 前3号に掲げるもののほか、環境配慮指針に関し知事が必要と認める事項 
3 知事は、環境配慮指針について、常に適切な科学的判断を加え、必要があると認めるときは、改定するものとする。 
4 知事は、環境配慮指針を定め、又は改定しようとするときは、あらかじめ、国の地方支分部局(規則で定めるものに限る。)の長、流域市町村の長及び高知県四万十川流域 保全振興委員会の意見を聴くものとする。 
5 対象事業を実施する者は、環境配慮指針を遵守するものとする。 
6 知事は、流域内において、国、流域市町村又は地方公共団体の組合が実施する事業のうち対象事業に相当するものについて、環境配慮指針に配慮するよう要請するものとする。

    第三章 流域の振興
(流域振興ビジョン)

第27条 知事は、国及び流域市町村と連携し、流域の振興のための方針及び具体的計画(以下この条において「流域振興ビジョン」という。)を策定するものとする。
2 流域振興ビジョンは、この条例の目的、基本原則、将来像その他の規定に沿ったものでなければならない。 
3 流域振興ビジョンには、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 流域の振興に関する基本方針
二 生活環境の確保に関する事項
三 自然と共生した農林水産業その他の経済活動の活性化に関する事項
四 多様な地域間交流に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、流域の振興に関し知事が必要と認める事項    
4 知事は、流域振興ビジョンを策定しようとするときは、住民の意見を十分に反映するように努めるものとする。
5 知事は、流域振興ビジョンを策定しようとするときは、あらかじめ、国の地方支分部局(規則で定めるものに限る。)の長、流域市町村の長及び高知県四万十川流域保全振興委員会の意見を聴くものとする。 
6 知事は、流域振興ビジョンを策定したときは、速やかに、その内容を公表するものとする。
7 知事は、必要に応じ、流域振興ビジョンを改定するものとする。
8 第4項から第6項までの規定は、流域振興ビジョンを改定する場合について準用する。
9 県は、流域振興ビジョンに基づく方策を国及び流域市町村と連携して実施するものとする。

    第四章 調査、研究及び環境学習等
(調査及び研究)

第28条 県は、国、他の地方公共団体、研究機関その他のものと連携し、四万十川の水量及び水質並びに流域の生態系、景観、文化及び歴史に関する科学的な調査及び研究を推進するものとする。

(環境学習等)

第29条 県は、国及び流域市町村と連携し、事業者及び県民の四万十川の水量及び水質並びに流域の生態系及び景観の保全についての理解が深まるよう環境学習及び広報活動の推進その他の必要な措置を講ずるものとする。

    第五章 事業評価
(目標指標)

第30条 知事は、この条例の目的の達成状況を把握し、進行管理を行うため、必要な目標指標を定めるものとする。 
2 目標指標には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 目標指標の項目並びに項目ごとの現状の数値、目標とするべき数値、目標年度及び調査方法に関すること。
二 前号に掲げるもののほか、目標指標に関し知事が必要と認める事項 
3 知事は、必要に応じ、前項各号に掲げる事項を変更するものとする。 
4 知事は、目標指標を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、国の地方支分部局(規則で定めるものに限る。)の長、流域市町村の長及び高知県四万十川流域保全 振興委員会の意見を聴くものとする。 
5 知事は、国及び流域市町村と連携して、この条例の規定に基づく方策を総合的かつ有効適切に講ずることにより、目標指標が達成されるように努めるものとする。

(住民意識調査)

第31条 知事は、この条例の目的の達成状況を把握し、進行管理を行うため、必要な住民意識調査を定期的に行い、その結果を公表するものとする。 
2 住民意識調査の実施時期、実施方法その他住民意識調査の実施に関し必要な事項は、規則で定める。 

(情報提供)

第32条 知事は、四万十川の保全及び流域の振興に関する方策の総合的な推進に役立てるため、この条例に関連する事項の情報を必要に応じ、提供するものとする。

    第六章 高知県四万十川流域保全振興委員会
(設置)

