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石川県バリアフリー社会の推進に関する条例(平成9年3月22日石川県条例第5号)

目次
 前文
 第1章 総則(第1条−第7条)
 第2章 バリアフリー社会の推進に関する施策(第8条−第21条)
 第3章 公益的施設等の整備
  第1節 公益的施設の整備(第22条−第26条)
  第2節 特定公益的施設の整備(第27条−第32条)
  第3節 交通環境の整備(第33条)
  第4節 住宅の整備(第34条)
 第4章 雑則(第35条−第37条)
 附則

 高齢者も若者も、障害のある人もない人も、すべての人が個人として尊重され、様々な交流やふれあいの中で共に生きがいを持って健やかに生活できる福祉社会の実現は、私たち県民すべての願いである。
 このような社会を実現するためには、県民一人ひとりが互いに理解し合い、やさしい心、思いやりのある心を持つことが大切である。
 そして、次代を担う子どもたちが健やかに生まれ育ち、県民が安全で快適な生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に平等に参加することのできる障壁のない社会を築いていく必要がある。
 また、こうした取組を通して、石川の有する質の高い伝統文化等の蓄積をすべての県民が共有し、享受できる環境づくりを進めることも石川の課題である。
 ここに、石川県民が共に力を合わせてバリアフリー社会の構築に取り組むことを決意し、この条例を制定する。

    第1章 総則

  (目的)
第1条 この条例は、バリアフリー社会の推進について、県、市町村及び事業者の責務並びに県民の役割を明らかにするとともに、基本方針を定めることにより、バリアフリー社会の推進に関する施策を総合的に実施し、及び高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できる公益的施設等の整備の推進を図り、もって県民が生涯を通して真の豊かさを実感でき、生きがいと活力を持って暮らすことができる福祉社会の実現に資することを目的とする。

  (定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (1) バリアフリー社会 高齢者、障害者等を含むすべての県民があらゆる分野の活動に平等に参加する上で、これを困難にする様々な障壁が取り除かれ、安全かつ快適な生活を営むことができるよう配慮された社会をいう。
 (2) 高齢者、障害者等 高齢者、障害者、傷病者、妊産婦その他の者で日常生活又は社会生活に行動上の制限を受けるものをいう。
 (3) 公益的施設 病院、劇場、集会場、展示場、百貨店、官公庁施設、公共賃貸住宅、学校、公共交通機関の施設、道路、公園その他の不特定かつ多数の者が利用する施設及びこれらに準ずる施設で、規則で定めるものをいう。
 (4) 特定公益的施設 公益的施設のうち、高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活を営む上でより重要と認められる施設で規則で定めるものをいう。
 (5) 公共車両等 鉄道の車両、自動車その他の一般旅客の用に供される機器で規則で定めるものをいう。

  (県の責務)
第3条 県は、バリアフリー社会の推進に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、自ら設置し、又は管理する公益的施設について、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう配慮し、及び整備を進めるものとする。

  (市町村の責務)
第4条 市町村は、県の施策と相まって、当該市町村の実情に応じたバリアフリー社会の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市町村は、自ら設置し、又は管理する公益的施設について、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう配慮し、及び整備を進めるものとする。

  (事業者の責務)
第5条 事業者は、県及び市町村が実施するバリアフリー社会の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、自ら設置し、又は管理する公益的施設及び公共車両等(以下「公益的施設等」という。)について、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう配慮し、及び整備を進めるよう努めるものとする。

  (県民の役割)
第6条 県民は、バリアフリー社会の推進に関し理解を深め、生きがいを持って日常生活又は社会生活を営むことができるよう福祉に関する交流活動、ボランティア活動等に積極的に参加するとともに、県及び市町村が実施するバリアフリー社会の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 県民は、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう配慮して整備された公益的施設等の利用の妨げとなる行為をしてはならない。

  (推進体制の整備等)
第7条 県は、市町村、事業者及び県民と密接に連携してバリアフリー社会を推進する体制を整備するものとする。
2 県は、市街地開発事業その他これに類する事業の実施の機会をとらえて、バリアフリー社会の環境の整備を積極的に推進するものとする。

    第2章 バリアフリー社会の推進に関する施策

  (施策の基本方針)
第8条 県は、次に掲げる基本方針に基づき、バリアフリー社会の推進に関する施策を実施するものとする。
 (1) 県民がバリアフリー社会の推進に関し理解を深め、積極的にこれに参画するよう意識の高揚を図ること。
 (2) 子どもたちが健やかに生まれ育ち、県民が安全かつ快適な生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に平等に参加することができるよう社会環境の整備を推進すること。

