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柳川市掘割を守り育てる条例 (平成十年十月五日条例第二十七号)

目次
 前文
 第一章 総則(第一条−第五条)
 第二章 水環境保全に関する基本的施策(第六条−第十七条)
 第三章 審議会等(第十八条−第二十四条)
 附則
 私たちが住む柳川市は、総延長四百七十キロメートルに及ぶ大小の掘割が網の目のように巡り、独特な水郷風景を形成している。この掘割は現代に残された歴史的な文化遺産であり、それが持つ独特な情緒は詩聖・北原白秋の詩歌の母体ともなった。
 掘割は、水をためることにより、降り過ぎた雨水を一時遊ばせて内水はん濫を防いだり、農業用水や防火用水等に利用されたりして生産や市民生活と直接にかかわる重要な役割を担っている。この掘割は、先人たちが風土の悪条件と闘い、水と共生していくなかで形成された貴重な柳川市の歴史的財産である。
 これまで本市では、「柳川市用排水路管理条例」や「柳川市石けん使用推進要綱」などを制定し、掘割保全の努力を続けてきた。しかしながら、近年の社会経済活動の拡大や都市化の進展、生活様式の変化などに伴い、本市においても家庭排水や事業所排水等による掘割の水質汚濁や景観の変ぼうが進行しており、新たな対応が求められている。
 言うまでもなく、すべての人は、健康で安全かつ快適な生活を営むことのできる恵み豊かな水環境を享受する権利を有すると同時に、こうしたかけがえのない水環境を維持し、発展させ、将来の世代に継承していく責務と使命を有することを忘れてはならない。
 このような認識のもと、私たちは、市民、事業者、市が一体となって、美しい柳川市の掘割を守り育て、市民が誇り得る郷土を育てることを決意し、水の憲法ともいえるこの条例を定める。
   第一章 総則
 (目的)

第一条 この条例は、掘割の水質を悪化させている最大の原因であると考えられる家庭排水や事業所排水等から柳川市の良好な水環境を保全し、及び創造することにより、柳川市独特の掘割を生かしたまちづくりを進め、もって現在及び将来の市民の快適で潤いのある生活の確保に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 「水環境」とは、掘割とその周辺の環境及び景観をいう。
二 「市民等」とは、市民及び本市に滞在する者をいう。
三 「事業者」とは、市の区域内で行う事業について、自ら実施するもの又は契約により実施するものをいう。
四 「公共的施設」とは、道路、水道、公園、消防施設、広場、緑地、掘割、河川、医療施設、教育施設、清掃施設、社会福祉施設等の公共の用に供する施設をいう。

 (責務)

第三条 市、市民等及び事業者の三者は相互に協力し、それぞれの責任と自覚を持って掘割を生かしたまちづくりの推進に努めるものとする。
一 市の責務
イ 市は、良好な水環境の保全及び創造に関し、自然的社会的条件に応じた施策を策定し、実施しなければならない。
ロ 市は、掘割の現状に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、水環境の保全について配慮しなければならない。
ハ 市は、水環境の保全を妨げるような行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。
二 市民等の責務 市民等は、良好な水環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、この条例の目的を達成するために市が実施する施策に協力しなければならない。
三 事業者の責務
イ 事業者は、その事業活動を行うに当たって、良好な水環境を破壊しないよう自らの責任において必要な措置を講じなければならない。
ロ 事業者は、市が実施する良好な水環境の形成に関する施策に積極的に協力しなければならない。

 (適用区域)

第四条 この条例は、柳川市全域について適用するものとする。

 (掘割の日)

第五条 市長は、市民の水環境保全についての関心と理解を深め、市民参加による水環境保全活動の意欲を高めるため、「掘割の日」を設ける。
2 掘割の日は、四月の第三日曜日とする。
3 市長は、掘割の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努め、市民等は、それに積極的に参加するよう努めなければならない。

   第二章 水環境保全に関する基本的施策
 (水質の保全)