第33条 この条例の規定により定められた事項その他の四万十川の保全及び流域の振興に関する重要事項を調査審議させるため、高知県四万十川流域保全振興委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。

(組繊)

第34条 委員会は、委員15人以内で組織する。 

(任命等)

第35条 委員は、学識経験を有する者のうちから、知事が任命する。 
2 委員の任期は、3年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は 、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。 

(会長及び副会長)

第36条 委員会に会長及び副会長を置き、それぞれ委員の互選によって定める。 
2 会長は、会務を総理し、委員会を代表する。 
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。 

(委任)

第37条 この章に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。 

    第七章 国及び他の地方公共団体との協力等
(国及び他の地方公共団体との協力)

第38条 県は、四万十川の保全及び流域の振興に関する方策について、国及び他の地方公共団体と協力して推進するものとする。 

(流域市町村への支援)

第39条 県は、流域市町村が実施する四万十川の保全及び流域の振興に関する方策への助成、助言その他の支援措置を講ずるものとする。 

    第八章 雑則
(許認可等に当たっての考慮)

第40条 知事は、流域内における行為の実施につき免許、許可、認可、承認、補助金等の交付の決定その他これらに類する行為(以下この条において「許認可等」という。)を要することとされている場合において、当該流域内における行為に係る許認可等の権限を有するときは、当該許認可等をするに当たり、この条例の規定について考慮するものとする。 
2 知事は、前項の場合において、当該流域内における行為に係る許認可等の権限を有する者が知事以外の者であるときは、当該許認可等の権限を有する者に対し、当該許認可等をするに当たり、この条例の規定について考慮するよう要請するものとする。 

(総合調整等のための体制の整備)

第41条 県は、四万十川の保全及び流域の振興に関する方策について総合的に調整し、及び推進するために必要な体制を整備するものとする。 

(流域市町村条例との関係)

第42条 県は、この条例及び流域市町村の条例とが相まって、四万十川の保全及び流域の振興が図られるように努めるものとする。 

(報告等及び立入調査)

第43条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、第13条第1項、第14条第1項、第16条第1項及び第21条第1項の規定により許可の対象となる行為を行う者に対し、必要な事項の報告又は資料の提出を求めることができる。
2 知事は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、当該行為の実施場所に立ち入り、当該行為の実施中又は実施後の状況について調査させることができる。 
3 前項の規定に基づき立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者から請求のあったときは、これを提示しなければならない。
4 第2項の規定に基づく立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 

(中止命令等)

第44条 知事は、重点地域における生態系及び景観の保全又は野生動植物の保全のために必要があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当すると認められる者に対して、その行為の中止を命じ、又は相当の期限を定めて、原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
一 第13条第1項の規定に違反した者
二 第13条第4項(第14条第2項及び第16条第3項において準用する場合を含む。)の規定により許可に付せられた条件に違反した者
三 第14条第1項の規定に違反した者
四 第16条第1項の規定に違反した者
五 第21条第1項の規定に違反した者
六 第21条第3項の規定により許可に付せられた条件に違反した者 
2 知事は、規則で定めるところにより、その職員に、前項に規定する権限の一部を行わせることができる。 
3 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者から請求のあったときは、これを提示しなければならない。 

(公表)

第45条 知事は、前条の規定に基づく命令を受けた者が当該命令に従わないときは、その旨及び当該命令の内容を公表することができる。
2 知事は、前項の規定に基づく公表をしようとするときは、あらかじめ、当該命令を受けた者にその旨を通知するとともに、意見を述べる機会を与えなければならない。 

(損失の補償)

第46条 県は、第13条第1項、第14条第1項、第16条第1項若しくは第21条第1項ただし書の規定による許可を得ることができないため、又は第13条第4項(第14条第2項及び第16条第3項において準用する場合を含む。)若しくは第21条第3項の規定により許可に条件を付せられたため、損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。

(委任)

第47条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 

   附 則

 この条例は、平成13年4月1日から施行する。