  (県民意識の高揚)
第9条 県は、バリアフリー社会の推進に関し県民の理解を深めるとともに、県民の自主的な福祉活動への参加の意欲が増進されるよう福祉に関する学習機会の充実、啓発活動の推進その他必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、県民の福祉に関するボランティア活動を支援するため、活動基盤の整備その他必要な施策を講ずるものとする。

  (福祉人材の養成等)
第10条 県は、高齢者、障害者等の自立を支援するため、介助等の知識及び技能を有する者の養成、確保及び資質の向上を図るために必要な施策を講ずるものとする。

  (福祉サービスの提供体制の整備)
第11条 県は、福祉に関する県民の多様な需要に的確に対応するため、保健、医療及び福祉に関する施策を有機的に連携し、高齢者、障害者等の自立を支援する福祉サービスを提供する体制を整備するものとする。

  (バリアフリー機器に関する研究開発等)
第12条 県は、高齢者、障害者等の自立を支援するため、バリアフリー機器(高齢者、障害者等の日常生活又は社会生活上の障壁を取り除くために必要な住宅その他の施設の設備及び物品をいう。)の使用及び提供に関する研究並びに開発を促進し、並びにこれらの成果を普及するために必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、高齢者、障害者等の自立を支援するため、リハビリテーションを提供する体制の充実に必要な施策を講ずるものとする。

  (情報の利用等)
第13条 県は、高齢者、障害者等が円滑に情報を利用し、及びその意思を表示できるよう情報伝達手段の充実に必要な施策を講ずるものとする。
2 電気通信又は放送の役務の提供を行う事業者は、当該役務の提供に当たっては、高齢者、障害者等の利用の便宜を図るよう努めるものとする。

  (障害者教育の充実)
第14条 県は、障害者がそれぞれの能力を十分に伸張できる適切な教育の充実を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

  (文化活動等の機会の確保等)
第15条 県は、高齢者、障害者等が生きがいを持って生活を営むことができるよう文化、スポーツ及びレクリエーションに関する活動への参加の機会の確保、生涯学習の機会の提供その他必要な施策を講ずるものとする。

  (就業の機会の確保等)
第16条 県は、高齢者、障害者等の就業の機会が確保されるよう職業能力の開発その他必要な施策を講ずるものとする。
2 事業者は、高齢者、障害者等の就業の機会の確保を図るよう努めるとともに、その雇用する高齢者、障害者等に配慮した職場環境の整備に努めるものとする。

  (情報の提供等)
第17条 県は、市町村、事業者及び県民に対し、バリアフリー社会を推進するために必要な情報を適切に提供するものとする。
2 県は、市町村、事業者及び県民に対し、バリアフリー社会を推進するため、公益的施設、住宅等の整備に関し必要な技術指導をするものとする。

  (伝統文化等に親しむことのできる環境の整備)
第18条 県は、伝統文化等にすべての人が親しむことのできる環境の整備に努めるものとする。

  (気候に配慮した環境の整備)
第19条 県は、積雪等地域の気候に配慮した生活環境の整備に努めるものとする。

  (安全な生活の確保)
第20条 県は、高齢者、障害者等が安全に日常生活又は社会生活を営むことができるよう防犯、防災及び交通安全の確保に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

  (財政上の措置)
第21条 県は、バリアフリー社会を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

    第3章 公益的施設等の整備

     第1節 公益的施設の整備

  (整備水準)
第22条 知事は、公益的施設の出入口、廊下、階段、昇降機、便所、駐車場その他の部分の構造及び設備に関し、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるようにするために必要な基準(以下「整備基準」という。)を規則で定めるものとする。
2 知事は、前項に規定する整備基準のほか、高齢者、障害者等がより安全かつ快適に公益的施設を利用できるようにするための目標となる基準を定めることができる。

  (整備水準の遵守)
第23条 公益的施設の新築、新設、増築、改築、用途変更(施設の用途を変更して公益的施設とする場合を含む。)、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第14号に規定する大規模の修繕又は同条第15号に規定する大規模の模様替え(規則で定めるものを除く。以下「新築等」という。)をしようとする者は、当該公益的施設について整備水準を遵守しなければならない。ただし、整備基準を遵守する場合と同等以上に安全かつ快適に利用できる場合又は規模、構造、地形若しくは敷地の状況その他やむを得ない事由により、整備基準を遵守することが困難であると知事が認める場合は、この限りでない。
2 公益的施設を所有し、又は管理する者(以下「公益的施設の所有者等」という。)は、当該公益的施設を整備基準に適合させるよう努めるものとする。

  (指導及び助言)
第24条 知事は、必要があると認めるときは、公益的施設の所有者等又は公益的施設の新築等をしようとする者に対し、当該公益的施設の整備基準への適合に関し必要な指導及び助言を行うことができる。