第六条 市長は、生活排水等による掘割への負荷を軽減するために必要な施設の整備、生活排水対策の調査及び立案並びに啓発その他必要な施策の実施に努めなければならない。
2 市民等及び事業者は、市が実施する施策に協力し、自らも生活排水や事業所排水などによる掘割の水質の汚濁に対し必要な対策を講ずるとともに、良好な水質を保全するため、次に掲げる行為に努めなければならない。
 一 生活排水や事業所排水を掘割に排出するときは、浄化槽やためます等により排水を浄化して排出すること。
 二 調理くず、廃食用油等の処理を適正に行うこと。
 三 洗剤を使用する際、柳川市石けん使用推進要綱(昭和五十六年三月十一日制定)第二条に定義された石けんを使用すること。
3 何人も、柳川市用排水路管理条例(昭和五十一年柳川市条例第十四号)第四条に掲げる禁止事項を行ってはならない。ただし、同条中「水路」とあるのは、「掘割」と読み替えるものとする。

 (流水の確保)

第七条 市長は、良好な水環境を保全するため、上流地域との交流と連携による相互理解と協力によって流水の確保に努めなければならない。

 (親水性の確保)

第八条 市、市民等及び事業者は、護岸や柵など掘割の現状に影響を及ぼす施策を実施する場合は、日常的に水に親しめるような場所の確保及び景観の保全に努めなければならない。

 (緑の保全と創造)

第九条 市、市民等及び事業者の三者は、相互に協力して、歴史的文化遺産である掘割を愛護し、掘割周辺の環境保全能力を確保するとともに、将来の世代に継承していくため掘割周辺の植物及び雑木林、大木など緑の保全と創造に積極的に努めなければならない。

 (景観の保全と創造)

第十条 市、市民等及び事業者の三者は、相互に協力して、水郷情緒に満ちた景観の保全及び創造のため、次に掲げる行為に努めなければならない。
一 塀は生け垣で緑化するなど良好な景観を形成すること。
二 護岸をする場合は、可能な限り自然石による石積や詰め杭等を利用し、周辺を緑化すること。
三 生活排水や事業所排水を掘割に排出する場合は、排水管を水面下に設置すること。

 (公共的施設の整備)

第十一条 市長は、下水道や水利施設の整備その他水環境保全に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 市長は、親水公園等公共的施設の整備その他の良好な水環境の創造のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

 (水環境管理体制の整備促進)

第十二条 市長は、水環境の保全及び創造に関する施策(以下「水環境に関する施策」という。)を総合的に調整し、かつ計画的に推進するために必要な体制を整備強化しなければならない。
2 市長は、水環境に関する施策の効率的かつ効果的な推進を図るため、市、市民等、事業者及び民間団体が協働することのできる体制の整備に努めなければならない。

 (掘割を中心とする環境教育の振興)

第十三条 市は、市民等及び事業者が掘割に対する関心を高め、水環境の保全についての理解を深めるとともに、活動を行う意欲が促進されるように、教育及び学習の促進を図るものとする。
2 市は、特に児童及び生徒に対して、掘割を中心とする環境教育及び学習を積極的に推進するために必要な措置を講ずるものとする。

 (市民活動の推進)

第十四条 市長は、市民等及び事業者が自発的に行う緑化活動及び水環境の保全に関する活動が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

 (情報の提供)

第十五条 市長は、前二条の規定により、環境の状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

 (財政上の措置)

第十六条 市長は、良好な水環境に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 (関係行政機関との連携)

第十七条 市長は、良好な水環境に関する施策を推進するため、関係市町村との連携を図るとともに、必要に応じ、国、県に対して協力を要請するものとする。

   第三章 審議会等
 (審議会の設置及び所掌事務)

第十八条 市長は、本条例の推進に関する重要事項を調査、審議するため、掘割を生かしたまちづくり審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、本条例の推進に必要な事項を調査、審議し、市長に提言するものとする。
3 審議会は、その所掌事務を遂行するために必要と認めるときは、市長に対し、資料の提出その他の協力を求めることができる。

 (組織)

第十九条 審議会は、委員二十五人以内で組織し、委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
一 学識経験者
二 関係行政機関の職員
三 その他市長が必要と認める者
2 委員の任期は二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。

 (会長及び副会長)

第二十条 審議会に会長及び副会長各一人を置き、委員の互選によって定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

 (会議)

第二十一条 審議会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。
2 審議会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 (部会)

第二十二条 審議会は、必要に応じ部会を置くことができる。
2 部会に属する委員は、会長が指名する。
3 部会に部会長を置き、部会に属する委員のうちから互選する。
4 部会に関し必要な事項は、会長が定める。

 (庶務)

第二十三条 審議会の庶務は、総務部企画財政課において処理する。

 (委任)

第二十四条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、市長が別に定める。

   附 則

 この条例は、平成十一年一月一日から施行する。