  (維持保全)
第25条 公益的施設の所有者等は、当該公益的施設を整備基準に適合させたときは、当該適合させた部分の機能を維持するよう努めるものとする。

  (適合証の交付)
第26条 公益的施設の所有者等は、当該公益的施設を整備基準に適合させているときは、規則で定めるところにより、知事に対し、当該公益的施設が整備基準に適合していることを証する証票(以下「適合証」という。)の交付を請求することができる。
2 知事は、前項の規定による請求があった場合において、当該公益的施設が整備基準に適合していると認めるときは、規則で定めるところにより、当該公益的施設の所有者等に対し、適合証を交付するものとする。
3 知事は、前項の規定により適合証を交付した場合において、当該交付に係る公益的施設が、整備基準に適合している旨を公表することができる。

     第2節 特定公益的施設の整備

  (届出)
第27条 特定公益的施設の新築等をしようとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。ただし、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成6年法律第44号)第5条第1項の規定による計画の認定の申請をしたときは、この限りでない。
2 前項の規定による届出を行った者は、当該届出の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。

  (勧告)
第28条 知事は、前条の規定による届出を行わずに特定公益的施設の新築等の工事に着手した者に対し、当該届出を行うよう勧告することができる。
2 知事は、前条の規定による届出を行った者が当該届出に係る工事を行った場合において、当該工事が届出の内容と異なり、かつ、当該工事に係る特定公益的施設が整備基準に適合しないときは、当該届出を行った者に対し、当該届出のとおりの工事を行うことその他必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
3 知事は、前条の規定により届出を行った者のうち、当該届出に係る特定公益的施設の整備基準への適合に関し第24条の規定による指導を受けた者が当該指導に係る工事を行った場合において、正当な理由なく当該指導に従わず、かつ、当該指導に係る特定公益的施設が整備基準に適合しないときは、当該指導を受けた者に対し、当該指導に従うことその他必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

  (公表)
第29条 知事は、前条第1項及び第2項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該勧告を受けた者の氏名その他の規則で定める事項を公表することができる。
2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該勧告を受けた者に対し、弁明の機会を与えなければならない。

  (特定公益的施設の状況把握)
第30条 特定公益的施設を所有し、又は管理する者(以下「特定公益的施設の所有者等」という。)は、これを維持管理するに当たっては、当該特定公益的施設について、定期的に必要な調査を行い、整備基準への適合状況について把握するよう努めるものとする。

  (報告の徴収)
第31条 知事は、必要があると認めるときは、特定公益的施設の所有者等に対し、当該特定公益的施設の整備基準への適合状況について報告を求めることができる。

  (立入調査等)
第32条 知事は、第28条から前条までの規定の施行に必要な限度において、当該職員に、特定公益的施設若しくは特定公益的施設の工事現場に立ち入り、整備基準への適合状況を調査させ、又は関係者に対し質問させることができる。
2 前項の規定により立入調査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査又は質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

     第3節 交通環境の整備

第33条 県、市町村、公共交通事業者(公共車両等を所有し、又は管理する者をいう。以下同じ。)等は、連携し、高齢者、障害者等が自らの意思で自由かつ安全に移動できるよう連続性のある交通環境の整備に努めるものとする。
2 公共交通事業者は、高齢者、障害者等に配慮した公共車両等及び情報提供機器の整備に努めるものとする。
3 公共交通事業者は、公共交通機関の施設及び公共車両等を高齢者、障害者等が容易に利用できるよう情報提供及び介助等の体制の充実に努めるものとする。

     第4節 住宅の整備

第34条 知事は、高齢者、障害者等が安全かつ快適に居住することができるようにするために必要な住宅の整備に係る目標となる基準(以下「住宅整備基準」という。)を定めるものとする。
2 県は、住宅整備基準に適合した公共賃貸住宅の確保及び住宅の普及に努めるものとする。
3 県民は、その所有する住宅について、将来にわたって安全かつ快適に使用できるよう住宅整備基準に配慮してその整備に努めるものとする。
4 住宅を供給する事業者は、当該事業を実施するに当たっては、住宅整備基準に適合した住宅の供給に努めるものとする。

    第4章 雑則

  (国等に関する特例)
第35条 国、地方公共団体その他規則で定める者(以下「国等」という。)については、第24条及び前章第2節の規定は、適用しない。
2 知事は、国等に対し、公益的施設の整備基準への適合に率先して努めるよう要請するものとする。

  (適用除外)
第36条 公益的施設の整備に関し、市町村の条例によりこの条例の規定による整備と同等以上の整備が図られると知事が認めるときは、当該市町村の区域における公益的施設の整備については、規則の定めるところにより、前章第1節及び第2節の規定の全部又は一部を適用しないことができる。

  (委任)
第37条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

  附 則
 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第3章第1節及び第2節、第35条並びに第36条の規定は、平成10年4月1日から施行する。